離縁しようぜ旦那様

解決編

やり直す

　Side　ガラレナ




「お前達のせいで周囲の笑い者だ…全く、辺境伯夫人を唆されて誘拐など何を考えている！？
　その原因が、かなりの資産家であるナッグミッド侯爵家に嫁ぐ事を拒む為等と…はぁ…全く儂はお前達双子をそんな性格に育てた覚えはない！！！平民となり、その愚かさを反省するがいい！！

　………………いや、もう…我が家とは何の関係も無くなるのだな…儂は一体何処で子育てを間違えた…？幸せであれと裕福な貴族の家へ嫁がせたかったのに…何が嫌だったのだ…？何故、何故こんな事に………」


　パンデミック公爵家当主…わたくし達のお父様は怒鳴る様子を見せましたが、直に頭を抱え悲しそうな声を漏らしながら後悔を呟く
　お父様がなんだかんだ子供達皆に幸せな人生を…と嫁ぎ先等考えて下さってたのは分かりますわ
　でも、でも………！！！托卵プレイだけは正直嫌でしたの…！！！他人の卵が自分に入ってくるなんて恐ろしいわ！だから…ごめんなさいお父様…


「お父様は何も悪くはありません、わたくしたちの心が未熟だったのです
　…………これまでお世話になりましたわ…お父様…どうかお元気で…愚かな子でごめんなさい…お母様やお兄様、お姉様…皆によろしく伝えて下さいまし…
　明朝、迎えの馬車に乗りわたくしとノヴィはアデルバイト辺境伯へ向かいます」


　わたくしがそう伝え、お父様に礼を取るのと同時にノヴィも礼をするのが見える

　先日、わたくし達に下された罰…平民落ちの刑に関する書類が今夜受理される…明朝には貴族では無くなるわたくしとノヴィがお父様の子であるのも残り一晩…だけど、お父様以外の家族と会う許可は降りていない
　これは愚かな行いをしたわたくし達へ対する罰…我が子が、兄妹が可哀想と家族から何が支援など受けぬよう会うことすら許されないから…

　悲しそうなお父様の顔を見ていると…托卵プレイが嫌だと伝えてたら何か別の未来もあったのか？そう考えてしまう…きっと言葉が、互いに理解し合おうとする気持ちが足りなかったのだと…今なら分かるわ



「お父様…わたくしはお父様とお母様の子に生まれてこれてよかったと…心の底から感謝しています
　明日の明朝まで…子でいられる最後の時間、お父様の子であった事実を喜び、噛み締めつつ、過ごさせて下さいませ…」

「自分も…！！！姉様と同じ気持ちです…父様の子でよかった…ありがとうございます…
　引きこもりがちな僕に未来を与えて下さろうとしてた事…今なら分かるから…」

「……………………っ、強く生きろ…ガラレナ、ノヴィ…」






　お父様との最後の面会終えわたくしとノヴィは自身の部屋には戻らず、物置部屋で一晩過ごす
　明日の朝、爵位を失うけど…わたくし達の中ではもう貴族ではない…ただのバイソンの獣人だから
午後にはアデルバイト辺境伯へ使用人として到着する予定の平民になるのだから…

辺境伯でどんな扱いを受けるのか、正直怖い
フリード様やリデン様へ迷惑を掛ける訪問を何度もして、あの誘拐にまで加担して…リデン様は、平民になるわたくし達を笑顔で欲しいと言って下さっていたけど…その真意はわからない
たぶんノヴィも怯えているのだろう…寄り添うように埃を少し被ったベットに腰掛け、パンデミック公爵家で過ごす最後の時を過ごす



「ノヴィ…貴方は明日からの日々が怖い？わたくしは怖いわ……平民となる事も、アデルバイト辺境伯で上手く暮らせるかも…全部…………」

「僕も怖いです…姉様…僕は家からほとんどでたことが無い…あんな罪を犯した常識知らずな僕はどうなってしまうんだろうって…不安で…」


「「……………でも、リデン様に救われた命を…生涯を掛けて役立てたい、謝罪の気持ちを行動で表して行きたい…」」


何故が同じ事を考えてて、同時に同じ言葉が出たことにやっぱり双子ねってノヴィと笑い合う
不安だけど、それ以上にリデン様の役に立てるように生まれ変わりたい…そう思う心がある

明日、目覚めたらわたくし達はただのバイソン…ただのガラレナとノヴィになる
貴族であった頃の感情は捨てましょう、貴族であったプライドなどもういらないのです…残すべきは忠誠の気持ち…それだけでいい…！！







アデルバイト辺境伯へ使用人として運ばれたわたくし達は、フリード様とリデン様に迎え入れられ、多くの事を学び、成長する機会を得る事になる

そして、一生独り身で生きていくつもりだったわたくし達が結婚するなんて奇跡も……起きるの…

それはもっと、ずっと先のお話…
















どんな扱いを受けようが逃げない…挫けてはいけない
わたくし達は