離縁しようぜ旦那様

たなぱ

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夫婦編

海獣王子は悩ましい

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Side レドラ




僕はドラレイド帝国、現皇帝の息子として生まれた

皇帝に嫁いだ姫や令嬢の中で唯一の海獣族である母の血と、父である皇帝の血をある意味深く受け継いでしまったのが僕だ

僕には自分では普通に思う事が他人に受け入れられない悩みがある…母や同じ海獣族シャチ目の人はもしかしたら…わかってくれるかもしれないが
でも、母も他のシャチの獣人の仲間も自分と同種は愛せない…この気持ちは他種族に捧げてこそ意味があるのだから



でも、この愛は他種族にはあまりにも重いらしい

一晩中寝ずに愛し合った今の妻が目を覚ましたと、報告を受けて部屋に向かうと彼女は泣いていた


「もう、もう無理なのです…レドラ王子、あなたを愛していました…でも…無理です!
わたしではあなたの愛を受け止めきれない…!!離縁を、離縁をしていただけないでしょうか…お願いしますっ…!!」



ああ、またか…って
何処か他人事のように、妻だった女性を見つめる



「いいよ、離縁しようか…ごめんね?愛が重くって…大丈夫、10人くらい逃げてから僕との婚姻はすんなり解消できるようにしてあるんだ
宰相の所で詳しくは聞いて…ね?」


僕のその言葉に、彼女はごめんなさいと涙し部屋を飛び出す…
名前は…彼女の名前はなんだっけ?
他人になった瞬間に彼女の存在が記憶から消える
僕の愛を受け止めてくれない存在を覚えていられない、それも悪い癖なのかな?


僕は普通に愛しているのに、その愛は人と違うってことに気付いたのは一人目の妻に逃げられた時、そして2人目3人目、4人目は男だったかな?
今回33人目の妻に逃げられた

また愛が重すぎると部下にも言われて、皇帝である父には歴史に残る愛のヤバさだなと笑われ、母には皇帝の血が入ってるから自分よりも愛が重いのねって心配されるんだろう

ただ愛したい、ひたすらに可愛がりたいだけなのに…なんでそれを受け入れてくれないのかな?




「ねぇ、マッシュ…僕と結婚してみる?側近より給料弾むし沢山愛してあげるから、ちょっと愛されてみない?」

「お断りしておきます、レドラ様
淫紋付きで抱かれたとしても自分はネズミ族、体格差でレドラ様のペニスが口から出ますのでやめてください」


真面目な顔して側近は変な事を言いつつ、僕の愛の告白をスルリと交わしてしまう
流石に口から出るほど僕のペニス大きくは無いんどけどな…何処かにひたすら愛しても逃げないお嫁さん落ちてないかな…?
その言葉も口にでていたみたいで、拾って嫁にしたら誘拐ですって言われてしまった…手厳しいな僕の側近…


僕の愛は誰にも届かない
ちょっと寝ずに愛し合いたいだけなのに、ちょっと中出しした精液が口から溢れるほど注いであげたいだけなのに…
性器をたっぷり愛撫してあげたい、可愛がり過ぎて服も着れないほどに愛してかわいがってあげたいだけなのにな




そんな僕の悲しい33回目の離婚の後、転機が訪れた


「レドラ、お前また結婚してみる気はあるか?相手は超問題物件なんだが…
可愛い可愛いメニラを虐めた人族が居たのは知ってるだろう?その王子にどんな報復をしてやるか…考えた末にお前の名が挙がってな

ひたすらに愛されても逃げられない嫁、欲しくないか?」


父である皇帝が悪魔のような笑顔でとんでもない話を僕にしてきた
メニラを虐めた人族…レラージェ国の第二王子の事を指していると直ぐにわかったが、それを僕の嫁に…?いいのか?嫁にするって事は第三皇子妃だ、それでは罰にならないんじゃ?


「僕の性格は知ってますよね?愛し過ぎてしまうんです、それではメニラを傷付けた者に対しての報復にはならない気がするのですが…」

「いや、普通の妃ではない、まずはレラージェ国第二王子を契約穴嫁としてまず迎え入れる…そしてお前の妃として淫紋無しで獣人の愛をその体に刻み込み、受け入れると言うなら本当の嫁にすればいい
ついでに第二王子と不貞行為を行っていた聖女も貰い受ける、行為の後始末などさせるメイドとしてな…
レラージェ国に第二王子と聖女を賠償として寄越せと言ってある、この計画なら平和にメニラへ対する行為への報復ができるって訳だ

レドラ…お前の愛を注がれても絶対に逃げない嫁だぞ?この計画の要になってみないか?」



契約穴嫁…それはこの国で廃れた古き悪しき風習…それを限定的に復活させるっていうのか?
本来種族の違う獣人同士でも淫紋を刻む、愛ゆえに怪我をしない為に…それすらもさせてもらえず自らの行いを反省させるために僕に淫紋無しで抱かれるレラージェ国の第二王子…
その身に僕の愛をひたすら刻んでも逃げない可愛い妻にできるって事だ…ついでに聖女とかいうおまけ付き…でも、聖女には何故か興味が持てなかった


新しい嫁になる存在は絶対に逃げない、好きにしていい…僕の気持ち次第で救える存在…それって…それはすごく楽しいじゃないか…♡
僕は父に同意した、自ら迎えに行ってもいいって権利も勝ち取って


相当話の通じないうるさい奴らしいから僕の縄張りに連れて行こう…楽しみだ、名前は何ていうのかな?みんな第二王子って言うからまだ知らないんだ♡






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