離縁しようぜ旦那様

たなぱ

文字の大きさ
上 下
46 / 111
溺愛編

全部が嬉しい

しおりを挟む




どうしよう…ちゃんと覚えてる



フリード様となぜかキスして、逃げて…自分の気持ちに気づいて…今度はちゃんと好きって自覚したキスに溺れすぎて気絶した事
意識を失う寸前、めちゃめちゃかっこいい顔でおれの舌を甘噛みするフリード様と目が合ってなんかもうやばかった

目が覚めたらそこは既に森の中じゃなくて
ちゃんと見知ったおれの実家の部屋にいる…もちろんフリード様に横抱きにされたまま、どう見てもソファで繕いでいる…声から察するに両親を目の前にして…なんか非常に恥ずかしいので寝たふりをし続けている




「リデンが人質として嫁いだことはわかっていたからね…だが…まさか初夜も出来ない状況だったとは…
初孫を想像して服も男女合わせて100着作っていたが、まだ早………いや、大変だったねフリードくん」

「お義父さん…リデンの命を守るためとは言え冷遇するしか無かったことは事実です…ですが改めて、最初からやり直したい…俺はリデンを生涯愛し続けたいのです
リデンを深く愛したい…初夜からやり直したい…」




父様がなんか変な事を言っていた気がするが…え?おれが起きるまでにどんな話が進んだの?
生前付き合ってた彼女ともした事が無いほどの激しいキスに満たされすぎて酸欠で意識を失ったおれが寝てる間になんで義理の父と息子みたいな距離感になってるの!?!
いやいやいや、それより初夜って聞こえた気がする!!!お前を愛することはないって感じで終えた初夜…
それを…やり直したいって…それは…


おれ、フリード様に抱かれるって事なのか…?





男のおれが男のフリード様に抱かれる…
それはつまり、あれだ…生前の謎知識が教えてくれるおれのケツの穴にフリード様のフリード様が侵入してくるって事だ…
ラヴ様とガダケルト様の夫婦の営みの様な事をおれも……………



どうしよう…
ドラレイド帝国に嫁いだ直後、男のおれが抱かれるって事自体に嫌悪感と恐怖があった
何よりメイドさん達に執拗に尻をいじめられて…初夜の準備をされた事が羞恥心と屈辱でどうしようもなく嫌だった…お前を愛することはないって男なのに処女を守れた事が嬉しかったのに…



今、改めて初夜って言葉を聞くと…何故か嬉しいって気持ちになる
フリード様は絶対におれに酷い事をしない、痛みを与える事をするはずが無いって自信は何処からくるんだ…?
あの日、無理矢理着させられたスケスケネグリジェを着たおれを見て欲しい…絶対にフリード様は笑ったりしない…それどころか可愛いって言ってくれる気がする…


キス以上の事をフリード様からされたら…きっと幸せで泣いてしまうかもしれない

 




………………どうしよう…このまま行くと初夜のやり直しで確実におれ、フリード様に抱かれるのに全然嫌って気持ちにならない
むしろ早く初夜しようぜ?って思うおれ、やばくない?離縁しようぜとか友達からとか言ってたのに好きってわかった瞬間、これってやばくない!?

なんかもう既にキスの虜になってるおれが何を言ってるんだって話なんだけども…出会ってから冷遇だって全部演技で、実は快適に過ごせるように必死に頑張っててくれた事も…おれを番ってだけじゃなくて大切にして愛してくれてるって事も…嬉しくて仕方ないんだ…






ぐるぐると脳内で寝たふり会議をしていると、いつの間にか父様達は退室していた…母様までもが初孫楽しみにしてるわとか言ってた気がするから………きっとこれは夢かもしれない…いや、現実なんだけども………

両親が退室した後、フリード様は寝たふりしているおれを抱き寄せて唇をペロペロって舐めてくる…おいおいおい!やめて幸せな気持を増やさないで!今混乱してるの!!!
冷静に考えるとそれはイヌ科特有の愛情表現なんだけども…好きって自覚してしまったおれには、ひたすらに嬉しくなる行為なんだよやめろよ…いや、やめないで…


もう既にその行為キスと一緒なんだから!ちゃんとキスしてって、気持ちで口を開けて自分から舌を伸ばすと、ちゅっ♡くちゅっ♡って水音と共に優しく舌を吸われて、舐められて…口内を愛撫された




「っ……♡あっ………っ、んむっ♡♡♡っん♡♡」

「ちゅ♡………はぁ………っ、リデン…可愛いな、本当に可愛い…
さっきの話聞いてたんだろう?初夜をやり直したいって話…俺はリデンの全てを愛したい、だがリデンが嫌がる事はしたくない」

「…………っ♡♡♡んう、ぅ………♡はぁ、はぁっ♡
知ってる…知ってるよ、フリード様がおれを大好きで酷い事をしたくないの…

フリード様………あの、おれ…なんか都合がいい嫁でごめん…友達からとか、リから始まる変な事言おうとしてごめん…
さっき気絶したけどさ、おれ…フリード様になら何されても嬉しいんだ…今だって初夜のやり直しって言われてあのスケスケネグリジェ着てるおれを可愛がってほしいとか、変なこと考えてた………」



そう言ったらいつも以上に優しく微笑まれて…膝に横抱きにされたまま、フリード様の大きな手がおれの身体をしっかり抱き寄せて耳元でこう言うんだ
「アデルバイト辺境伯の屋敷に帰ったら、俺と初夜をやり直そう…リデンの全てを愛させてくれ、もう一度ちゃんと夫婦になろう」って



心臓がキュンってした
やべーよ、嬉しすぎて死ぬかと思った













しおりを挟む
感想 110

あなたにおすすめの小説

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな

しげむろ ゆうき
恋愛
 卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく  しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ  おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【短編】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
 もうすぐ、赤ちゃんが生まれる。  誕生を祝いに、領地から父の辺境伯が訪ねてくるのを心待ちにしているアリシア。 でも、夫と赤髪メイドのメリッサが口づけを交わしているのを見てしまう。 「なぜ、メリッサもお腹に赤ちゃんがいるの!?」  アリシアは夫の愛を疑う。 小説家になろう様にも投稿しています。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい

恋愛
婚約者には初恋の人がいる。 王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。 待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。 婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。 従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。 ※なろうさんにも公開しています。 ※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!

桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。 ※※※※※※※※※※※※※ 魔族 vs 人間。 冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。 名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。 人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。 そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。 ※※※※※※※※※※※※※ 短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。 お付き合い頂けたら嬉しいです!

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。  無言で睨む夫だが、心の中は──。 【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】 4万文字ぐらいの中編になります。 ※小説なろう、エブリスタに記載してます

処理中です...