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溺愛編
和解?
しおりを挟む「この度はハミルトン公爵家の皆様に大変ご迷惑を…すまなかった…フリード、ラヴ…同意なく勝手に譲嫁を行い…失踪のような事をしてしまい申し訳ない…父としてよく考えたら失格だった…」
フリード様の拳を全力で受けたのに、全然お顔の造形が変わらない前アデルバイト辺境伯当主であるガダケルト様はムキムキの大胸筋に嬉しそうに埋まるラヴ様を抱きしめながら正座し、謝罪中…
妊婦なのに置いていかれたラヴ様は、ガダケルト様に会えてまだそこに愛があった事で全てを許している様子だが、フリード様はそうはいかなかったようで…
顔が変わるくらい殴って反省させたかったのに、顔面も全身も強度が高すぎて効いておらず、自分の拳のほうが痛くなると落ち込み気味におれを抱きしめて癒されている最中らしい
両親があらあらまあまあと、仲むずまじく見えるおれたちを見て微笑んでいるのは…なんでか嫌じゃ無かった
「反省させたくて、筋肉殴ったら手が痛くなるとか辛すぎて無理だ…もう俺にはリデン以外いない…父上なんてただの筋肉の゙塊、肉なんだ…」
なんて言いながらぎゅうぎゅうおれを抱きしめてくるフリード様が可愛く見えてしょうがない…
兄様だけ阿鼻叫喚みたいな顔をしてるけど放っといていいだろう、兄様だし
不思議な状況にこれからどうしようと思っていたが、普通のおじさんである副料理長がお食事どうされます?料理長?的な助け舟を出しに来てくれたため、そのまま晩餐会が始まった
ガダケルト様も勿論参加だ、ラヴ様を膝に抱え給餌しながら
勿論フリード様もおれを膝に抱えて給餌しながら…………
実家でもこれなの!?!と、言えないくらいおれも両親の前なのに、ここはレラージェ国なのに…流れるように膝に腰掛け、給餌されている…こうされる事に慣れてしまっていた…慣れって恐ろしい
兄様が変な声で唸ってるが皆、気にせず用意されていた美味しい食事を堪能する
その中で、ガダケルト様は何故ハミルトン公爵家にいるのか、どうして最強の旅とかよくわからない物に出かけてしまったのかを教えてくれたのだ
「実は…普通にフリードの才能を垣間見て、私が当主として居るよりも良いと思ったら止められなくなり…
次期当主の補佐として、私の素晴らしい嫁であるラヴを譲嫁とすれば最高だと…邪魔な私は旅にでも出て、祝言祝にアースドラゴンでも倒しに行けば安泰だと思ってしまったんだ…」
「それがなんでリデンの実家でコック長をすることになるんです…?連絡の1つもよこさずに失踪のような状況で置いていかれた俺たちの事を考えた事はあるんですか?」
フリード様の的確なトドメに口を噤むガダケルト様は少し泣きそうな顔をしていた…ムキムキのボディからも涙は出るのか…
てか失踪もどきの理由が酷すぎない?なぜフリード様に相談しないのか…あ、脳筋大国は報連相がうまく出来ない直感命ってここでも反映されちゃうの???ドラレイド帝国…怖い…
ふと、普通の脳筋ご家庭だったら父上から認められたぞ!よし譲嫁と結婚してあとを継ごう!!って事になるのかもしれない…
知的な部類に入るフリード様と、唯一しか愛せない不死鳥の種族だったラヴ様だからこそドラレイド帝国の常識から逸脱して辛い思いをしていたのだろうか…
アデルバイト本宅でラヴ様を奥様と呼んでいる獣人の人が何人もいたなって思い出してより一層、カリスマのみで生きていくには頭空っぽにしないといけない恐怖を感じた瞬間になった
でもほんと何故その流れで国境を越えてハミルトン公爵家のコック長になるのか!!おれを気になる所だ
落ち込むように言葉がでないガダケルト様の代わりになんと父様が口を開く
「フリード辺境伯、あまり彼を責めないであげてほしい…状況的に酷いモノになってしまったが少し深いかもしれない事情があるんだ…
何故キミの父上がここに居るか…それは私から説明しよう
一言で言うならガダケルト前辺境伯殿はアースドラゴンとの戦いで大怪我をし、力のほとんどを失ってしまったんだよ…彼から聞いたが力こそ全てのドラレイド帝国では戦えなくなった者は居ないものと同じそうじゃないか?
絶望するガダケルト殿に帰る場所を失い、ただ死を待つだけなら…丁度前コック長が後継者を探してたからどうだい?って治療がてら誘ったら乗ってくれたんだ
物理攻撃が効かないアースドラゴンに物理で挑む理由までは知らないが…次期当主となるフリード辺境伯を祝福したかったのは本当だと思うよ…」
「…………………戦えなくなった者が居ない存在と切り捨てられてたのは300年前までの常識です…
父上、普通にアースドラゴンに素手で挑んで負けて…死にかけたのが恥ずかしくて逃げましたね?
なんとなく乗ったコックの仕事が楽しくて俺たちの事…忘れてましたね…?」
おっと…????雲行きが怪しいぞ!??!え、そんな理由でここにいたの!?父様の理由よりもフリード様の言う理由から圧を感じるけど!?
ダラダラと滝のような汗を流すガダケルト様を観ていると、とても真実を表しているかのようで…見ていて悲しくなった
フリード様…可哀想過ぎじゃない?ラヴ様も…気の毒だ…
なんとも言えない酷い空間を、ラヴ様がそれでも自分を愛してくれるならガダケルト様を許して欲しい、お仕置きなら自分がするから………と泣いた事で一応和解した形に………
和解…和解ってなんだっけ?と思いつつ、美味しいデザートのシャーベットをフリード様から食べさせてもらいつつ、その日は晩餐会後ラヴ様の言うお仕置きの為に解散となったのだ
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