離縁しようぜ旦那様

たなぱ

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溺愛編

サプライズ

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それはある日の事…
なんとなく、早朝に目覚めた時から思っていたが、本宅がざわざわしている気がしてならない本日…
狼さんがいつもより早く狩りに出て行ったのも今思うと違和感があったのかもしれない

久々に?冷遇生活が終了してから初めてフリード様が朝、別邸にこなかった
おはようって別邸に来る存在が居ない…本日のメニュー魔獣のウィンナー入りポトフを作りながらなんとなく物足りなさを感じる


「チュウ太くん、今日はフリード様忙しい的な感じ?会議でもあるのかな?」

「どうなんでしょう…?おいらもここに来て間もないんで旦那様のご予定とか知らないですね」


3人分作った朝ご飯を仕方ないので2人で食べる
給餌されずに食べる久々の食事…食べやすくて恥ずかしいとか思わなくて快適な筈なのに、何故か少しだけ寂しかった


メアリーも今日は忙しいみたいで早々に本宅に戻ってしまって…食後、洗い物をして、いつもなら執務を行う部屋にフリード様に抱き抱えられながら来るが今日はそれもない…

執務をする人も居ない無人の部屋…おれが居ても意味は無いのに、なんとなくフリード様が座る椅子に座ってぼーっとしてしまう
いつもなら…ここでペンが走る音とハンコの音が響いて…なんかこう…落ち着く感じがあったんだよな…

そんな事を静かな部屋で考えてたら寂しいって気持ちを思い出してしまった



「奥様!おいらとちょっとお出かけしませんか?今日は!旦那様もおりませんし、息抜きに森の中案内しますよ」


「チュウ太くん…優しいショタだねキミ…ううっ…フリード様に頼んで美味しいチーズ取り寄せてもらうからね」



寂しいってやつじゃんと悲しくなってフリード様の仕事してる机に突っ伏して、よくわからない気持ちに動揺しながら落ち込んでたらショタがお散歩誘ってくれた
優しい…ショタが優しい国だここっ!!!
ショタが精神年齢足したらおじさんに優しい世界だー!!

もちもちのショタに手を繋がれて裏庭と言うなの畑を越え、森の中に初めて踏み込む
冷遇人質妻ポジションじゃなくなったけど、なんとなく別邸から先に行くのは駄目な気がして森の方も本宅も一度も足を踏み入れてない

本宅には真の奥様いるし…あと、なんかとんでもない化け物もいるらしいってメアリー達の話もちょっとだけ聞いてしまったし…もしかしたらとんでもない化け物と殴り合える存在じゃないと本宅に入れないのかもしれない?

どこまでおれはこの辺境伯で動いていいのかわからない…なら別邸で大人しくしてるのが得策だと思う





「奥様!奥様!きのみありましたよ
これが酸っぱくて、こっちが甘くて、あっちは舌が溶けます」

「全部同じ見た目なのになんで一個だけ物騒なの!?」


そう思ってたけど…外楽しい
ショタネズミなチュウ太くんの案内で裏庭を越えて裏森の奥までやってきたおれ
レラージェ国では見たことない植物に動物…いや魔獣にドキドキが止まらない

おれが開拓した裏庭は平和だったんだな…と思うほど、森の奥に行くにつれてとんでもなくでっかいバッタの魔獣や、人を丸呑みしそうな花に口が着いた魔獣、知らない恐怖のきのみ等など…新発見が立て続けに現れた

そんな結構危険な森の中でチュウ太くんは…それはもうなんか歴戦の猛者の様な太刀振る舞いでおれを守って観光させてくれるからすごい…この国のショタレベル高いな?と感心するくらいすごい

その後も森の中を探検しながら、お昼は川で釣った魚を食べたり、その辺に実ってた果物食べたりと、ゆっくりと観光して…段々と日が傾く頃に別邸に戻った
夜ももしかしたらフリード様忙しくて一人かもしれない…そう思うと何処かまた楽しい気持ちから寂しい気持ちが湧いてくるんだ…




メアリーが来てるのかな?と思うほど誰もいないはずの別邸に明かりがついてて不思議に思いながら、夕飯にしましょうと、チュウ太くんに連れられて食堂に入る
その瞬間…おれの目の前に紙吹雪が舞った




「「「奥様、お誕生日おめでとうございます!!」」」

「リデン、お誕生日おめでとう」


「えっ………?!?!」



目を疑うような煌びやかに装飾された食堂…西洋ドラマとかでしか見たことない晩餐会っぽく準備された食事…皆のおめでとうって言葉…
そしてフリード様がおれに手渡してくる大きな花束は花束じゃなくて、おれが欲しくて欲しくて堪らなかったずっしりと重みのあるコメの稲穂だった……

なんでおれがコメ欲しいって知ってるんだ?前の泥で育つ植物が全然違うやつだった事も言ってない…でも今はそれよりも…誕生日?

…………………そうだ…ずっと色んな事があって忘れてた…おれ、今日誕生日じゃん…?フリード様にも皆にも言ったこと無いのになんで知ってるんだ…?


唖然としながら米束を受け取ると、黄金色に光る米束が本物であるとわかる、驚きで動揺しているおれの頬を優しく撫で、そのままフリード様はおれを抱き上げて席に移動する
席の中央には大きなケーキがあって…それはまさしくおれを祝うもので…………驚いたか?なんて聞いてくるから…心がぎゅってなって、何故か自然に涙が溢れてきた






こんなサプライズ…ズルいよみんな…








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