18 / 70
冷遇妻編
鼠と狼と磯野
しおりを挟む
Side フリード
うさ耳メイドであるメアリーが最近、別邸がおかしいのだと俺に報告してくる
あの日、寂しいのが辛いと、庭で花を愛でたいと言った可愛い番に商人を呼んで園芸の許可を出し10日ほど過ぎた頃だろうか?
まさか人国の裏庭で花を愛でるという意味が開拓で畑を作り上げることだったのには驚いたが…
野菜や花を作り自分で料理して食べているのだと涙ながらにメアリーから教えてもらい心臓が痛くなった
実際に気配を消し姿を見に行くと、本当に楽しそうに土いじりをするリデンは可愛らしく、穴を掘ることや土いじりが実は好きな狼族の俺としてはとても嬉しくもなる光景だった
番として愛を育んだら将来的に子と穴掘りを一緒にしてくれるかもしれない…
例え別邸裏の森が大きく開拓されようが俺はリデンの個性だと受け入れよう、開拓するなという冷遇方法は聞いたことがないのだからセーフだセーフ
通常の領地運営と同時に、我が家のとんでもないモノへの対応を含め、脳筋皇帝達になんとかリデンへ向かう怒りの矛先を収めては貰えないかと画策しているが…脳筋は人の話を聞きにくいため難航している
もう少し耐えてくれ…思った以上に第二王子を愛していたメニラ姫が悲しみから復活すればまだ光はあるだろうから…
リデンが冷遇されつつも少しでも過ごしやすいようにと考えていた…そんな中で別邸がおかしいと言うのはどういう事なのだろうか…?
詳しく聞くと気配が増えているのだと言う、しかし姿は見えず…だが確実にリデンに接触しているモノがいると報告するメアリー…
兎族のメアリーの聴覚は確かなものだ、皇帝からの密偵はまさかリデンに接触などしないはず…なら誰がリデンに接触しているというのだ?
俺が必死に愛し尽くしたい気持ちを抑え付け耐えているのに誰が…?そんな事をする存在を許すことなど出来るはずがない
俺の姿では密偵に不審に思われるかもしれないと、獣化し別邸に忍び込むことにした
………………………
チュウ太くんとのルームシェア生活にもそこそこ慣れたある日
芋も薄くスライスし揚げた例のアレを食べたいと朝から床でゴロゴロ転がり強請ってくる獣耳ショタをかわいいな~と思いつつ、揚げ物は危ないからソファに居てねと伝えて厨房で芋を揚げていた時、その瞬間は訪れた
「ふぎゃー!!」
カリカリに揚げた芋を皿に上げていた時に聞こえた図太いまるでおっさんのような声、おれはこんな声知らない
もしやショタを狙ったとんでもない変質者かと思いつつ、何事かと急いでソファのある恐らく応接室に向かう
そんなおれの目に映ったのは…おっさんでも不審者でもなく、獣耳鼠ショタを壁際に追い詰める…巨大な犬…ではなく巨大な狼だった
え、おっさんみたいな声狼が出したの!?!
いやいやいや、重要なのはそこじゃない…!この別邸大丈夫?狼までもが迷子なの!?他人のお家の室内で迷子しちゃうの!?
じりじりと鼠ショタを追い詰める巨大な狼を見つめながらそんな事を考えたが、この展開をどうしていいかわからなかった
どう見ても犬ではなく狼が室内にいるのだ、鼠を狩りに来たの!?獣人の国って本気の弱肉強食!?こわっ…………!
てかおれはどうしたらいい!?手に網じゃくししか持ってないんですけど!?狼相手におれはショタを救えるのか…!いや、無理!えっと………むり!
ううううっ…でも…ショタを見捨てるのは良心が痛む…
ここは磯野司である時の記憶をフル活用し…………ても犬情報しかでてこねぇ!!!あの国に狼なんていません!ワンちゃんしかいねぇんだよ前世…
どうしよう…狼も巨大な狼も実質犬って事でいい?あ、そうだ…流石に辺境伯に嫁いだ妻(男)が野生の狼に食べられてなんて展開になる前に旦那様かウサ耳メイド助けてくれる…?よな、きっと!
そんな気持ちを持ちつつ、おれは意を決して生前、遊んでた近所の犬を思い出しながら何か投げるもの、網じゃくししか持ってないのでそれを巨大な狼の足元に向かって投げる
カラン…カラカラ………みたいな滑稽な音、これに遊び方面で反応してくれなかったらもうおしまいだ…バイバイショタ、おれも直ぐ胃の中に行くよ展開
さぁ、どうなる?
結果は斜め上に何故か巨大狼がおれに懐いてくれました
網じゃくし?床に落ちたままです
鼠ショタ?この巨大狼魔法も使えるとんでもない優秀な迷子だったらしく氷の檻の中に入れられております…寒そう
そして、おれは…巨大狼が座る腹に包まれているのです…絶妙なフィット感…説明しにくいがこう…横に座ってる犬の腹スペースに人がいる感じだ
どうしよう…なにこれ幸せ過ぎる…なんでこうなったかなどわからないが幸せ過ぎる…
この世界に来て一番幸せな気持ちを感じつつ、盛大に狼の腹をもふもふしている…
狼ってこんなもふもふなの?短い毛だからもっふもふじゃないけどサラもふというか…スベモフというか!?なんかもう至福
網じゃくしを投げたらこっち向いた迷子な巨大狼は、何故かよくわからないが、寂しがりな犬みたいにくーんって鳴いておれに甘えてきたのです…え、なに?超かわいい
どうしてこうなったかわからないが久々のモフモフに心が癒されまくっておれはショタが檻の中なのにも関わらず、そのまま寝落ちしてしまうのだった………
うさ耳メイドであるメアリーが最近、別邸がおかしいのだと俺に報告してくる
あの日、寂しいのが辛いと、庭で花を愛でたいと言った可愛い番に商人を呼んで園芸の許可を出し10日ほど過ぎた頃だろうか?
まさか人国の裏庭で花を愛でるという意味が開拓で畑を作り上げることだったのには驚いたが…
野菜や花を作り自分で料理して食べているのだと涙ながらにメアリーから教えてもらい心臓が痛くなった
実際に気配を消し姿を見に行くと、本当に楽しそうに土いじりをするリデンは可愛らしく、穴を掘ることや土いじりが実は好きな狼族の俺としてはとても嬉しくもなる光景だった
番として愛を育んだら将来的に子と穴掘りを一緒にしてくれるかもしれない…
例え別邸裏の森が大きく開拓されようが俺はリデンの個性だと受け入れよう、開拓するなという冷遇方法は聞いたことがないのだからセーフだセーフ
通常の領地運営と同時に、我が家のとんでもないモノへの対応を含め、脳筋皇帝達になんとかリデンへ向かう怒りの矛先を収めては貰えないかと画策しているが…脳筋は人の話を聞きにくいため難航している
もう少し耐えてくれ…思った以上に第二王子を愛していたメニラ姫が悲しみから復活すればまだ光はあるだろうから…
リデンが冷遇されつつも少しでも過ごしやすいようにと考えていた…そんな中で別邸がおかしいと言うのはどういう事なのだろうか…?
詳しく聞くと気配が増えているのだと言う、しかし姿は見えず…だが確実にリデンに接触しているモノがいると報告するメアリー…
兎族のメアリーの聴覚は確かなものだ、皇帝からの密偵はまさかリデンに接触などしないはず…なら誰がリデンに接触しているというのだ?
俺が必死に愛し尽くしたい気持ちを抑え付け耐えているのに誰が…?そんな事をする存在を許すことなど出来るはずがない
俺の姿では密偵に不審に思われるかもしれないと、獣化し別邸に忍び込むことにした
………………………
チュウ太くんとのルームシェア生活にもそこそこ慣れたある日
芋も薄くスライスし揚げた例のアレを食べたいと朝から床でゴロゴロ転がり強請ってくる獣耳ショタをかわいいな~と思いつつ、揚げ物は危ないからソファに居てねと伝えて厨房で芋を揚げていた時、その瞬間は訪れた
「ふぎゃー!!」
カリカリに揚げた芋を皿に上げていた時に聞こえた図太いまるでおっさんのような声、おれはこんな声知らない
もしやショタを狙ったとんでもない変質者かと思いつつ、何事かと急いでソファのある恐らく応接室に向かう
そんなおれの目に映ったのは…おっさんでも不審者でもなく、獣耳鼠ショタを壁際に追い詰める…巨大な犬…ではなく巨大な狼だった
え、おっさんみたいな声狼が出したの!?!
いやいやいや、重要なのはそこじゃない…!この別邸大丈夫?狼までもが迷子なの!?他人のお家の室内で迷子しちゃうの!?
じりじりと鼠ショタを追い詰める巨大な狼を見つめながらそんな事を考えたが、この展開をどうしていいかわからなかった
どう見ても犬ではなく狼が室内にいるのだ、鼠を狩りに来たの!?獣人の国って本気の弱肉強食!?こわっ…………!
てかおれはどうしたらいい!?手に網じゃくししか持ってないんですけど!?狼相手におれはショタを救えるのか…!いや、無理!えっと………むり!
ううううっ…でも…ショタを見捨てるのは良心が痛む…
ここは磯野司である時の記憶をフル活用し…………ても犬情報しかでてこねぇ!!!あの国に狼なんていません!ワンちゃんしかいねぇんだよ前世…
どうしよう…狼も巨大な狼も実質犬って事でいい?あ、そうだ…流石に辺境伯に嫁いだ妻(男)が野生の狼に食べられてなんて展開になる前に旦那様かウサ耳メイド助けてくれる…?よな、きっと!
そんな気持ちを持ちつつ、おれは意を決して生前、遊んでた近所の犬を思い出しながら何か投げるもの、網じゃくししか持ってないのでそれを巨大な狼の足元に向かって投げる
カラン…カラカラ………みたいな滑稽な音、これに遊び方面で反応してくれなかったらもうおしまいだ…バイバイショタ、おれも直ぐ胃の中に行くよ展開
さぁ、どうなる?
結果は斜め上に何故か巨大狼がおれに懐いてくれました
網じゃくし?床に落ちたままです
鼠ショタ?この巨大狼魔法も使えるとんでもない優秀な迷子だったらしく氷の檻の中に入れられております…寒そう
そして、おれは…巨大狼が座る腹に包まれているのです…絶妙なフィット感…説明しにくいがこう…横に座ってる犬の腹スペースに人がいる感じだ
どうしよう…なにこれ幸せ過ぎる…なんでこうなったかなどわからないが幸せ過ぎる…
この世界に来て一番幸せな気持ちを感じつつ、盛大に狼の腹をもふもふしている…
狼ってこんなもふもふなの?短い毛だからもっふもふじゃないけどサラもふというか…スベモフというか!?なんかもう至福
網じゃくしを投げたらこっち向いた迷子な巨大狼は、何故かよくわからないが、寂しがりな犬みたいにくーんって鳴いておれに甘えてきたのです…え、なに?超かわいい
どうしてこうなったかわからないが久々のモフモフに心が癒されまくっておれはショタが檻の中なのにも関わらず、そのまま寝落ちしてしまうのだった………
3,849
お気に入りに追加
4,892
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
偽物の番は溺愛に怯える
にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』
最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。
まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
幼馴染みとの間に子どもをつくった夫に、離縁を言い渡されました。
ふまさ
恋愛
「シンディーのことは、恋愛対象としては見てないよ。それだけは信じてくれ」
夫のランドルは、そう言って笑った。けれどある日、ランドルの幼馴染みであるシンディーが、ランドルの子を妊娠したと知ってしまうセシリア。それを問うと、ランドルは急に激怒した。そして、離縁を言い渡されると同時に、屋敷を追い出されてしまう。
──数年後。
ランドルの一言にぷつんとキレてしまったセシリアは、殺意を宿した双眸で、ランドルにこう言いはなった。
「あなたの息の根は、わたしが止めます」
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる