悪役令息はモブに愛を捧ぐ

たなぱ

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同室という策を講じる

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警告の元凶、王太子殿下の婚約者を辞退し、エア.モブヴィールの下へ嫁ぎたい

おれに明確な目標ができた、エアの情報で、この既視感の先に待ち受けるものは恐らく断罪、それをただ待つのは馬鹿だろう
これまで、先が見えず進め無かったおれの目標を成し遂げるべく早速行動に移した


気が済むまでエアを堪能して元気になったおれは、とりあえず学園長室へ向かう、もちろんエアを連れて
上手いこと話を合わせてほしいと説明し、公爵子息の名を使って学園長に面会を求めた
拒否されることなどないのはわかっている、おれの実家がここへの援助金をいくら払っているか、それを考えれば当然だ
当の学生であるおれはやってもいない苛めの主犯のまま、よく考えれば、王太子殿下のご機嫌取りに付き合っているんだから面会とこれから言う要求くらいさっさと通して欲しい


教務棟と最奥に重厚な扉がある
その先に居るのがこの学園の長、セレリック王弟殿下だ


「学園長、面会のお時間を頂きありがとうございます、本日は至急、学園長の承認が必要事があり、面会を求めました」

「よく来た、リナルドくん…とたしか…編入生の…隣国の方だったね
一体至急とは何用かな?王太子殿下と神子様の件については、一時の気の迷いだよ、この国の王妃となる者としてこれくらいの逆境は乗り越えなさい」


何時もと同じセリフを吐く学園長…エアの名前すら把握してない…
王妃として王妃として…王太子の行動は全て目を瞑る、それが王家のやり方なのか?この国が不安になる…


「今日は別件です、隣国からの留学生、エア.モブヴィールさんが闇属性であるとお聞きしまして、自分以外の闇属性の魔力を持つものに学園でお会いしたことがなく、研究も兼ねて魔力の波長を見せてもらったんです
結果、彼の魔力と私の魔力に最高レベルの同調を確認できました
これは闇の聖獣の守り人であった者達と同じ傾向にある可能性があります、同じ空間で日々同調を試みたく、私とエア.モブヴィールさんとの同室を認めては頂けませんか?」


「な、本当か!?…闇の同調を…まさか…!」


「私が嘘を言ったことがありますか…?学園長…
モブヴィールさん、手を貸して?私に重ねて魔力流してみて」


打ち合わせ通りエアは迷わずおれの指示に従ってくれる、闇の魔力を乗せた手をエアの手に合せると、途端にじんわりと温かく広がり始め、混ざり合う闇の魔力が部屋中に立ち込める

闇属性で無いものには同調しているように見える光景、実際はただエアとおれの魔力の相性がヤバ過ぎるってだけの話も今は同室を勝ち取るのに重要だ


「本当に同調している…!!ただでさえ希少な闇属性が同調を…!」

「おわかり頂けましたか?彼と同室になれば毎日同調した魔力をこの地へ届けられます」

「ああ!み、認めよう!もちろん認めよう!少しでもこの地が闇の魔力で満たされれば、いずれまた聖獣様が降臨される可能性が高まる…任せたぞリナルド!」

「はい、もちろんです、エアは私の自室が一人部屋なのでそこで相部屋と言うことで
要件はそれだけです、学園長の素晴らしい決断をきっと伝説の聖獣様もお喜びだと思いますよ
では失礼します」



この国に残る、実在した闇の聖獣様の伝説
約1000年この地を守り反映させ聖獣が亡き後も、穏やかで平和な国として今もある
闇の聖獣は闇属性が集う場所に現れる…そんな言い伝えは誰が始めたのか、知らないが今回はそれを利用させてもらった
自分の代で再び聖獣を呼び込みたい、王家が考えていそうな事だ…

予想通り余裕でエアと合法的に同室になる権利を手に入れた、隣を歩くエアが驚いた顔をして着いてくる



「リナルド様…いまのって…?」

「聖獣様のお力をちょっと拝借して…内緒にな…?同調はあれだけどおれたち相性はとんでもなくいいよ…エア♡
部屋に帰ったら魔力込みで触れ合ってみる?」



触れ合うかどうかしか聞いてないのに赤くなるエアは本当に可愛かった
おれの自室にエアの荷物は後で運ぶとして、とりあえず実家へ今後の事について連絡しよう
自室戻り、おれの私服と買い置きの下着をエアに何枚か渡す、荷物は明日と言うと納得してくれた
実家へ連絡するから寛いでていいよと付け加えておれは通信魔法を使う



「父様、お伝えしたいことがあり、連絡失礼します
王家との婚約、婚姻の契約ですが、王太子殿下と神子様の交際が修正不可能なほど悪化し、王太子殿下は契約を守ってくれません
別途、映像記録して詳細を添付します確認してください
また本日、余りにも酷い仕打ちに心が砕けそうになり心労から倒れた所、隣国の辺境伯子息に助けられ、学園でのおれへの仕打ち、王太子殿下の所業に心を痛めて下さりもしも婚約解消となればルディア国辺境伯へ嫁ぐことも可能とお話を頂きました、契約の書類も送ります

取り急ぎご報告します、お時間がある時に詳細を話し合いた……………「リナルド!!!大丈夫か!!!!」」




灰色の世界でも本当におれの家族はすばらしい家族だ、即座に映像通信が繋がった
今まで心配を掛けてはいけないと隠していた、現実を通信先の公爵家全員に王太子の所業を見てもらう
王家直属の記録機関で販売してる記録石、つまり映像は全て本物だ、王太子と神子がおれを前に堂々と深いキスを見せつけ、恐らく肉体関係まで行ってるであろう怪しさも余す所なく伝えた

おれが王太子殿下との婚約を幼い頃嫌がっていたことを覚えている両親に、未来の王妃になる者としてこの程度の問題も解決できない自分が情けない、でも愛どころか共に国を守るべき相手には自分に情すらない…………そう思い詰めた様に泣くおれを両親はちゃんと信じてくれる
王家との話が破談になれば次の縁談が難しい、先の未来が見えないだから動けない、どこまで影響があるかわからないからと、怯えていたおれはもういない、今こそ既視感以外を自分で作り出す時だ



「お願いします父様…母様…互いに尊重し合う、婚前に不貞行為はしないと約束してくれた王太子殿下はもういません…おれは可愛げがないと、このままでは神子様を正室に…おれは陰で政務を行うだけの存在になるかもしれない…もう無理です、解放されたい…
モブヴィール辺境伯子息は、おれを救って…必要としてくれるんです…お願いします…」



映像越しに、灰色の世界の影響で感情の乏しかったおれが涙を流し、訴えるその姿はさぞ哀れだろう
涙は男の武器にもなる、いくらでも流せる


悲しい顔で父様が、母様が言う
「リナルド…辛かったな…お前が王家との縁談の話が出たとき絶望的な顔をしていたのを思い出したよ
せめて誠実に互いに幸せになれるようにと、契約事項を入れておいて正解だったな…
それでも、傷物になるリナルドが哀れだが…モブヴィール辺境伯子息の話を信じられるなら、私が動こう」

「リナルド、婚約者として殿下との気持ちを育みなさい………そう言ったけれどこれは余りにも酷いわ…
きっと相当の思い詰めていたでしょ…?
王家との縁談が無くなっても我が家は大丈夫、貴方の事だから、我が家の立場も心配してくれたのでしょう?大丈夫よ、モブヴィール辺境伯子息は信じられる方なのね…
そんな人に息子が出会えてよかったわ」



画面の向こうで、兄や姉は少し泣いているようだ
優しい家族で嬉しいよ…
少し脚色したが、王太子の所業は本当に全部本物だ
暫く最近の報告をしあい、明日王城で国王陛下に事のあらましを伝え、婚約解消を申し出てくると父様は約束してくれた
もちろん解消後は、エアとの婚約も許そうと…
ありがとう父様…みんな…例え灰色に見える存在でもおれの大切な家族だよ…

通信魔法を切る瞬間、画面の向こうで家族に色が見えた気がした………………

















「リナルド様、話し合い終わりましたか?
あ、僕もちょっと父上達に話入れてみたんです!そしたら大喜びであちらと解消されたら婚約しなさいって…………わわっ!リナルド様?どうしました!?」


エアがおれの私服…部屋着を着てるのが余りにも可愛すぎて抱きしめてしまう

おれよりやっぱり…筋肉ないじゃんエア
少しおれのほうが身長も体格も良いのがわかる、ちょっとだけブカブカの部屋着を着てるエア…早くお前と婚約したいよ…


「早くエアの妻になりたい…」

「!!!!!ぼ、僕も!早くリナルド様をお嫁さんにしたいです!」


迷わず言ってくれることが嬉しい
しっかりと見つめ合い、互いの気持ちを確かめ合う
そう言えば学園長に魔力を流すとかいったな…
魔力乗せて色々するのもそれに含まれるよな?


「エア、キスしていいか?
魔力を舌に纏って混ぜ合わせるキスがしたい」



おれの声に、今日であったばかりの筈のエアは素直に答えてくれる、口を開き舌を少し差し出しておれを迎え入れようとする姿が可愛すぎる

魔力を舌に乗せてエアの口内にゆっくりと差し込み、出迎えてくれているエアの舌に自分の舌を重ねる…激しく絡めたり扱く事はしない、ただ、魔力を混ぜ合わせる
舌越しに、じわじわと温かく感じる魔力が心地良い
魔力の相性は疑いようもなくいいだろう
舌を重ねて合わせているだけなのにゾクゾクと気持ちよさが込み上げてくる、充分魔力が混ざった証拠だ、唾液が溢れてくる、くちゅくちゅとエアの舌を愛撫し始めるとエアも気持ちいいのか、おれにしがみついて喘ぎ始めた


「……………っ♡ん゙ぁ゙っ、ぁ゙っ………♡んんっ………♡したびりびり♡♡♡しゅる………ぁ゙んっ………♡♡んむ~~~♡♡♡」

「んっ、…………ちゅっ♡…………んんっ♡エア、エア♡」


くちゅくちゅ♡ぴちゃ♡くちゅ♡
2人の間から卑猥な水音が響く
ほんの少し舌を動かすだけでビリビリと快楽が脳を突き抜ける、混ざり合った魔力は相性が良ければいいほど、気持ちいいというが…………ここまで気持ちいいのか…?

甘く感じる口内を貪る、自分の魔力を粘膜に塗り込むように上顎を愛撫し、喉奥に魔力を流し込む
エアはおれの舌を追いかけ噛んでほしそうに甘えてくる…可愛い
舌同士を絡め、おれの口内にエアの舌を招き入れ犬歯を当ててあげると、一層ビクビクと快楽で身体が震えるのがわかった

エアがして欲しいことは何でもやってあげたい♡
震える舌を吸い出し、逃げられないように後頭部を押さえ、甘く噛みついた

「ん゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ♡♡♡♡♡ひゃっ♡♡♡ん゙ん゙ん゙っ♡ぁ゙♡ぁ゙♡ーーーーん゙ん゙ん゙ん゙っ♡♡♡♡」

かぷかぷ♡くちゅ♡はみはみ♡♡
ぢゅるる♡かぷかぷ♡♡♡♡
舌先を全体を、吸い出しながら先端だけを何度も甘噛みする、可愛い、可愛い♡
快楽に震え喘ぐエアがかわいい、おれを信じ身を委ねてくれるエアが可愛い♡

暫く舌を甘噛してエアを堪能していたら腰が抜けてしまったのか、その場に崩れ落ちそうなエアに気づき、足の間に自分の膝を入れ支えてあげた


「ん゙っ!?!?ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙♡♡♡♡ィ゙っーーーー♡♡♡♡♡」

一層ビクビクと震えるエア
ぷつりと意識が飛んだのかおれにより掛かる愛しい存在、彼をよく見ると股間がじんわりと濡れている………
おれとのキスでイったのか…………可愛い♡
抱き抱えてベッドへ向かう、これから婚約者になるしおれ達は合法的に同室だこれはスキンシップに過ぎない

ベッドへ寝かせて衣類に洗浄魔法を掛け、唾液で濡れた口元を拭いてやる
今日はここまで、明日には事の進捗が進むはず
早くもっとエアに直に触れたい…
衣服越しでも充分暖かいエアを抱きしめておれも眠る
これはただの添い寝だ、看病ともいう









世界が輝いてみえる
エアがおれに色を、希望をくれるんだ…






















王太子殿下と神子様はおれの知らないところで勝ってに幸せになってくれ
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