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平凡が異世界で獣と出会う話

平凡は首輪を貰う

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おれはあの牢屋できっと脱水死んだのだろう



知らない天井が見える
乾きを感じない身体、滑らかで手触りのいい服を着ているおれ
手のロープも外されているのか痛くなかった
極めつけにおれに巻き付くような犬と思われるもっふもふの尻尾、巻き付いているからドでかいワンちゃんなのかもしれない


ここは天国か…恐らく近所の玉次郎(犬)を可愛がっていた徳が功を奏したんだな
ありがとう玉次郎、ありがとう八百万の神様!ちゃんと天国へ連れてきてくれてありがとう

もっふもふの毛並みを撫でてみる、素晴らしい…サラサラ具合も神だ、さすが神様
次の転生先は~とかなんとかかんとかこの先あるのかもしれない

しかし、儚い人生だったな…途中まで順風満帆な平凡平穏な生活…あの幸せのまま老後に行きたかった…
顔のいいやつは怖い、おれ学んだ
来世では平凡な面構えの人と交流しよう、後輩に顔がいい奴来たら発作で倒れよう、顔がいいなんて地雷だ地雷




不意に、おれに巻き付いているお犬様の尻尾が離れていく
お犬様起きられましたか?天国へのお誘いありがとうございます…そう伝えたかった、しかしおれの顔を覗き込みに来たのは犬耳が生え、もっふもふの尻尾を装備した顔の良い男だった



「地雷だーー!チェンジ!!!」
そう叫んでしまったおれ、悪くない





お犬様は犬耳生えた男前様でした
おれは現在、全力で土下座している

「脱水で死にそうだったのを助けたんだが…いらないなら世話だったか?」
「いえ、滅相もございません、貴方様のお陰で私生きて深呼吸できている喜びを噛み締めております…救って頂きありがとうございました!
ちょっとばかし顔がいい奴にトラウマを持っておりまして…貴方様の顔の良さについつい本音が…」

おれを助けてくれたお犬様改めて、男前様はこの城の第一王子だった、第一王子、グレス.ヴェゼル様
銀と黒の髪に同じ色合いの犬耳、とてもふさふさで立派な尻尾、手首から腕、背中、はふわふわの毛が生えており犬に近い半分人間、半分犬のような男前
おれのトラウマ、顔がいい奴だ

グレス第一王子は聞いてないけど色々丁寧に説明してくれた
ここはガレナ神聖国と言うらしい、瘴気とかいうやばい物質を浄化できる神子を召喚してる国
その召喚でおれは来たのだろうと、しかし本来の神子のおまけとして、巻き込まれてしまった可能性が高いと
ただおれには異質で異様な気配があるらしい
その気配を辿って見つけたのが脱水で死にそうなおれ、余りにも不憫に思い拾って持ち帰ったそうだ

死にそうなおれを看病してくれたのもグレス第一王子、まさか口移して水とか薬とか飲まされてたなんて聞きたくなかった…男前からのキスを喜ぶようにできてない…それでも命の恩人、感謝しても仕切れないのは事実だ


なるほど…楓原はその神子ってなのか…あの道路でおれを無駄に巻き込んだ女が神子…この世界は大丈夫か…?
神子と一緒に現れたthe王子はグレス第一王子の弟でアルフ第二王子、神官っぽいのは大神官でマーレリックさんと言うらしい…覚えなくていいや
そして、おれを牢屋に運んだ人は知らんと、…うんモブ兵士か




そんなこんなでここはグレス第一王子の住まう離宮

先祖返りで人ではない姿の彼はここに住み、時々命を受け瘴気で侵された魔物の討伐に行くらしい
………第一王子とは??可哀想な人かもしれない



そして一番大切なこと、おれの立ち位置だが現状では異物、神子召喚の不安因子、国家を揺るがす賊扱いにされる可能性が高い
理由はくそthe王子の第二王子とおれに酷いことをされたと言いふらす楓原が原因
今は地下から勝手に持って帰って来たが、バレればまた牢屋、今度は毒でも盛られるんじゃないかって予想とか…おれの人生…しんどすぎる…



「ユウマはどうしたい?このまま、ここで生活するにもいずれは見つかる、問答無用で牢屋行きだ…
だが、全て丸く収まる良い案が一つある、ユウマ、俺に飼われてみないか?」


おれはとんでもなく嫌悪を満ちた顔をしたと思う
なんだよ飼うって、ペットか?異世界人ペットか?
男前だからって何言ってもいいと思うなよ!!!
命の恩人だけどな!!!許せん!




「いや、ちょっと人扱いされないのは…ちょっと」

「ん?人扱いするが?…ああ、言い方悪かったな
俺に牢屋で拾われて飼われ始めた設定の異世界人にならないか?
俺はこの姿だ、国王も国を守る役目を担っているうちは無碍にできない、これでも色々融通が効くんだ、お前を拾ったから飼うと国王に認めさせればユウマ、お前は俺の所有物、第二王子は口出しできなくなる」

「………うん、なる…ほど…?グレス第一王子の所有物だから身の安全は大丈夫みたいなそんな作戦か…」

「まあそんな所だ、どうする?牢屋か飼われるか好きな方を選べ」



そんなの答えは一つしか無いじゃないか…
飼われたいですと言ったおれの気持ちはペットショップの犬だった…









グレス第一王子は仕事が早い
早速王宮に向かい、国王へ「牢屋に捨てられてたやつ貰っていい?」と軽いノリでおれの飼育権を勝ち取ってきた
しかし、飼育には色々問題がある!!!
目の前にある首輪…そう首輪…
グレス王子の髪と瞳を思わせる美しい魔方陣が刺繍のように書かれた宝飾もついている首輪…
これをおれは着用しないといけないらしい

「ほんの少し隷属の術が入ってるが、ほとんど害はない、牢屋にいた異質な存在だからな、手枷足枷まで渡してこられなくてよかった
俺に飼われ、逆らわず、ほかへ被害を出さないと誓うための首輪だ、契約のための物だと思って欲しい」

「隷属…????ほ、ほんとに大丈夫なのでしょうか…あの…首輪する程の人生歩んでなくて受け入れていいかとんでもなく悩むんですが…」


どうしろと言うんだ…首輪、隷属、契約
ワードだけ聞くと恐ろしい…すげー恐ろしい
付けたら最後、騙されましたね一生奴隷ですねとかありそうで恐ろしい…
ちらりとグレス第一王子を見る…とても真剣な顔だ…おれの安否を思って色々してくれた王子…
首輪と王子への罪悪感で揺れてしまう…


「ユウマ…俺はお前にこれを付けて身の安全を確保して欲しい、俺の所有物として俺に守らせて欲しい…」


悲しい顔して言うなよ男前ー!!!なんでそんな気を使ってくれるの???昔飼ってたペットに似てたりする?
でも味方もいないこの世界で唯一おれに優しくしてくれた王子…信じないほうが絶対に罰が当たる…

グレス第一王子をじっと見つめ、おそるおそる首輪へ手を伸ばす
思ったよりも軽く手触りのいい首輪…首がかぶれるとかそういうことにはならなそうだ
自ら首に首輪を付けていく、サイズがぴったりなのは異世界仕様か…カチリと項で鍵の閉まる音が聞こえた

ふと気づくと、いつの間にかおれに近づき首輪へ触れるグレス第一王子
ブツブツと何か呪文を唱える終わると首輪全体がほんのり熱くなった、これは一体…?

同時に感じる視線…




ニヤリ…
グレス第一王子が怪しく笑う姿と目があった























「んーーっ♡んぶっ、んんっ♡ん、はぁはぁ、舌やらぁ♡♡ちゅーやめ、♡♡♡」
「ユウマ?抵抗しちゃ駄目だろ?俺のユウマ、もっと俺に唾液分けてくれないと…口開いて舌を出せ」
 
「っあ…♡ぁ♡………はぃ♡」
舌なめずりをする王子へ身体だけは素直に口を開いて舌を伸ばす、チロチロと舌が触れ合うだけで痺れる、舌を吸われ、口内を掻き回されて出た唾液を残らず舐め取られてしまう

「っーーーー♡♡♡ン゙ぁ、しびれりゅ♡ぁ、んむ~~~~♡♡♡」



やばいやばい
身体の自由が効かない、グレス第一王子の声に歓喜するように自分の意思とは勝手に動いてしまう
首輪がしっかりと付いたことを確認した王子は犬じゃなくて狼でした…
ニヤリと微笑んだかと思うと抵抗するなって急にキスされて現在も延々とキスされてる
ちょっとした何が隷属だよ!!がっつりだろ!!!影響ありすぎだよ!!!

執拗におれの口内を舐め回し唾液を貪っていく王子、意識と身体の感覚が別々なはずなのに男とのキスで感じまくってるおれがいて悲しい…

上顎やめて…舌の根本くりくりしないで…
気持ちいい、隷属やばい、口のナカ気持ちいい…
吸われすぎて舌が痺れる、唾液なんてもうカラカラで出てこないことあるのって心配になる



「っ………♡♡はぁ…ぅん~~~♡だいいち、んぁ♡でんか、おれ、ひからびちゃ……」
正常と異常の狭間で何言ってんだよおれ…
酷く楽しそうで嬉しそうなグレス第一王子様…一体どういうことなんだよ…



「グレスと呼べユウマ、今後敬称はいらない
喉乾いたろ?水飲ませてやるからおいで」


「はい…」

まさかの名前呼びを強制され、
素直に従うおれの意志とは違う身体
ソファへ座るグレスへ跨るように膝に座る
もう何がしたいのかわかった
案の定、果実水を手慣れたように口含みおれへ口移してくる



ぴちゃぴちゃ
「ん、ちゅ…♡っ……んっ、んっ………ふぁ♡」
卑猥な水音にくらくらする…
グレスの口に自ら舌を入れ水分を欲するおれ、おれの意思ではない…!
何度も口移しでの果実水を強請り、口内での快楽を覚えさせられてる…なんでこんな…
水分補給が終わると再び、グレスはおれの唾液を啜り、舐め取り奪っていく
そんなに俺の唾液なんかやばい物質入ってるのかよ

急な展開に首輪に身体を支配されたおれの思考がついて行けず、涙が溢れてきた
グレスが動揺したのか首輪の力が弱まる…?
自分で声を出せるようになり必死に訴えた


「なんで、なんでこんなこと…ううっ、するんだよぉ…おれのこと、嫌いならすてとけよ…っく…う、う、男前にやさしくしたりすんなーーっ、ぐず、くずっ…なんで唾液ばっか、吸うんだよ…干からびるって!うーーーっ、ひっく…」


現在も向かい合わせにグレスの膝に乗ったまま泣きじゃくるおれ、23歳
背中をぽんぽんしたり、頭なでたり慰めないで欲しい、原因はお前だ、お前
ほんと訳解んないとこするなら捨てておいて欲しかった…人生こんなハードモードなのおかしすぎる…
男となんでキスしまくらないといけないんだよ…説明しろよ……




暫しよしよしされたおれにグレスが言った回答は
「泣かれると悪いことしてる気になる、なんで唾液欲しいか、それはユウマの体液が俺にとっての特効薬だからだ
あと、好き嫌いで言えばユウマは好ましい、首輪で今後の生活全てを守ってやるんだ、体液くらい家賃のような物だろう?」











???????
どこからツッコんだらいいの!!!!


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