黒騎士爆走物語

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一件落着の部屋1

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「大変、申し訳なかった!」

深々と下げる頭は短く刈られた短髪。
人間体に変身したスライが、謝罪をしている真っ最中であった。

「まあまあ、初めて使う機械のせいで互いに行き違いがあったからしょうがねえですよ」
「何度でも言ってやるが、そもそもの原因の一部はお前だからなテンリィ」

場所は施設内、一階に設置された休憩所。
意識を取り戻したスライの身体に異常がないことを確認して、三体連れ立ってきたのだ。
破壊されていない落ち着ける所を探すのは大変だったとは、久しぶりの機械操作と本気出しての戦闘で疲労困憊のキューの談である。

ぐでりと椅子の背にもたれかかり、行儀悪くコップの水を啜る姿にかつて黒幕と誤認されていた面影は全くない。
あんまりにも気の抜けたその様に、スライの方も悪巧みをしているのでは、という疑いが徐々に晴れつつあるようだった。

「繰り返して確認させてもらうが……我がサムニエ国に敵対する意思は、貴殿らには」
「ない。こちとらただのなんでも屋だぞ。国に歯向かう意思も理由も金もない!」

同じく水を啜りながら、テンリィが補足を入れる。
現在地はスライが倒れた戦地より相当離れた場所であり、そこより更に遠いサムニエ国の距離は推して知るべし。
仮に敵対の意思があったとして、そんな遠い遠い国をわざわざ狙うなんてよほどの旨味がない限りありえないだろう、と。
スライは頭の中でよほどの旨味について思案したが、どのみち敗戦したばかりの自国は相手に占領されつつある状況である。
第三者が割込む利点も余地もない。
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