黒騎士爆走物語

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最終決戦の部屋5

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余裕綽々ですがなにか? というように立っているが、その実ここに至るまでの準備が大変だったのは、当インキュバスしか知り得ぬ事実だ。

(テンリィが巻き込まれないように移動させて部屋の位置変えて電気系統の配線変えてあいつが渡り廊下のどこから出てくるか当たりつけて触手に言うこと聞かせて! どんだけしんどかったと思ってんだ卑怯だと思うならお前がやってみろや!!!)

もはや八つ当たりである。

なお、八面六臂の大活躍をしている触手生物はテンリィの眷属である。
どこぞの戦場でタコ殴りにしたのを切欠に、懐かれたので連れてきたのだとか。
知能や性質が犬に似ている彼はあくまでテンリィを主人とみなしているため、キューが言うことを聞かせるのは結構な労力を使うのだ。
閑話休題。

「ぐ、……この……」

なんとか転がりながら触手の攻撃を交わし続けているが、スライの動きは目に見えて鈍くなってきている。
ある意味当然の結果とも言えた。
体力魔力共に尽きた状態で運び込まれ、機械触手によりなんとか回復したとはいえ、その後穴の部屋で麻酔液を掛けられるなどしながら大暴れし続けたのだ。
いつ限界を迎えてもおかしくない状態と言えた。

「あんた、頑張ったよ」

湧いたのは憐れみか。
とうとう床に這いつくばり、動かなくなった黒鎧に声を掛ける。
攻撃を途中で止めさせられた触手生物は不機嫌そうに唸っている。
機嫌は後で取ることとして、キューは言葉を続けた。

「敗戦したとか言ってたけどさ、たぶん劣勢だとわかってても手は抜かずに一生懸命戦ったんだろうな。大した愛国心だ、なんて皮肉言って悪かった」

だけどもうこれまでだ。
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