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黒騎士爆走物語10
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小手の甲で廊下の壁を軽く叩いてみる。
曇りガラスの部分は衝撃を加えれば簡単に割れそうだ。
ならばいつまでもグズグズしている理由もない。
私は剣を構え、少しばかりの力をもって振り下ろした。
「さらば、謎の施設……!」
ばりん!
と、乾いた音と共にガラスが割れ落ちる。
力加減がうまく行き、ちょうど私が通り抜けられそうな大きさの穴が空いた。
「さて」
そのまま飛び出す前に。
私は穴から外を覗き込む。
実はこの施設は崖際に建っており、空中に真っ逆さま、などとなったら笑えない。
割れた穴からは風が吹き込んでいる。
ずっと窓もない壁に囲まれた部屋にいたものだから、それだけで開放感を感じた。
外に出られる。
外の景色が見られる。
少しばかりの期待と希望を抱き、兜のスリットから目を大きく開く。
その時だった。
希望が絶望に裏返ったのは。
「は?」
視界いっぱいに映ったのは、肉の色。
見覚えのあるそれは、先程落とし穴を必死でかいくぐり、最後に叩きのめした触手とよく似ていた。
違う。
似ているのではない、それそのものだ──!
「ぐっ!」
理解した時には既に遅かった。
胴に触手が巻きつき、穴から引っ張り出される。
そうして強制的に外の景色を視認した私は、驚愕することとなる。
「なんだ、これは」
白い壁に囲まれた空間。
渡り廊下をすっぽりと覆うようなそこは、落とし穴の部屋よりも更に大きな部屋だったのだ。
べちりと無造作に叩きつけられた身体が、土の匂いではなく人工物の平らで固い床の感触を嫌でも認識する。
曇りガラスの部分は衝撃を加えれば簡単に割れそうだ。
ならばいつまでもグズグズしている理由もない。
私は剣を構え、少しばかりの力をもって振り下ろした。
「さらば、謎の施設……!」
ばりん!
と、乾いた音と共にガラスが割れ落ちる。
力加減がうまく行き、ちょうど私が通り抜けられそうな大きさの穴が空いた。
「さて」
そのまま飛び出す前に。
私は穴から外を覗き込む。
実はこの施設は崖際に建っており、空中に真っ逆さま、などとなったら笑えない。
割れた穴からは風が吹き込んでいる。
ずっと窓もない壁に囲まれた部屋にいたものだから、それだけで開放感を感じた。
外に出られる。
外の景色が見られる。
少しばかりの期待と希望を抱き、兜のスリットから目を大きく開く。
その時だった。
希望が絶望に裏返ったのは。
「は?」
視界いっぱいに映ったのは、肉の色。
見覚えのあるそれは、先程落とし穴を必死でかいくぐり、最後に叩きのめした触手とよく似ていた。
違う。
似ているのではない、それそのものだ──!
「ぐっ!」
理解した時には既に遅かった。
胴に触手が巻きつき、穴から引っ張り出される。
そうして強制的に外の景色を視認した私は、驚愕することとなる。
「なんだ、これは」
白い壁に囲まれた空間。
渡り廊下をすっぽりと覆うようなそこは、落とし穴の部屋よりも更に大きな部屋だったのだ。
べちりと無造作に叩きつけられた身体が、土の匂いではなく人工物の平らで固い床の感触を嫌でも認識する。
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