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黒騎士爆走物語3
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飛距離は充分あった。
半ば成功を確信して、扉へ手を伸ばす。
しかし誤算があった。
掴んだドアノブが思いの外脆かったのである。
パキ、と儚い音を立てて根元からもぎとれた。
「あっ」
足を掛けられる場所はない。
あわや、私は謎の液体に全身を放り出すことになってしまった。
バシャァン!
と、思ったのだが。
「……浅いな!?」
派手な音を立てた割に、浸かったのはかろうじて膝まで。
思っていたよりショボい罠に、真剣に策を講じていた自分が少し恥ずかしくなった。
落とし穴の深さもそこまでないので、扉を開ければ簡単に這い上がれる。
ますます恥ずかしくなった。
「んんっ」
無意味に咳払いなどしてみる。
黒幕が見ていないといいなと思ったが、目の前にピンポイントで罠を作動させた時点でこちらをしっかり監視しているだろう。
殴るなどして記憶を飛ばすしかない。
黒幕への敵意が更に上がった瞬間だった。
「いかん、切り替えていこう」
声に上げて気を取り直す。
ドアノブ自体が取れたことで、扉はあっさりと開いた。
鎧の隙間から侵入してきた液体の粘つきに若干の不快感と懐かしさを感じながら、扉の向こうへと身体をねじ込ませる。
「こ、コレは……?」
そこには初めて見る光景が広がっていた。
ウィーン。ガシャン。ウィーン。ガシャン。
ひっきりなしに機械の駆動音が響き、空間全体が騒がしい。
訓練室よりも広い部屋に人はなく、ただただ音だけが響いている様はとても奇妙だった。
騒音元は床だ。
先程と同じような仕組みで、落とし穴が開いたり閉じたりしているのだ。
位置が揃っているわけでもなく、開閉のタイミングもバラバラ。
分かるのは相当な数の落とし穴が設置されていることと、
向こう側にある渡り廊下へ繋がるとおぼしき出口が、穴共の向こうにあることだった。
半ば成功を確信して、扉へ手を伸ばす。
しかし誤算があった。
掴んだドアノブが思いの外脆かったのである。
パキ、と儚い音を立てて根元からもぎとれた。
「あっ」
足を掛けられる場所はない。
あわや、私は謎の液体に全身を放り出すことになってしまった。
バシャァン!
と、思ったのだが。
「……浅いな!?」
派手な音を立てた割に、浸かったのはかろうじて膝まで。
思っていたよりショボい罠に、真剣に策を講じていた自分が少し恥ずかしくなった。
落とし穴の深さもそこまでないので、扉を開ければ簡単に這い上がれる。
ますます恥ずかしくなった。
「んんっ」
無意味に咳払いなどしてみる。
黒幕が見ていないといいなと思ったが、目の前にピンポイントで罠を作動させた時点でこちらをしっかり監視しているだろう。
殴るなどして記憶を飛ばすしかない。
黒幕への敵意が更に上がった瞬間だった。
「いかん、切り替えていこう」
声に上げて気を取り直す。
ドアノブ自体が取れたことで、扉はあっさりと開いた。
鎧の隙間から侵入してきた液体の粘つきに若干の不快感と懐かしさを感じながら、扉の向こうへと身体をねじ込ませる。
「こ、コレは……?」
そこには初めて見る光景が広がっていた。
ウィーン。ガシャン。ウィーン。ガシャン。
ひっきりなしに機械の駆動音が響き、空間全体が騒がしい。
訓練室よりも広い部屋に人はなく、ただただ音だけが響いている様はとても奇妙だった。
騒音元は床だ。
先程と同じような仕組みで、落とし穴が開いたり閉じたりしているのだ。
位置が揃っているわけでもなく、開閉のタイミングもバラバラ。
分かるのは相当な数の落とし穴が設置されていることと、
向こう側にある渡り廊下へ繋がるとおぼしき出口が、穴共の向こうにあることだった。
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