黒騎士爆走物語

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黒幕は決意する2

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まさか職場の部下が恋のライバルになるなんて!?
どこかの恋愛漫画のようなタイトルがキューの頭にババンと浮かび上がる。
ショックのあまり座っていた椅子にくずおれた。

が、それも一瞬のこと。
脳裏にはかつて仲良くしていた記憶が走馬灯のように巡る。

『いいですか、キュー。火炎瓶はただ基本を作るだけでは威力は出ません、重要なのは中に何を入れるかです』
『触手生物は他種族を繁殖に利用すると思われがちですが、触手を入れて内側から食べていく食物パターンの方が多いんですよ』
『見てくださいキュー! 触手のしなりだけで木を折れました!』

いや……恋愛は、しないかなあいつ……

キューは長年の経験から、戦いたい欲が抑えきれなかっただけだろうと判断した。
ではなぜ嘘をついたのか。

「……俺が、腑抜けてたからかな」

思い当たるのは、黒騎士が部屋を出る間際に呟いた言葉。

『いつか必ず、お前に報いを受けさせてやる』

少なくとも、黒騎士は戻ってくるつもりだ。
黒幕だと思っているキューを倒しに。

詳しく調べることはしなかったが、身につけている鎧に刻まれた紋章はどこかの集団に所属しているという証明だ。
下手をすれば、討伐隊を組んで大多数でやってくるかもしれない。

そして今のところ、黒騎士はキューの正体を知らない。
下手をすれば、近隣で疑いのある者を全て攻撃対象に、なんてことにもなりうる。

そうなればわりを喰うのはラタ街の住人達だ。
戦争の被害から逃れてきた者達に抵抗するための武力はない。
子供だって大勢いるあの街を、訓練を積んだ大勢の騎士達が襲いかかってきたとしたら。
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