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黒幕は決意する1
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四方を機械で埋めつくされた部屋。
管理室で一人、モニターを眺めるインキュバスがいた。
静まり返った部屋には、機械の駆動音のみが響いている。
生物の声はない。
先程まで隣で言葉を発していた部下は、今や変わり果てた姿でモニターの画面上に倒れ伏していた。
資料を集めてくると嘘をつき、止められていたはずの直接対面を強行した挙げ句に負けたテンリィに対し、黒幕は静かに口を開く。
「なんで?」
言うや否や、キューの顔から滂沱のごとき汗が噴き出す。
彼にとってこの事態は完全に予想の範疇を超えていた。
管理室とテンリィ達が戦った部屋が近いせいもあるのか、彼女達のやりとりははっきりくっきり聞こえていた。
黒騎士がテンリィにもらった地図を使って脱出しようとしていることも、わりかし本気の憎しみをもって敵と認定していることも理解できた。
その上で黒幕は叫ぶ。
そもそも黒幕じゃねーんだよ、と。
「なんでダメだって言ったのに戦いに行っちゃったの!? しかも直接対面するならせめて誤解を解いてくれよ! もう完全に極悪非道の所業を行うスライムの敵を前に無念の撤退、みたいな感じになってるじゃん!」
そんなにタイマンしたかったの!? と抱えた頭を振り乱すキューは、立ち上がり暴れまわり、一通り嘆き終わった後はたと疑問を浮かべる。
「そうだよ。あいつ、どうして嘘までついて黒騎士に会いに行ったんだ?」
キューがなんでも屋の上司部下としてテンリィとつるむようになって、数年の付き合いだ。
ある程度の人となりは知っている。
彼女は軽々しく嘘をつかない。
そもそもキューを若干舐めているフシがあるため、嘘で行動を誤魔化すようなことはこれまでになかった。
「まさかテンリィのやつ」
ここでキューに電流が走る。
「あの黒騎士のこと……好きになったちゃった、とか?」
管理室で一人、モニターを眺めるインキュバスがいた。
静まり返った部屋には、機械の駆動音のみが響いている。
生物の声はない。
先程まで隣で言葉を発していた部下は、今や変わり果てた姿でモニターの画面上に倒れ伏していた。
資料を集めてくると嘘をつき、止められていたはずの直接対面を強行した挙げ句に負けたテンリィに対し、黒幕は静かに口を開く。
「なんで?」
言うや否や、キューの顔から滂沱のごとき汗が噴き出す。
彼にとってこの事態は完全に予想の範疇を超えていた。
管理室とテンリィ達が戦った部屋が近いせいもあるのか、彼女達のやりとりははっきりくっきり聞こえていた。
黒騎士がテンリィにもらった地図を使って脱出しようとしていることも、わりかし本気の憎しみをもって敵と認定していることも理解できた。
その上で黒幕は叫ぶ。
そもそも黒幕じゃねーんだよ、と。
「なんでダメだって言ったのに戦いに行っちゃったの!? しかも直接対面するならせめて誤解を解いてくれよ! もう完全に極悪非道の所業を行うスライムの敵を前に無念の撤退、みたいな感じになってるじゃん!」
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