黒騎士爆走物語

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恐るべき真実の部屋9

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ドミノ倒しのように傾いた棚の群れを一つずつ起こしていけば、現れたのは扉だった。
はめ込まれたガラスが割れているせいで風が吹き込んでいるが、それがなければ虫の一匹も通さないだろう頑丈な造りをしている。
これまで見てきた他の扉とは、明らかに違う。

厳重な備えをしなければいけない何かが、扉の向うにある。
最後の棚を立て直した私は、ぜひゅ、と息をついた。

「なんだってこんなに重いんだ、この棚」

紙の束が大量とあれば確かに重いのはわかるのだが、それにしたって倒れていた数台を動かした程度で息が上がるのはおかしい。
──それとも、おかしいのは私の方なのか。

撤退する部隊の殿を務め、力尽きたところを運ばれてわけのわからない施設でずっと動き回っているのだ。
多少の疲労は無理もない。
休むべきだと、己の身体が訴えている気がした。

だが、それも扉の向こうになにがあるかを確認してからだ。
少なくともこの場所の安全を確保してからでないと、休むこともできない。

「……いくか」

息を整え、覚悟を決める。
私は封じられた扉へと手を掛けた。



後に、全てが終わってから。
黒騎士は語る。
せめてもう少し冷静になってから入るべきだった、あんな状態であんなもの見るんじゃなかった。
と。
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