黒騎士爆走物語

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恐るべき真実の部屋5

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となると、時間を割くべきはそこではない。
私は早歩きで両脇の様相を盗み見ていき、番号の振られていない扉、もしくは廊下の出口を探すことにした。
機械以外のものが見つけられれば僥倖だ。

「日誌や報告書を読めれば一番手っ取り早いんだがな」

番号の扉、番号の扉、番号の扉……。
変わらない景色にややうんざりしながらも、警戒は怠らない。
がっしょがっしょと関節部分の金具を派手に鳴らしながらひとりごとを呟いた。
直後、その願望がいかに無駄であるか自分で気づく。

「あったとしても私が読める言語とは限らない、か」

むしろ穴の空いた部屋に刻まれた説明文が読めなかった事実を鑑みるに、理解できない可能性の方が高い。
私は一体どこの国まで運ばれたのだ、と一抹の不安を覚えた。

「……そういえば」

がっしょがっしょ。
考え事をしながらも足は止めない。

「黒幕が機械を通して話しかけてきたことは、理解できたな」

この施設の文章はわからなかったのに?

ちかりと瞬いたのは、気づかずに通り過ぎた真実への糸口。
書かれた文章と話しかけられた言語が違うという事実が一体なにを意味するのか。
見つけたそれを掴みかけた、その時。

「む。これは」

番号の扉、ではないもの。
疲れてきた視界に飛び込んできたのは、廊下の果てだった。
両開きの扉には、番号ではなく文字が刻まれている。
私が二体横並びで入っても余裕のありそうな、大きな入り口だった。
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