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黒幕は目が死んでいる9
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ひとえにビビっていたからである。
テンリィとて理由もなしに暴れる乱暴者ではない、馬車内で爆弾を使用したのも先に黒騎士の方が襲いかかってきたからだ。
シンからの証言と鎧の中にへばりついていたものである程度の正体は判明しているが、相手が自分たちをどう思っているのかがわからなかった。
なので向こうから『自分を部屋に移動させた相手が窓の外にいる』と錯覚するような幻覚をあらかじめシンにかけておいてもらったのだ。
これなら黒騎士が自分たちにどういった対応をするのかわかる、と思って。
そして結果がご覧の有様だ。
別角度のカメラが捉えた映像に、バッキバキに潰されたカメラの成れの果てが映っている。
『次はおまえがこうなる番だ』と言わんばかりの惨状に、キューが震え上がるのも無理はなかった。
「なんで? ねえなんであの人あんなに怒ってるの? あからさまに敵視してるよね?」
「至近距離で爆弾投げつけられたからですかね」
「じゃあお前のせいじゃん!? 責任とって謝ってこい、そして少しでもご機嫌を直していただくんだ!」
「わかりました、ついでに手合わせ一本お願いしてきますね」
「いいよって言うわけなくない? どこの世界に謝罪と称して襲いかかるやつがいるんだ!」
「僭越ながらここに。あの方、相当の手練ですよ……!」
「もういい戻ってこいバトルジャンキー!!」
テンリィの目は夢見る少年かとツッコまざるを得ないほどにキラキラと輝いている。
さすがに『自分より強い奴と戦いたい』を理由に傭兵になった奴は抱く感想が違う。
同じ映像を見ていたはずなのに恐怖しか抱いていないキューはどっちに警戒すべきか一瞬わからなくなった。
「ところでキュー」
「なんだよ」
喜々として管理室から出ようとするテンリィを引き留めていると、唐突に冷静さを取り戻したバトルジャンキーから具申があった。
「あの黒騎士が破壊した場所、急いで修復したほうがいいと思います」
「破壊した場所って、ケーブルとカメラの他に……あっ」
キューは思い出した。
シンに幻覚で隠してもらっていた物があったことに。
テンリィとて理由もなしに暴れる乱暴者ではない、馬車内で爆弾を使用したのも先に黒騎士の方が襲いかかってきたからだ。
シンからの証言と鎧の中にへばりついていたものである程度の正体は判明しているが、相手が自分たちをどう思っているのかがわからなかった。
なので向こうから『自分を部屋に移動させた相手が窓の外にいる』と錯覚するような幻覚をあらかじめシンにかけておいてもらったのだ。
これなら黒騎士が自分たちにどういった対応をするのかわかる、と思って。
そして結果がご覧の有様だ。
別角度のカメラが捉えた映像に、バッキバキに潰されたカメラの成れの果てが映っている。
『次はおまえがこうなる番だ』と言わんばかりの惨状に、キューが震え上がるのも無理はなかった。
「なんで? ねえなんであの人あんなに怒ってるの? あからさまに敵視してるよね?」
「至近距離で爆弾投げつけられたからですかね」
「じゃあお前のせいじゃん!? 責任とって謝ってこい、そして少しでもご機嫌を直していただくんだ!」
「わかりました、ついでに手合わせ一本お願いしてきますね」
「いいよって言うわけなくない? どこの世界に謝罪と称して襲いかかるやつがいるんだ!」
「僭越ながらここに。あの方、相当の手練ですよ……!」
「もういい戻ってこいバトルジャンキー!!」
テンリィの目は夢見る少年かとツッコまざるを得ないほどにキラキラと輝いている。
さすがに『自分より強い奴と戦いたい』を理由に傭兵になった奴は抱く感想が違う。
同じ映像を見ていたはずなのに恐怖しか抱いていないキューはどっちに警戒すべきか一瞬わからなくなった。
「ところでキュー」
「なんだよ」
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「あの黒騎士が破壊した場所、急いで修復したほうがいいと思います」
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キューは思い出した。
シンに幻覚で隠してもらっていた物があったことに。
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