14 / 91
黒幕は目が死んでいる2
しおりを挟む
シンがラタ街に来る時、それは大抵品物を売りに来る時だ。
遠い場所から運ばれたそれらは珍しいものも多いので、子どもたちは買えずとも目にするのを楽しみに寄ってくる。
ところがシンは子どもたちに勝手に馬車の荷物を開けるのを厳重に禁じていた。
子供が危険な目に合わないようにするためだ、とはシンの言い分だが、本当のところは商品価値が下がったり盗難が発生するのを警戒してるからだろうな、とキューは睨んでいる。
とにもかくにも子どもたちだけでは馬車を覗けず、いつも幌の中を見せてくれるシンはなにやら切羽詰まった様子でキューと会話をしており、気軽に割り込めない。
そこで出てきたのがテンリィだ。
子供だけで開けてはいけないなら保護者としてテンリィが開けよう、と。
ラタ街で荒事があるたび駆り出されている姿を見ている子どもたちは、テンリィなら大丈夫だと映えある馬車開封の儀を任命した。
そして幌をめくった途端に飛び出したのは、黒鎧の騎士。
頭から足先までフルプレートで固めたそれは殺意全開でテンリィへ襲いかかり、対するテンリィは身を守るために反撃の態勢をとった。
ここまではまだ正当防衛の域だった。
ところでテンリィは戦地を駆け抜けたこともある元傭兵である。
いまだ常在戦場の心得が抜けきっていない彼女は、自作した武器を常に携帯している。
例に漏れず、その時も懐に備えていたそれを黒鎧の騎士に向かって投げつけた。
──いい火薬が手に入ったとかで、大量に制作した爆弾を。
遠い場所から運ばれたそれらは珍しいものも多いので、子どもたちは買えずとも目にするのを楽しみに寄ってくる。
ところがシンは子どもたちに勝手に馬車の荷物を開けるのを厳重に禁じていた。
子供が危険な目に合わないようにするためだ、とはシンの言い分だが、本当のところは商品価値が下がったり盗難が発生するのを警戒してるからだろうな、とキューは睨んでいる。
とにもかくにも子どもたちだけでは馬車を覗けず、いつも幌の中を見せてくれるシンはなにやら切羽詰まった様子でキューと会話をしており、気軽に割り込めない。
そこで出てきたのがテンリィだ。
子供だけで開けてはいけないなら保護者としてテンリィが開けよう、と。
ラタ街で荒事があるたび駆り出されている姿を見ている子どもたちは、テンリィなら大丈夫だと映えある馬車開封の儀を任命した。
そして幌をめくった途端に飛び出したのは、黒鎧の騎士。
頭から足先までフルプレートで固めたそれは殺意全開でテンリィへ襲いかかり、対するテンリィは身を守るために反撃の態勢をとった。
ここまではまだ正当防衛の域だった。
ところでテンリィは戦地を駆け抜けたこともある元傭兵である。
いまだ常在戦場の心得が抜けきっていない彼女は、自作した武器を常に携帯している。
例に漏れず、その時も懐に備えていたそれを黒鎧の騎士に向かって投げつけた。
──いい火薬が手に入ったとかで、大量に制作した爆弾を。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる