黒騎士爆走物語

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黒幕は目が死んでいる2

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シンがラタ街に来る時、それは大抵品物を売りに来る時だ。
遠い場所から運ばれたそれらは珍しいものも多いので、子どもたちは買えずとも目にするのを楽しみに寄ってくる。
ところがシンは子どもたちに勝手に馬車の荷物を開けるのを厳重に禁じていた。
子供が危険な目に合わないようにするためだ、とはシンの言い分だが、本当のところは商品価値が下がったり盗難が発生するのを警戒してるからだろうな、とキューは睨んでいる。
とにもかくにも子どもたちだけでは馬車を覗けず、いつも幌の中を見せてくれるシンはなにやら切羽詰まった様子でキューと会話をしており、気軽に割り込めない。

そこで出てきたのがテンリィだ。
子供だけで開けてはいけないなら保護者としてテンリィが開けよう、と。
ラタ街で荒事があるたび駆り出されている姿を見ている子どもたちは、テンリィなら大丈夫だと映えある馬車開封の儀を任命した。

そして幌をめくった途端に飛び出したのは、黒鎧の騎士。
頭から足先までフルプレートで固めたそれは殺意全開でテンリィへ襲いかかり、対するテンリィは身を守るために反撃の態勢をとった。
ここまではまだ正当防衛の域だった。

ところでテンリィは戦地を駆け抜けたこともある元傭兵である。
いまだ常在戦場の心得が抜けきっていない彼女は、自作した武器を常に携帯している。
例に漏れず、その時も懐に備えていたそれを黒鎧の騎士に向かって投げつけた。

──いい火薬が手に入ったとかで、大量に制作した爆弾を。
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