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夢魔と人形
機械人形の苦悩・9
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悩んだものの、マッピーは話すことにした。
会話内容についてはゴーレム本人が記録しているだろうし、おそらく彼女はそれを開示しろと言われればためらいなく実行する。
誰が通るともしれない廊下で行われたそれを秘密にしたがっていたとも思えない。
それに、
「インキュバスなら事情もなんとなく知ってそうな気がしますし」
「お? わし、褒められとる?」
「蔑んでます」
「なぜ……」
情報源が女性をナンパした末のものだと知っているからである。
ともあれ、マッピーはインキュバスへゴーレムと職員のやり取り、その際発生した会話を話した。
食器の重なる音、誰かの話し声といった食堂の喧騒の中で、サーバー内部の機械をいじる音が響く。
サーバーを使いたがっているのか、誰かの視線が痛い。
幸い器具を使わなくても取り外せる部分にしか浸透していなかったので、マッピーは気持ち早めに手を動かし続けた。
相槌を打ちながらマッピーの話を聞き、数秒考えた末に放ったインキュバスの感想はというと。
「それ、もう感情発生しとるし育んどるな」
「えっ」
「よそ見したらまたこぼすぞい」
予想していなかった言葉に、マッピーは目を丸くした。
振り返った先で浮かんでいるインキュバスの表情に、特にからかいは見られない。
むしろどこかつまらなさそうな印象だ。
予想していなかった現象第二弾に加え、もっともな指摘もあったので慌てて機械の方へ向き直った。
「そうなんですか? わたしは感情を発生させるか否かをゴーレムが迷っているように見えたんですが」
「その迷いとて感情じゃろうが」
「……ああー」
今度はもっともな指摘第二弾が発生した。
思わず納得した! と言わんばかりの声が口をついて、インキュバスは説明を付け加える。
「ただの機械なら、命令違反によるエラー音なんぞ自分で出さん。ましてや製作者が直々に命令しとるんじゃろう? 感情が既にあることを認めとるのと一緒じゃ」
「ではもう、ゴーレムの意思は関係なく、感情は勝手に育まれていく?」
「そこが問題じゃな」
ふむう、と、インキュバスから思案しているような唸り声が聞こえた。
会話内容についてはゴーレム本人が記録しているだろうし、おそらく彼女はそれを開示しろと言われればためらいなく実行する。
誰が通るともしれない廊下で行われたそれを秘密にしたがっていたとも思えない。
それに、
「インキュバスなら事情もなんとなく知ってそうな気がしますし」
「お? わし、褒められとる?」
「蔑んでます」
「なぜ……」
情報源が女性をナンパした末のものだと知っているからである。
ともあれ、マッピーはインキュバスへゴーレムと職員のやり取り、その際発生した会話を話した。
食器の重なる音、誰かの話し声といった食堂の喧騒の中で、サーバー内部の機械をいじる音が響く。
サーバーを使いたがっているのか、誰かの視線が痛い。
幸い器具を使わなくても取り外せる部分にしか浸透していなかったので、マッピーは気持ち早めに手を動かし続けた。
相槌を打ちながらマッピーの話を聞き、数秒考えた末に放ったインキュバスの感想はというと。
「それ、もう感情発生しとるし育んどるな」
「えっ」
「よそ見したらまたこぼすぞい」
予想していなかった言葉に、マッピーは目を丸くした。
振り返った先で浮かんでいるインキュバスの表情に、特にからかいは見られない。
むしろどこかつまらなさそうな印象だ。
予想していなかった現象第二弾に加え、もっともな指摘もあったので慌てて機械の方へ向き直った。
「そうなんですか? わたしは感情を発生させるか否かをゴーレムが迷っているように見えたんですが」
「その迷いとて感情じゃろうが」
「……ああー」
今度はもっともな指摘第二弾が発生した。
思わず納得した! と言わんばかりの声が口をついて、インキュバスは説明を付け加える。
「ただの機械なら、命令違反によるエラー音なんぞ自分で出さん。ましてや製作者が直々に命令しとるんじゃろう? 感情が既にあることを認めとるのと一緒じゃ」
「ではもう、ゴーレムの意思は関係なく、感情は勝手に育まれていく?」
「そこが問題じゃな」
ふむう、と、インキュバスから思案しているような唸り声が聞こえた。
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