蛙鳴蝉噪

ペンギン

批判する人が賢いのだ。
それが今の世界だ。
生きにくいな。
それが人類数千年の歴史の経過だ。
きっと彼らはペンギンが飛べないことを批判するだろう。
お湯の出ないシャワーに文句を言い続けるだろう。
時として彼らはペンギンが泳ぐことを知らない。
お湯の出るシャワーの仕組みを知らない。
しかし尋ねるとそれをあたかも知っているかのように答えるだろう。
口を開くだけなら簡単だ。
時折口の中に入る海水の味を物ともせず泳ぎ続けるペンギンは誰も批判しない。
海水の味を覚えない人間なんて相手にすらならないのだ。
そうして生きるために一番良い方法を探す。
それが彼らの進化だ。
一方我々の進化は今や現実世界のものではない。
プログラムの進歩によって、自分たちに近いものを残せるまでになった。
だが批判は消えない。
インターネットの海の中にはあらゆるものへの批判が漂っている。
先へ先へと進むものが、それにぶつかり沈んでいくこともある。
先が分からなくなるものもいる。
しかしそれをいくら片付けようとも、無限に湧いて出てくるのだ。
新しいものには不純物があるのだ。
ペンギンはそれらを嫌う。
そうしてペンギンは地球の果てにたどり着く。
まだ汚れていない青い青い世界だ。
そうして静かに暮らすのだ。
危険なこともあるだろう。
だけれどそれこそ進化だろう。