草稿集

藤堂Máquina

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日常

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 本当にどうでもいい日常だ。
 

一日の労働の後、記憶を飛ばすと次の労働の一日が始まる。

その眠っていると思い込んでいる時間は本当は存在しないのではないか。

以前の私は文章を書くことが何よりも好きであった。

それは学生の時であり、今とは状況が大きく異なっていた。

学生の私は何かにつけて悩み、そして塞ぎ、文章にした。

どれもネガティブな内容であったが、その文章が好きであった。 

今は一定の間隔で生きるだけであり、それは死んでいるのと同意であった。

筆を執っても思い通りには走らず、考えてもすぐに着地してしまう。

バランスのとるようになっただけにバランスというものが一体何なのかを忘れてしまったただの生きるだけの存在になってしまった。

悩みがある人間は誰しも悩みのない人間を羨むが、私においては反対であった。

そうして私は1つの結論として、「不幸」や「憂鬱」を嫌い、ただ純粋に濾し出された「悩み」だけが好きだったというところに辿り着いた。
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