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#2 追跡
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メイドの女性は会話が大大大好きで、いろんな事を話してくれた。
家族構成は、今回の依頼人である三島行男氏が四十九歳、趣味はゴルフで、とてもおモテになる。以下略。
妻の富士子様は三十九歳、インテリアコーディネーター、昔は雑誌モデルもしていた美貌は今も健在。以下略。
長女の由子様は十九歳、K大一年生で勉強ができる。母親譲りの美貌でミスなんたらの称号を幾つかお持ち。以下略。
次女の紀子様は十七歳、高校二年生。パソコンには詳しいのに成績がよくないのが不思議。可愛い格好をしてくれない。以下略。
長男の閣男様は十二歳、小学六年生。一言で言うと生意気な悪ガキってとこか。
と、ここまでの情報を引き出すのに軽く一時間。
情報がたくさん手に入るのは嬉しいのだが、時間と電話代とを考えるとそう喜んでもいられない。
この分だと今日一日が電話で終わってしまう。
肝となる情報を押さえて少しでも早くターゲットへ近づきたいのだが。
「ありがとうございます。たいへんためになりましたので、そろそろご令嬢の向かった先のことを……」
「アッハッハッハッ! あたしったらっ!」という前置きが入り、ようやく本題に入っていただけた。
社長令嬢殿が向かった先は『伊豆のとある工場跡に噂の真相を確かめに』とのこと。
都市伝説にもなっている恐怖の工場とやらで、心霊スポットでもあるとか。
ご丁寧に雑誌の切り抜きや赤線を引いた時刻表、断片的な情報がいくつか部屋に残されているとの話――でも、パソコンに詳しい割には、残されている情報がアナログ過ぎやしねぇか?
「でね」
メイドの声のトーンが急に変わる。
「無人の、その人肉腸詰工場は今も稼動していて、愚かにも興味本位で訪れた者を次々と加工し続けている。ここへ行って戻ってきた者は誰もいない……って書いてあるのよ、この雑誌!」
「でも誰もいないのにその工場のことがなんで分かるのかしら。馬鹿な記事よねー。あたしさぁ。そういえば霊感強いのよ!」
危ない。これはまた別の話が始まっちまう。
一つ話があるたびそれに感想が次々とぶら下がるのを会話でさばくのはかなり大変だ。
適当に相槌を打ちながら必要な情報だけをメモりつつ、更に三十分ほど粘られたが、なんとか電話を切ることに成功した。
ため息をつきながら、得た情報を整理する。
うーん。
親の気を引きたい思春期のガキの行動そのまんまに見えるけどな。
探偵でなくても、ちょっと本気になれば解けそうなキーワード。
本当は親に直々に迎えに来てもらいたいんじゃねぇのか?
こりゃ見つけたとしても連れ帰るのが面倒くさそうだ。「家族とじゃなきゃ帰らない」とか言うかもなぁ。
うはー。
だが、このおままごとに付き合えば日給十万強。
それだけあれば回らねぇ寿司とか食いにいけるな――いや、金じゃねぇ。
一度引き受けた依頼を完遂できないなどとあっては『池袋鮫』とまで呼ばれる俺の立場がねぇ。
そうやって誇りを胸に生きてきた。
クールでハードボイルドの探偵を目指して――本当はわかってる。
目指している時点でまだそこに至ってないってことを。
出かける準備にはそれほどかからない。
財布とメモ帳、タバコにジッポ。いつも持ち歩いているものばかり。
封筒の金は――さすがに全部使い切ることなんてないよな?
半分はビニール袋に包んでトイレのタンクに隠し、もう片方は愛用のミリタリージャケットの隠しポケットに。
時間がもったいない。
この治安のよくないご時世。あのくらいの可愛さの女子高生がふらふらしていたら何があるかも分からん。
早速、駅へと向かう。
JRで品川経由。東海道線に乗り換える。向こうに着く頃には夜だな。
――伊豆で、工場――微妙に嫌な記憶があるのだが、それは今は関係ねぇ。
探偵ってのはクールにやらなきゃいけないのさ。
電車に揺られながらメモ帳に書き込んだ情報を頭の中で整理し、いくつもの仮説とルートを展開する。
まずはレンタカー屋で車を借りよう。
車ってのは移動手段と宿を兼ねる素晴らしい道具だ。
池袋の書店で買った伊豆の詳細地図を広げ『噂の場所』らしきところを特定しなきゃだな。
おしゃべりメイドに読んでもらった記事の限りだと、現場の工場ってのは少なくとも電車では行けない。
近くの町から交通機関を調達しなければならないはず。
普通はバスだろうけど、ご令嬢ならタクシーって選択肢もある。
あとは高二だからバイクの免許くらい持っていてもおかしくはない――いや待て。あのおしゃべりメイドの会話を思い出せ。
紀子はインドア派。旅行のときも車窓を眺めるよりもゲーム機を触っているとか言っていた。
そんな子がバイクとか自転車とかで旅行とかするか?
俺が高校生だった頃は早く遠くへ行きたくて、バイクに憧れていたりしたけどさ――ふいに昔を思い出す。
とはいえ当時のこと、ぼんやりとしか覚えてないんだけどさ。
おいおい。おかしいぞ? どうして今日はこんな感傷的になっちまうんだよ。
頭、切り替えるぜ。
俺は一服するべくタバコを取り出した。
そして周囲の目にハッとしてタバコをしまう。
まだ電車の中か。
ヤニ吸いには世知辛ぇ世の中だよな。
熱海に着いてからまず喫煙スポットを探し、一服。
それから観光協会へ。
伊豆中のタクシー会社の番号を調べてもらい、ひとつづつチェックする。
いくつか電話をかける。もちろん「家出した妹を探す兄」として。
何軒目かの電話で女子大生がタクシーを手配したという話を拾えた。
今日の午前中とのこと。
しかも幹線道路が土砂崩れで埋もれたまま通れなくて、いったん近くの街まで戻って降ろしたという。そんな特殊な状況だったから覚えていたのだとか。
これだな。間違いない。俺の嗅覚は鋭いんだ。年齢なんてサバ読む可能性があるし。
で、その後だ。
街まで戻ってからどうする?
またタクシーで違うルート? いや、それなら街まで戻るって話にはならないはず。
となると目的地を変えた?
まずは『女子大生を降ろした街』から伸びるバス路線網をチェックする。
実際のルート推理は情報を増やしてからだ。
手持ちの地図に、土砂崩れで通行禁止のエリアを書き込んでゆく。
ん?
メイドから教えてもらった「目的地」――工場って海の近くだったよな。このルートだと海には出ないぞ?
――行く先を知られないための攪乱、もしくは先にどこかへ寄ろうとした。
「ほら、尻尾に食いついたぜ」
俺の勘が告げる。これは工場よりも先にこっちだ。
通行禁止の向こう側に回り込む道を見つけ、今夜のうちに向かっておこう。
眩しさに目を開く。
時計を見るともう十一時過ぎか。
俺は夜の男だ――そう。だから朝は弱い。
とりあえずレンタカーの外に出て伸びをする。
路肩に停めた車の横を、幅広タイヤの跡がいくつか土砂崩れの方向に向かってついていた。土木機械でも運んだのだろうか。
ここは土砂崩れの「向こう側」。
目を細めると向こうに山菜と書かれた看板が見える。
そういや昨日の昼から何も食ってなかったな。
都会に生きる俺みたいな人間はコンビニがあるのが当たり前になっているせいか、食い物の準備が甘い。
必要になったら買えばいいってのが田舎じゃきかねぇんだ。
忘れていたよ。
田舎ってぇのが、こういう場所だってこと。
俺はとりあえず車を出す。
熱い珈琲を呑みたいが――と目についた街道脇の古い店。
『甘味 山菜』
いやここ、大丈夫か?
まさか、山菜を甘く?
その看板に針金で無理やり縛り付けられているクリームパフェの食品サンプルが、店の怪しさを余計に増している。
ディープだぜ。
池袋にだってこんなディープな場所はあまりねぇ。
時間的にはもう営業始まってるだろうが。
それに甘味があるなら珈琲ぐらいあるかもしれないな。
俺はそのカオスな店へと踏み込んだ。
入るなり、汁粉のような甘い匂いが立ち込める。
やたらニコニコした中年女性がひとり、机を拭いていた。
「いらっしゃいませ!」
「お姉さん、この匂いなに?」
十八歳以上はどんな年齢であろうとも「お姉さん」と呼ぶ。これは俺のポリシーだ。
「あらやだ、こんなおばちゃん捕まえて。アッハッハッハッ! これはねぇ、おぜんざいよ。アッハハハハ!」
この笑い方の既視感、いや既聴感たるや。
「このへんで小豆とか採れんですか?」
「違うのよ。アハハハハ! うちのひとったら、このあたり山菜そばばっかだからこっちのほうがお客さんはいるだろーとか言っちゃって。アッハッハッハッハ!」
まさかあのメイドと親戚とか言わないよな?
「じゃあ、昔は山菜そばのお店だったんですね」
「今でもやってるわよ、山菜そば。アッハッハハハハ! お客さん、おそば? それともスパゲティ?」
スパ――うどんじゃなく?
いけねぇ。相手のペースに呑まれちゃならねぇ。
主導権を握らなきゃな。
● 主な登場人物
・笹目洋介
池袋の雑居ビルにある笹目探偵事務所の所長。二十七歳。三島建設代表取締役から次女紀子捜索依頼を引き受けた。
・三島紀子
三島建設代表取締役三島行男の次女。伊豆の怪しい工場へ行くという情報を残して失踪。
・おしゃべりメイド
紀子のことはメイドに聞けと丸投げされた。とてもおしゃべり。
・ニコニコした中年女性
『甘味 山菜』の女将。笑い方がおしゃべりメイドに似ている。
家族構成は、今回の依頼人である三島行男氏が四十九歳、趣味はゴルフで、とてもおモテになる。以下略。
妻の富士子様は三十九歳、インテリアコーディネーター、昔は雑誌モデルもしていた美貌は今も健在。以下略。
長女の由子様は十九歳、K大一年生で勉強ができる。母親譲りの美貌でミスなんたらの称号を幾つかお持ち。以下略。
次女の紀子様は十七歳、高校二年生。パソコンには詳しいのに成績がよくないのが不思議。可愛い格好をしてくれない。以下略。
長男の閣男様は十二歳、小学六年生。一言で言うと生意気な悪ガキってとこか。
と、ここまでの情報を引き出すのに軽く一時間。
情報がたくさん手に入るのは嬉しいのだが、時間と電話代とを考えるとそう喜んでもいられない。
この分だと今日一日が電話で終わってしまう。
肝となる情報を押さえて少しでも早くターゲットへ近づきたいのだが。
「ありがとうございます。たいへんためになりましたので、そろそろご令嬢の向かった先のことを……」
「アッハッハッハッ! あたしったらっ!」という前置きが入り、ようやく本題に入っていただけた。
社長令嬢殿が向かった先は『伊豆のとある工場跡に噂の真相を確かめに』とのこと。
都市伝説にもなっている恐怖の工場とやらで、心霊スポットでもあるとか。
ご丁寧に雑誌の切り抜きや赤線を引いた時刻表、断片的な情報がいくつか部屋に残されているとの話――でも、パソコンに詳しい割には、残されている情報がアナログ過ぎやしねぇか?
「でね」
メイドの声のトーンが急に変わる。
「無人の、その人肉腸詰工場は今も稼動していて、愚かにも興味本位で訪れた者を次々と加工し続けている。ここへ行って戻ってきた者は誰もいない……って書いてあるのよ、この雑誌!」
「でも誰もいないのにその工場のことがなんで分かるのかしら。馬鹿な記事よねー。あたしさぁ。そういえば霊感強いのよ!」
危ない。これはまた別の話が始まっちまう。
一つ話があるたびそれに感想が次々とぶら下がるのを会話でさばくのはかなり大変だ。
適当に相槌を打ちながら必要な情報だけをメモりつつ、更に三十分ほど粘られたが、なんとか電話を切ることに成功した。
ため息をつきながら、得た情報を整理する。
うーん。
親の気を引きたい思春期のガキの行動そのまんまに見えるけどな。
探偵でなくても、ちょっと本気になれば解けそうなキーワード。
本当は親に直々に迎えに来てもらいたいんじゃねぇのか?
こりゃ見つけたとしても連れ帰るのが面倒くさそうだ。「家族とじゃなきゃ帰らない」とか言うかもなぁ。
うはー。
だが、このおままごとに付き合えば日給十万強。
それだけあれば回らねぇ寿司とか食いにいけるな――いや、金じゃねぇ。
一度引き受けた依頼を完遂できないなどとあっては『池袋鮫』とまで呼ばれる俺の立場がねぇ。
そうやって誇りを胸に生きてきた。
クールでハードボイルドの探偵を目指して――本当はわかってる。
目指している時点でまだそこに至ってないってことを。
出かける準備にはそれほどかからない。
財布とメモ帳、タバコにジッポ。いつも持ち歩いているものばかり。
封筒の金は――さすがに全部使い切ることなんてないよな?
半分はビニール袋に包んでトイレのタンクに隠し、もう片方は愛用のミリタリージャケットの隠しポケットに。
時間がもったいない。
この治安のよくないご時世。あのくらいの可愛さの女子高生がふらふらしていたら何があるかも分からん。
早速、駅へと向かう。
JRで品川経由。東海道線に乗り換える。向こうに着く頃には夜だな。
――伊豆で、工場――微妙に嫌な記憶があるのだが、それは今は関係ねぇ。
探偵ってのはクールにやらなきゃいけないのさ。
電車に揺られながらメモ帳に書き込んだ情報を頭の中で整理し、いくつもの仮説とルートを展開する。
まずはレンタカー屋で車を借りよう。
車ってのは移動手段と宿を兼ねる素晴らしい道具だ。
池袋の書店で買った伊豆の詳細地図を広げ『噂の場所』らしきところを特定しなきゃだな。
おしゃべりメイドに読んでもらった記事の限りだと、現場の工場ってのは少なくとも電車では行けない。
近くの町から交通機関を調達しなければならないはず。
普通はバスだろうけど、ご令嬢ならタクシーって選択肢もある。
あとは高二だからバイクの免許くらい持っていてもおかしくはない――いや待て。あのおしゃべりメイドの会話を思い出せ。
紀子はインドア派。旅行のときも車窓を眺めるよりもゲーム機を触っているとか言っていた。
そんな子がバイクとか自転車とかで旅行とかするか?
俺が高校生だった頃は早く遠くへ行きたくて、バイクに憧れていたりしたけどさ――ふいに昔を思い出す。
とはいえ当時のこと、ぼんやりとしか覚えてないんだけどさ。
おいおい。おかしいぞ? どうして今日はこんな感傷的になっちまうんだよ。
頭、切り替えるぜ。
俺は一服するべくタバコを取り出した。
そして周囲の目にハッとしてタバコをしまう。
まだ電車の中か。
ヤニ吸いには世知辛ぇ世の中だよな。
熱海に着いてからまず喫煙スポットを探し、一服。
それから観光協会へ。
伊豆中のタクシー会社の番号を調べてもらい、ひとつづつチェックする。
いくつか電話をかける。もちろん「家出した妹を探す兄」として。
何軒目かの電話で女子大生がタクシーを手配したという話を拾えた。
今日の午前中とのこと。
しかも幹線道路が土砂崩れで埋もれたまま通れなくて、いったん近くの街まで戻って降ろしたという。そんな特殊な状況だったから覚えていたのだとか。
これだな。間違いない。俺の嗅覚は鋭いんだ。年齢なんてサバ読む可能性があるし。
で、その後だ。
街まで戻ってからどうする?
またタクシーで違うルート? いや、それなら街まで戻るって話にはならないはず。
となると目的地を変えた?
まずは『女子大生を降ろした街』から伸びるバス路線網をチェックする。
実際のルート推理は情報を増やしてからだ。
手持ちの地図に、土砂崩れで通行禁止のエリアを書き込んでゆく。
ん?
メイドから教えてもらった「目的地」――工場って海の近くだったよな。このルートだと海には出ないぞ?
――行く先を知られないための攪乱、もしくは先にどこかへ寄ろうとした。
「ほら、尻尾に食いついたぜ」
俺の勘が告げる。これは工場よりも先にこっちだ。
通行禁止の向こう側に回り込む道を見つけ、今夜のうちに向かっておこう。
眩しさに目を開く。
時計を見るともう十一時過ぎか。
俺は夜の男だ――そう。だから朝は弱い。
とりあえずレンタカーの外に出て伸びをする。
路肩に停めた車の横を、幅広タイヤの跡がいくつか土砂崩れの方向に向かってついていた。土木機械でも運んだのだろうか。
ここは土砂崩れの「向こう側」。
目を細めると向こうに山菜と書かれた看板が見える。
そういや昨日の昼から何も食ってなかったな。
都会に生きる俺みたいな人間はコンビニがあるのが当たり前になっているせいか、食い物の準備が甘い。
必要になったら買えばいいってのが田舎じゃきかねぇんだ。
忘れていたよ。
田舎ってぇのが、こういう場所だってこと。
俺はとりあえず車を出す。
熱い珈琲を呑みたいが――と目についた街道脇の古い店。
『甘味 山菜』
いやここ、大丈夫か?
まさか、山菜を甘く?
その看板に針金で無理やり縛り付けられているクリームパフェの食品サンプルが、店の怪しさを余計に増している。
ディープだぜ。
池袋にだってこんなディープな場所はあまりねぇ。
時間的にはもう営業始まってるだろうが。
それに甘味があるなら珈琲ぐらいあるかもしれないな。
俺はそのカオスな店へと踏み込んだ。
入るなり、汁粉のような甘い匂いが立ち込める。
やたらニコニコした中年女性がひとり、机を拭いていた。
「いらっしゃいませ!」
「お姉さん、この匂いなに?」
十八歳以上はどんな年齢であろうとも「お姉さん」と呼ぶ。これは俺のポリシーだ。
「あらやだ、こんなおばちゃん捕まえて。アッハッハッハッ! これはねぇ、おぜんざいよ。アッハハハハ!」
この笑い方の既視感、いや既聴感たるや。
「このへんで小豆とか採れんですか?」
「違うのよ。アハハハハ! うちのひとったら、このあたり山菜そばばっかだからこっちのほうがお客さんはいるだろーとか言っちゃって。アッハッハッハッハ!」
まさかあのメイドと親戚とか言わないよな?
「じゃあ、昔は山菜そばのお店だったんですね」
「今でもやってるわよ、山菜そば。アッハッハハハハ! お客さん、おそば? それともスパゲティ?」
スパ――うどんじゃなく?
いけねぇ。相手のペースに呑まれちゃならねぇ。
主導権を握らなきゃな。
● 主な登場人物
・笹目洋介
池袋の雑居ビルにある笹目探偵事務所の所長。二十七歳。三島建設代表取締役から次女紀子捜索依頼を引き受けた。
・三島紀子
三島建設代表取締役三島行男の次女。伊豆の怪しい工場へ行くという情報を残して失踪。
・おしゃべりメイド
紀子のことはメイドに聞けと丸投げされた。とてもおしゃべり。
・ニコニコした中年女性
『甘味 山菜』の女将。笑い方がおしゃべりメイドに似ている。
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