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Episode⑤ 女の勝ち組/女の負け組
第31章|井場本啓太の別宅 <2>二人で飯を食いに行こ
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<2>
「何かほかにしてほしいこと、ありますか」
舞歌が上目遣いで俺を見た。
舞歌の黒く大きな瞳は、蛍光灯の明かりさえよく反射して潤む。
もう圧倒的に若いといえるような年齢でもないが、匂いたつような色気のある女だ。
あくまでも乱れぬ様子を見せているが、長時間のマッサージのためか、うなじは汗ばんで髪の毛が張り付いていた。
店と自宅で同じ格好をして身体を揉ませてもつまらないから、ここでは着せ替えを楽しんでいる。
ドンキで仕入れたテカテカの安いコスプレ服も案外面白い。使い捨てでどんどん替えていく。ドンドンドン、ドンキー、の歌の通りだ。今日の衣装はキャビンアテンダント。シャツを着た胸元に舞歌の張った乳房の気配が見えた。
このまま一発抜いてもらおうか、と思わなくもなかったが、今はそれほど乗り気でもないので言うのをやめた。ちなみに舞歌は、アッチのほうもめっぽう巧い。
「そやなぁ。何か飯でも食うか。『ゲゲレッカス』の個室がええかな」
『ゲゲレッカス』。西宮で最近評判のフレンチだ。一般人は予約すら簡単には取れない。もっとも俺は別枠だ。
携帯電話のロックを解除してアドレス帳を繰る。オーナーシェフの個人携帯電話にかければいい。俺はシェフと顔見知りだ。巷で人気の料理人だろうと、政財界にもパイプがあり金を落としてくれる太い客には頭が上がらない。
何回かのコール音のあと、シェフが出た。
「おぅ、俺だよ。井場本。あっちゃん元気? 今日これから一時間後くらいに、2名、個室行けるか? おぅ、軽いコースで頼む。そんなに腹減ってへんから」
予約は快諾された。電話を切り、次に運転手に連絡を入れる。
「10分後に出かけるわ。梅田のマンション前に車、回せ」
俺の言葉を聞いて舞歌が動き出す。マッサージの間ハンガーに掛けていた洋服と鞄を持ってきた。まずはブリーフを受け取り、シャツに袖を通す。
「なぁ。出かける時、下着つけたらあかんぞ。パンティは禁止や。それからできるだけ、短いスカートにしてな。靴のヒールも、うんと高いほうがええな」
俺がズボンに足を入れるのを手伝いながら、舞歌が返す。
「あら。それでは少し動きづらいわ・・・・・・」
「これは俺の命令や。ご主人様の趣味に付き合うてくれるやろ? またアレ、やりたいねん」
しばしの沈黙のあと、舞歌はふふっと笑った。
「もう。啓太さんは、しょうがない方。・・・・・・わかりました。着替えてきます」
昔から女遊びは好きなほうだった。
夜の世界では金さえ積めば、醜悪な欲望を満たすサービスを提供する場所がいくらでも見つかる。
大人数での入り乱れ、とびきり若いの、奇抜なの、違法スレスレのなど、国内外で色々試してきた。
が、一周回って俺は結局、ノーマルなところに落ち着いた。
舞歌は隅々まで配慮が行き届いていて清潔感があるし、いまどき珍しく、慣れても主従関係を絶対に崩さないところがいい。
寝た途端に馴れ馴れしいふるまいをし始めるような図々しい女は心底大嫌いなのだ。
「おぃ、舞歌」
「なんでしょうか」
舞歌が振りむいた。見返り美人。流石は元・歌劇団のオンナだ。
スカートの裾から、見とれるような真っすぐの細い太ももがすっと伸びている。
「コッチ来い」
舞歌の太ももをぎゅっと掴んで爪を立てた。
潤んだ瞳がこちらを見つめる。
鳴き声をあげ、頬を真っ赤に上気させて身をよじる舞歌の姿を思い出した。よく躾けられた舞歌が、俺のいじめに耐えきれず、理性を失くして言葉にならない声を出しながら体を震わせる。気が強いのか弱いのか、逃げ出すこともしないし逆らうこともない。俺はそういうのが好きだ。
「あー。なーんかムラムラしてきたわ。やっぱ行く前に、一回、しゃぶってくれ」
今穿いたばかりのズボンに、再び手をかけた。
「何かほかにしてほしいこと、ありますか」
舞歌が上目遣いで俺を見た。
舞歌の黒く大きな瞳は、蛍光灯の明かりさえよく反射して潤む。
もう圧倒的に若いといえるような年齢でもないが、匂いたつような色気のある女だ。
あくまでも乱れぬ様子を見せているが、長時間のマッサージのためか、うなじは汗ばんで髪の毛が張り付いていた。
店と自宅で同じ格好をして身体を揉ませてもつまらないから、ここでは着せ替えを楽しんでいる。
ドンキで仕入れたテカテカの安いコスプレ服も案外面白い。使い捨てでどんどん替えていく。ドンドンドン、ドンキー、の歌の通りだ。今日の衣装はキャビンアテンダント。シャツを着た胸元に舞歌の張った乳房の気配が見えた。
このまま一発抜いてもらおうか、と思わなくもなかったが、今はそれほど乗り気でもないので言うのをやめた。ちなみに舞歌は、アッチのほうもめっぽう巧い。
「そやなぁ。何か飯でも食うか。『ゲゲレッカス』の個室がええかな」
『ゲゲレッカス』。西宮で最近評判のフレンチだ。一般人は予約すら簡単には取れない。もっとも俺は別枠だ。
携帯電話のロックを解除してアドレス帳を繰る。オーナーシェフの個人携帯電話にかければいい。俺はシェフと顔見知りだ。巷で人気の料理人だろうと、政財界にもパイプがあり金を落としてくれる太い客には頭が上がらない。
何回かのコール音のあと、シェフが出た。
「おぅ、俺だよ。井場本。あっちゃん元気? 今日これから一時間後くらいに、2名、個室行けるか? おぅ、軽いコースで頼む。そんなに腹減ってへんから」
予約は快諾された。電話を切り、次に運転手に連絡を入れる。
「10分後に出かけるわ。梅田のマンション前に車、回せ」
俺の言葉を聞いて舞歌が動き出す。マッサージの間ハンガーに掛けていた洋服と鞄を持ってきた。まずはブリーフを受け取り、シャツに袖を通す。
「なぁ。出かける時、下着つけたらあかんぞ。パンティは禁止や。それからできるだけ、短いスカートにしてな。靴のヒールも、うんと高いほうがええな」
俺がズボンに足を入れるのを手伝いながら、舞歌が返す。
「あら。それでは少し動きづらいわ・・・・・・」
「これは俺の命令や。ご主人様の趣味に付き合うてくれるやろ? またアレ、やりたいねん」
しばしの沈黙のあと、舞歌はふふっと笑った。
「もう。啓太さんは、しょうがない方。・・・・・・わかりました。着替えてきます」
昔から女遊びは好きなほうだった。
夜の世界では金さえ積めば、醜悪な欲望を満たすサービスを提供する場所がいくらでも見つかる。
大人数での入り乱れ、とびきり若いの、奇抜なの、違法スレスレのなど、国内外で色々試してきた。
が、一周回って俺は結局、ノーマルなところに落ち着いた。
舞歌は隅々まで配慮が行き届いていて清潔感があるし、いまどき珍しく、慣れても主従関係を絶対に崩さないところがいい。
寝た途端に馴れ馴れしいふるまいをし始めるような図々しい女は心底大嫌いなのだ。
「おぃ、舞歌」
「なんでしょうか」
舞歌が振りむいた。見返り美人。流石は元・歌劇団のオンナだ。
スカートの裾から、見とれるような真っすぐの細い太ももがすっと伸びている。
「コッチ来い」
舞歌の太ももをぎゅっと掴んで爪を立てた。
潤んだ瞳がこちらを見つめる。
鳴き声をあげ、頬を真っ赤に上気させて身をよじる舞歌の姿を思い出した。よく躾けられた舞歌が、俺のいじめに耐えきれず、理性を失くして言葉にならない声を出しながら体を震わせる。気が強いのか弱いのか、逃げ出すこともしないし逆らうこともない。俺はそういうのが好きだ。
「あー。なーんかムラムラしてきたわ。やっぱ行く前に、一回、しゃぶってくれ」
今穿いたばかりのズボンに、再び手をかけた。
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