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Episode② 港区ラプソディ
第8章|右肩上がりの市場価値 <1>鈴木先生と会社をハシゴ
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<1>
「足立さん、タクシーに乗りますよ!! 」
「は、はいっ!! 」
昼下がりの東京。私と鈴木先生は小走りで道路に近寄り、手を上げて、流しのタクシーに乗り込んだ。
「神保町までお願いします。住所は……」
鈴木先生が伝えた住所を、運転手さんがカーナビに入れてくれる。
車が動き出し、シートベルトを留める。
座席の前に置かれた、タクシー専用宣伝TVの画面が動き出した。
「先生ッ、次の訪問予定時間、間に合いますよね? 」
「ええ。なんとか、間に合いますね。この調子なら」
鈴木先生が腕時計を見る。ああよかった。ホッと一安心だ。
『株式会社E・M・A』所属の産業医は、毎月1回、1時間から3時間くらいの幅で、会社訪問をする契約になっている。
鈴木先生の担当している顧客企業の数は、『株式会社E・M・A』の中でもダントツに多い。
一日に顧客企業の所を、何軒もハシゴして回るスケジュールになっているので、ついていく私も必死だ。
できるだけ効率的に顧客企業を回るためには、移動時間を最低限にする必要がある。
東京は北海道と違って、街の絶対的なサイズは小さい。だから、徒歩で移動できる距離にある会社どうし、東京メトロで乗り換えをせず移動できる会社どうし、タクシーで移動すると早く到着できる会社どうしの訪問を同じ日にしておくと、意外に早く次の訪問先に到着できたりする。
鈴木先生のスケジュールは、ブロックみたいに整然と組み合わされていて、顧客先企業の「点」と「点」をうまく繋ぎながら、綱渡りで移動していくようになっていた。
ちらりと横を見ると、鈴木先生はノートパソコンを開いて、真剣な表情で何かを打ち込んでいた。先ほどの顧客企業とのやり取りをメモしているみたいだ。
鈴木先生、移動時間にまで仕事してるよ……。仕事熱心だなぁ……。
「足立さん、タクシーに乗りますよ!! 」
「は、はいっ!! 」
昼下がりの東京。私と鈴木先生は小走りで道路に近寄り、手を上げて、流しのタクシーに乗り込んだ。
「神保町までお願いします。住所は……」
鈴木先生が伝えた住所を、運転手さんがカーナビに入れてくれる。
車が動き出し、シートベルトを留める。
座席の前に置かれた、タクシー専用宣伝TVの画面が動き出した。
「先生ッ、次の訪問予定時間、間に合いますよね? 」
「ええ。なんとか、間に合いますね。この調子なら」
鈴木先生が腕時計を見る。ああよかった。ホッと一安心だ。
『株式会社E・M・A』所属の産業医は、毎月1回、1時間から3時間くらいの幅で、会社訪問をする契約になっている。
鈴木先生の担当している顧客企業の数は、『株式会社E・M・A』の中でもダントツに多い。
一日に顧客企業の所を、何軒もハシゴして回るスケジュールになっているので、ついていく私も必死だ。
できるだけ効率的に顧客企業を回るためには、移動時間を最低限にする必要がある。
東京は北海道と違って、街の絶対的なサイズは小さい。だから、徒歩で移動できる距離にある会社どうし、東京メトロで乗り換えをせず移動できる会社どうし、タクシーで移動すると早く到着できる会社どうしの訪問を同じ日にしておくと、意外に早く次の訪問先に到着できたりする。
鈴木先生のスケジュールは、ブロックみたいに整然と組み合わされていて、顧客先企業の「点」と「点」をうまく繋ぎながら、綱渡りで移動していくようになっていた。
ちらりと横を見ると、鈴木先生はノートパソコンを開いて、真剣な表情で何かを打ち込んでいた。先ほどの顧客企業とのやり取りをメモしているみたいだ。
鈴木先生、移動時間にまで仕事してるよ……。仕事熱心だなぁ……。
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