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夏休み
8月11日① 夏休み、隣の席の女の子と遊園地に行きました。
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朝の8時、俺は和奏と栞と3人で電車に揺られていた。
事の発端は本日朝6時の事だった。
「栞ちゃんと遊園地に行きます。」
和奏に叩き起されて聞かされた第一声がこれだ。
「行ってらっしゃい。楽しんで。」
「何言ってんの。大地も行くよ!」
そう言って彼女は俺にかかっている布団を思いっきり剥がして来た。
そこから無理やり準備をさせられて連れてこられたのだった。
「スマホを渡したのが間違いだったか。」
和奏と栞が連絡とる度に俺のスマホが奪われるのを嫌った俺は、昔使っていたスマホを外では使わないという約束で和奏に渡した。
それが仇となったのか、JKの行動力を侮った俺が悪いのか。
俺は電車に揺られる1時間程そればかりを考えていた。
「着いた!!!」
「まず、何乗りに行く?」
「んー、あれ乗りたい!」
和奏が指さしたのはコーヒーカップだった。
「コーヒーカップだってよ。」
「いいねぇ。行くぞ!!」
はしゃぐ2人に対して俺はある理由で楽しめて居なかった。
コーヒーカップでは和奏が全力で回したことにより完全に目が回り、降りる時に盛大にヘッドスライディングをかましてキャストさんに笑われながら助けられた。
俺の目の回りが解消されるまでしばらくは2人で次どこ行くかの話で俺のスマホを使って盛り上がっていた。
そして、俺が楽しめていなかった原因のものが次に選ばれてしまった。
「「次はあれ!!!」」
2人が同時に指さしたのは俺の大嫌いなアトラクション。
『お化け屋敷』
だった。
「嫌だ。絶対に嫌だ。」
「大地くん、ホラー無理なんだってねぇ~。和奏ちゃんから聞いたぞ~。」
栞は不敵な笑みを浮かべながらそう言ってくる。
俺は和奏を睨みつけるも彼女は目を逸らして口笛を吹いて知らんぷりしている。
「ほらほら、男の子なんだからしっかりしないと。行くぞ!!」
そう言って栞は俺の手を握ってお化け屋敷の方向へ引っ張っていく。
俺は彼女の腕を払いのけようとしたが、まだ完全に目の回りが解消されておらず、ただただなすがまま連れていかれてしまった。
看板は黒く塗りつぶされ、血が滴るかのような書き方で「お化け屋敷」と書かれている。その場に立っているだけで、何やらおどろおどろしいBGMが鳴り響き、中から急に悲鳴が聞こえてくる。
「やっぱ、辞めない?」
「残念、もう遅いね。」
「2名様入りまーす。」
そう言って、ギギギィと開かれる扉の奥、黒いカーテンで塞がれたお化け屋敷に俺たちは入っていく。
「ギァァァァ!!!」
入った瞬間、俺はそんな声を上げて栞の腕にしがみついた。
「大地くんは本当にホラー無理なんだな。ただの、作り物の生首だよ。」
栞は笑いながら俺にそう言ってくる。
「大地は怖がりすぎだって。」
「和奏、急に話しかけないでくれ。お前は本物なんだ。ビックリする。」
「はーい。」
和奏は俺の方を見て、不貞腐れてそう返事をすると、
「明後日までの辛抱。」
と小さな声で言ったが、お化け屋敷を怖がる俺にはそんな事聞こえなかった。
しばらく進んで行くとお墓が見つかった。
「このお墓に札を貼るんだっけ?」
「早く貼って出ようよ。」
その時、背後から頭に血を流した男が俺達に向かって来た。
「うわぁぁぁぁ。」
「うっひょ~。怖えぇ~。」
「逃げろ~。」
全力で逃げる俺。
笑いながら走る栞。
ゆうゆうと俺たちを追いかける和奏。
全力で走り、黒いカーテンを抜けるとそこは明るい、遊園地だった。
「死ぬかと思った。」
「楽しかった~。」
「大地くん、おつかれ様。いい時間だしお昼休みにしよっか。」
そうして、絶叫のお化け屋敷は幕を閉じたのだった。
事の発端は本日朝6時の事だった。
「栞ちゃんと遊園地に行きます。」
和奏に叩き起されて聞かされた第一声がこれだ。
「行ってらっしゃい。楽しんで。」
「何言ってんの。大地も行くよ!」
そう言って彼女は俺にかかっている布団を思いっきり剥がして来た。
そこから無理やり準備をさせられて連れてこられたのだった。
「スマホを渡したのが間違いだったか。」
和奏と栞が連絡とる度に俺のスマホが奪われるのを嫌った俺は、昔使っていたスマホを外では使わないという約束で和奏に渡した。
それが仇となったのか、JKの行動力を侮った俺が悪いのか。
俺は電車に揺られる1時間程そればかりを考えていた。
「着いた!!!」
「まず、何乗りに行く?」
「んー、あれ乗りたい!」
和奏が指さしたのはコーヒーカップだった。
「コーヒーカップだってよ。」
「いいねぇ。行くぞ!!」
はしゃぐ2人に対して俺はある理由で楽しめて居なかった。
コーヒーカップでは和奏が全力で回したことにより完全に目が回り、降りる時に盛大にヘッドスライディングをかましてキャストさんに笑われながら助けられた。
俺の目の回りが解消されるまでしばらくは2人で次どこ行くかの話で俺のスマホを使って盛り上がっていた。
そして、俺が楽しめていなかった原因のものが次に選ばれてしまった。
「「次はあれ!!!」」
2人が同時に指さしたのは俺の大嫌いなアトラクション。
『お化け屋敷』
だった。
「嫌だ。絶対に嫌だ。」
「大地くん、ホラー無理なんだってねぇ~。和奏ちゃんから聞いたぞ~。」
栞は不敵な笑みを浮かべながらそう言ってくる。
俺は和奏を睨みつけるも彼女は目を逸らして口笛を吹いて知らんぷりしている。
「ほらほら、男の子なんだからしっかりしないと。行くぞ!!」
そう言って栞は俺の手を握ってお化け屋敷の方向へ引っ張っていく。
俺は彼女の腕を払いのけようとしたが、まだ完全に目の回りが解消されておらず、ただただなすがまま連れていかれてしまった。
看板は黒く塗りつぶされ、血が滴るかのような書き方で「お化け屋敷」と書かれている。その場に立っているだけで、何やらおどろおどろしいBGMが鳴り響き、中から急に悲鳴が聞こえてくる。
「やっぱ、辞めない?」
「残念、もう遅いね。」
「2名様入りまーす。」
そう言って、ギギギィと開かれる扉の奥、黒いカーテンで塞がれたお化け屋敷に俺たちは入っていく。
「ギァァァァ!!!」
入った瞬間、俺はそんな声を上げて栞の腕にしがみついた。
「大地くんは本当にホラー無理なんだな。ただの、作り物の生首だよ。」
栞は笑いながら俺にそう言ってくる。
「大地は怖がりすぎだって。」
「和奏、急に話しかけないでくれ。お前は本物なんだ。ビックリする。」
「はーい。」
和奏は俺の方を見て、不貞腐れてそう返事をすると、
「明後日までの辛抱。」
と小さな声で言ったが、お化け屋敷を怖がる俺にはそんな事聞こえなかった。
しばらく進んで行くとお墓が見つかった。
「このお墓に札を貼るんだっけ?」
「早く貼って出ようよ。」
その時、背後から頭に血を流した男が俺達に向かって来た。
「うわぁぁぁぁ。」
「うっひょ~。怖えぇ~。」
「逃げろ~。」
全力で逃げる俺。
笑いながら走る栞。
ゆうゆうと俺たちを追いかける和奏。
全力で走り、黒いカーテンを抜けるとそこは明るい、遊園地だった。
「死ぬかと思った。」
「楽しかった~。」
「大地くん、おつかれ様。いい時間だしお昼休みにしよっか。」
そうして、絶叫のお化け屋敷は幕を閉じたのだった。
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