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夏休み
8月10日 夏休み、隣の席の女の子に新しい友達が出来ました。
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「お邪魔します。」
時刻は午前10時俺の家に松田さんがやって来た。
昨日の夜和奏とは話し合って、松田さんがいる間は俺が合図を出すまでは隠れてもらう事になっている。
俺と松田さんは向かい合って座ると、松田さんは一度和奏の居る部屋を一瞥してから話しかけてくる。
「聞きたいことは分かってるよね?」
聞きたいこと、それは恐らくこの前の野球ボールの件だろう。
「うん。この前の川路でのことだよね。」
「そう、まず、あの時私を庇ってくれたことありがと。」
「いやいや、無事で良かったよ。」
「で、あの野球ボールの事だけど。」
来てしまったこの質問。
「あれは.........」
「分かってるよ。」
俺が用意した答えを言おうとした時、松田さんに止められる。
「今日ここに来て全て分かっちゃった。でも、誰にでもバレたくない秘密が1つや2つあるよ。秘密にしてあげる。」
俺は思いもよらない彼女の言葉に驚いたが、予定通り事を進める。
「今日、来てもらったのは松田さんに全部話すためなんだ。和奏、出てきていいよ。」
俺がそう言うと、部屋の扉が開き奥から和奏が出てきて、俺の横に座る。
松田さんには勝手に色んなものが動いているように見えているだろうが黙ってその光景を見つめている。
「今、俺の隣に座ってるんだけど、安達和奏って女の子のオバケ?が。彼女が昨日の野球ボールの原因。」
俺がそう言うとしばらく和奏の方を見つめて
「初めまして。九重くんのクラスメイトの松田栞です。その節はどうもありがとうございました。」
丁寧に自己紹介する松田さんに俺と和奏は少し戸惑ってしまう。
「信じるのか?こんな馬鹿みたいな話を。」
「信じるしかないでしょ。野球ボールと言い、今の一連の流れと九重くんの態度を見ると。」
「ありがとう。」
物分りの良すぎる松田さんのお陰で川路の事件は丸く収まったのだった。
「それで、私もその安達和奏さんとお話してみたいんだけど。見た感じ彼女は物体には触れるのよね。それじゃあ、スマホとかでメッセージとかできる?」
俺はスマホを取り出し和奏渡すと、直ぐにメッセージを打ち始める。
今までスマホには触ってこなかった筈だがさすがJKというか、ものすごいスピードで文字を打っている。
「来た。『安達和奏です!!よろしくお願いします!!』だって。」
それからしばらく2人でメッセージをやり取りしているのを俺は見ているだけだった。
そして、10分程度経ったとき、
「和奏ちゃんとお友達になりました。」
「はい?」
「栞ちゃん、めちゃめちゃ良い子だね!!」
俺の知らない間に2人はとっても仲良くなっていた。
どんなメッセージをしたらそんな短時間で仲良くなれるのか。
「大地くん、今日は急に尋ねてごめんなさいね。私はそろそろ帰ります。」
「あっ、はい。」
名前呼びに少し驚いたが、立ち上がり帰ろうとする松田さんをお見送りするために俺も立ち上がる。
「お邪魔しました。」
「栞ちゃん。ばいばーい。」
「また、お邪魔するかもしれないので、その時はよろしくお願いします。」
「了解。和奏の相手してやってくれ。」
「はい。それと、私のこともこれから下の名前で呼んでください。それでは。」
そう言ってまつ、栞は帰って行った。
「良かったな、友達できて。」
「うん。これからが楽しみ!」
「メッセージでどんなやり取りしたんだ?」
「秘密~。」
俺のスマホだから内容見れるんだけどな、と思いながら和奏のとても嬉しそうな笑顔を見ていた。
――――――――――――
残り21日。
時刻は午前10時俺の家に松田さんがやって来た。
昨日の夜和奏とは話し合って、松田さんがいる間は俺が合図を出すまでは隠れてもらう事になっている。
俺と松田さんは向かい合って座ると、松田さんは一度和奏の居る部屋を一瞥してから話しかけてくる。
「聞きたいことは分かってるよね?」
聞きたいこと、それは恐らくこの前の野球ボールの件だろう。
「うん。この前の川路でのことだよね。」
「そう、まず、あの時私を庇ってくれたことありがと。」
「いやいや、無事で良かったよ。」
「で、あの野球ボールの事だけど。」
来てしまったこの質問。
「あれは.........」
「分かってるよ。」
俺が用意した答えを言おうとした時、松田さんに止められる。
「今日ここに来て全て分かっちゃった。でも、誰にでもバレたくない秘密が1つや2つあるよ。秘密にしてあげる。」
俺は思いもよらない彼女の言葉に驚いたが、予定通り事を進める。
「今日、来てもらったのは松田さんに全部話すためなんだ。和奏、出てきていいよ。」
俺がそう言うと、部屋の扉が開き奥から和奏が出てきて、俺の横に座る。
松田さんには勝手に色んなものが動いているように見えているだろうが黙ってその光景を見つめている。
「今、俺の隣に座ってるんだけど、安達和奏って女の子のオバケ?が。彼女が昨日の野球ボールの原因。」
俺がそう言うとしばらく和奏の方を見つめて
「初めまして。九重くんのクラスメイトの松田栞です。その節はどうもありがとうございました。」
丁寧に自己紹介する松田さんに俺と和奏は少し戸惑ってしまう。
「信じるのか?こんな馬鹿みたいな話を。」
「信じるしかないでしょ。野球ボールと言い、今の一連の流れと九重くんの態度を見ると。」
「ありがとう。」
物分りの良すぎる松田さんのお陰で川路の事件は丸く収まったのだった。
「それで、私もその安達和奏さんとお話してみたいんだけど。見た感じ彼女は物体には触れるのよね。それじゃあ、スマホとかでメッセージとかできる?」
俺はスマホを取り出し和奏渡すと、直ぐにメッセージを打ち始める。
今までスマホには触ってこなかった筈だがさすがJKというか、ものすごいスピードで文字を打っている。
「来た。『安達和奏です!!よろしくお願いします!!』だって。」
それからしばらく2人でメッセージをやり取りしているのを俺は見ているだけだった。
そして、10分程度経ったとき、
「和奏ちゃんとお友達になりました。」
「はい?」
「栞ちゃん、めちゃめちゃ良い子だね!!」
俺の知らない間に2人はとっても仲良くなっていた。
どんなメッセージをしたらそんな短時間で仲良くなれるのか。
「大地くん、今日は急に尋ねてごめんなさいね。私はそろそろ帰ります。」
「あっ、はい。」
名前呼びに少し驚いたが、立ち上がり帰ろうとする松田さんをお見送りするために俺も立ち上がる。
「お邪魔しました。」
「栞ちゃん。ばいばーい。」
「また、お邪魔するかもしれないので、その時はよろしくお願いします。」
「了解。和奏の相手してやってくれ。」
「はい。それと、私のこともこれから下の名前で呼んでください。それでは。」
そう言ってまつ、栞は帰って行った。
「良かったな、友達できて。」
「うん。これからが楽しみ!」
「メッセージでどんなやり取りしたんだ?」
「秘密~。」
俺のスマホだから内容見れるんだけどな、と思いながら和奏のとても嬉しそうな笑顔を見ていた。
――――――――――――
残り21日。
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