【一章完結】テイマーだらけの世界で「飼育パートナーなし」と告げられたが、なんかすげーパートナー出来たのでゴートテイマー目指し直します。

みっちゃん

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第一章

第五話 祭りと爆発

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今日も僕らはダンジョンには行かずに、僕の部屋にいた。
今日は作戦会議をするためである。
その内容は以前目撃したハケスとレノンについてである。

ハケスとレノンはサモンズを懲らしめようとしている。おそらく殺そうとしている。
なぜなら、ドーラの店で買ったものがあまりにもすごいものだったからだ。
彼らが買ったものは二種類ある。
一つ目はウィングだ。名の通り自由に空を飛ぶための道具である。この世界では空を飛ぶことは、パートナーの力を借りることでしか不可能だと思われているため、これだけでもとても強力だ。
だが、彼らがサモンズを殺害すると僕が考えている理由はもう一つの魔道具が原因である。
それは、グレイルだ。
グレイルとは爆弾の一種でカトラスと同様、血を垂らすことで使用者の好きなタイミングで爆発できる爆弾であり、威力もとてつもなく強く、周り半径一キロ圏内を吹き飛ばせるとドーラが言っていた。
何でそんなもの売ってんだか。

「どうして、友達であるサモンズさん?を彼らは殺そうとしているのでしょうか。」

アストレアはお母さん特製アップルパイを食べながら僕に聞いてくる。

「それはたぶん、嫉妬だろう。」
「ふぃふっほ?」

アップルパイを口に入れたまましゃべったためほとんど聞き取れなかった。

「あいつらはおそらくずっと一緒に行動していたんだろう。だけど、サモンズが赤いバッジをもらったことでサモンズだけがちやほやされ始めた。それに対する嫉妬心だろう。」
「なるほど。それで、どうするのですか。」
「その計画を止めようと思う。」
「どうしてですか。あなたを殺そうとした人ですよ?」
「あいつだけが殺されるなら止めようとはしないよ。でも、今回はグレイルが使われるから、この町の人たちだって殺されてしまうからそれは阻止しないと。」
「ミドル様はお優しいのですね。」
「それに一週間後と言えば町で祭りが開かれる。多くの犠牲が出るかもしれない。」
「それは少しまずいですね。それで、どうやって阻止を?」
「そうなんだよ。どうにか彼らを騙して、計画を阻止できればいいんだけど、、」

僕はしばらく考え続けた。
そして、一つ可能性を見つけ出した。

「アストレア、ちょっとダンジョンに行くぞ!」
「ダンジョンですか?」
「ああ、ちょっとお前で試したいことが出来た。」





そう言って、僕らはダンジョンの6階層に来た。

「どうして6階層に?この前はもっと先に行きましたよね?」

不思議がるアストレアに僕は考えを伝える。

「それはな・・・・・」


「なるほど。ミドル様は天才ですね。それはわたくし可能でございます!!」

それからは、僕の考えた作戦のために、五日間ひたすらアストレアを鍛えた。



そしてお祭りの日、当日を迎えた。
祭りはたくさんのテイマーたちで賑わっていた。

「アストレア、いよいよだ。準備はいいか?」
「はい、ミドル様。」
「今日までの特訓の成果見せてやれ。行くぞ!!」
「はい!!」


こうして、僕らのサモンズ殺害阻止計画が開幕した。


既に計画阻止の為の布石は打っておいた。
あとは、アイツらが何処にどうやって現れ、グレイルを起爆させるかだが、、、
僕は周りを隈無く見渡しながら、彼らを探す。

「ミドル様、この道を真っ直ぐ進んだところに強い魔力反応があります。」

アストレアはいつもの通り、ローブのフードから顔を出し伝えてくる。
が、いつもより元気がなさそうに見える。

「そうか、行くぞ!!」
「はい!!」

僕はアストレアの言った方向に走っていった。すると、そこに居たのはハケスでもレノンでもなく、サモンズだった。付き人と思わしき人と一緒に歩いていた。
僕は身を潜め、サモンズの動向を伺う。

「サモンズ様、後ほどダンジョン攻略者として式典でお話することになっていますが、準備はよろしいですか?」
「あー、そんな事言っていたな。安心しろ、大丈夫だ。」
「良かったです。安心しました。」
「俺レベルになるとな、壇上に立てば言葉なんかスラスラと浮かんでくるんだよ!」
「サモンズ様に期待した私が馬鹿でした。後ほど、台本を差し上げますのでそれを覚えて言ってくださいよ!絶対ですよ!」
「あーあ、うるさい。わかったよ!」

なんじゃいあの態度は!
完全に鼻を伸ばしてるじゃないか。まあ、僕のせいなんだけど...
それよりもいい事を聞いた。サモンズが式典の壇上で話す、恐らくその時に計画が実行されるだろう。
僕はそう思い、式典の会場まで急いで行った。

式典会場に到着すると既にたくさんの人たちが集まっていた。なんでも、たくさんの有志が集まり出し物をするらしい。
式が始まる前にアストレアに指示をして、僕も式典の会場に潜り込んだ。


「皆さん、お待たせしました!!いよいよ、始まります!今回もたくさんのテイマーさん達が名乗りをあげてきました。どうぞ、楽しんでご覧下さい。まずは、この方からです!」

という司会者の掛け声と共に式典が始まった。たくさんのテイマー達が自分のパートナーと力を合わせ観客の人たちを楽しませていた。
そして、式典もいよいよ終わりを迎え

「それでは、最後にこの人に出てきてもらいましょう!この街ではもうこの人の名前を知らない人はいません!ゴラギエ・サモンズさんです!」

その司会の声と観客たちの歓声ともに壇上にサモンズが現れる。

「この度は、この俺の為に集まってもらって、ありがとう。・・・・」

サモンズがそうちょっと鼻につくような話を始め、僕は身構える。

だか、いくら待てども爆発は怒らなかった。

「サモンズさん、ありがとうございました!」

そんな司会者の声が聞こえ、サモンズが壇上から去ろうとする。
僕はサモンズの暗殺がなかったことに少し不思議に思ったが、杞憂だったのかと会場をズラかろうとした、その時

「サモンズ様、少しお待ちください!
 サモンズ様の活躍に対するお祝いのケーキが届いています。」

僕は帰ろうとする足を止め、ステージに再び目を向ける。
そんな予定はなかったはずだ。
そして、壇上にケーキが持ってこられる。
僕は、あれがグレイルだと確信する。
そして、会場の明かりが消され真っ暗になる。
僕はいきなりのことに何も対応できずにただ見るだけになってしまった。

「では、サモンズ様。蝋燭の火をお消しください!!」

司会者のその掛け声とともに、サモンズが火を消そうとする。
僕はもう目を閉じるしかなかった。
そんな時、

「ミドル様、逃げますよ。この会場に残っているのはあなたとサモンズだけです。」

そんな声が聞こえ、目を開けると僕は会場からいつの間にかどこか分からないところまで来ていた。


ドォーーーーーン


という爆発音が遠くで聞こえてきた。

「アストレア、うまくいったのか?」
「はい、ミドル様。」












僕らの計画は祭りの始まる前から始まっていた。
まず、ダンジョンの6階層に行った理由から話そう。
それは、6階層のモンスター、フォクスィーの幻術をアストレアにマスターしてもらうためだ。
ダンジョンの6階層でアストレアにはフォクスィーのあらゆる幻術に引っ掛かってもらいその技を覚えてもらった。
そして、祭り当日、アストレアには祭りに来ている全員に幻術を掛けてもらった。
僕も例外ではなく、ハケスやレノンにもだ。
彼らはずっとウィングで空から見ていたため見つけやすかった。
そして、僕らが式典を見ている間にアストレアの幻術によって
町のテイマーたちは念のため遠くにおびき寄せて置き、
あの会場には僕とサモンズと空から見るハケスとレノンのみだったという訳だ。

そして、あとはグレイルをアストレアが空にぶん投げてジ・エンド。
僕は身を隠すため遠くに逃げたという訳だ。
町は爆破されてないし、死者も誰一人としていない。


何でこんな回りくどいことをしたかって?


まずは、グレイルを消費させたかったというのが一つ。
もう一つは、自分の計画が成功したと思わせ、失敗したどん底に突き落としたかったからだ。

「幻術はもう解除しておきますね」
「ああ。アストレア、ほんとにありがとう。」
「ミドル様のためならなんだってします。それに、アップルパイですしね。」

僕はこの計画を成功させた暁には母さん特製アップルパイを思う存分食べさせてやると約束したのだ。
アップルパイで動くとは、なんと単純なのだろう。
僕は心の中でアストレアを笑った。

「あー、今なんか失礼なこと考えましたね?」
「そんなことないよ。」
「嘘です!わたくしには分かるのです!」
「そんなこと言わず、さっさと帰るぞ。」
「もう!帰ったら問いただしますからね!」

そう言って、僕はアストレアに連れられ家に帰った。


これで僕らのサモンズ殺害阻止計画は閉幕したのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ドォーーーーーン


大きな爆発音がハケスとレノンの耳に響き渡る。

「やったな、ハケス。」
「ああ、レノン。」
「これであいつとはおさらばよ。」
「これでやっと何の嫉妬もストレスも感じずに生きられる。」

ハケスとレノンは計画の成功の喜びを空で分かち合った。
熱く二人で抱擁を交わした。
そんな中、この目を疑う光景が見える。
爆発で消し飛んだはずのこの町一帯が、何一つ傷なく残っていたからだ。

「どうしてだ?!確かにこの町は吹き飛んだはず。」
「グレイルはちゃんと発動したんだよな?」
「させたさ!なのにどうして。」

そう動揺しているときにレノンのパートナー、スクアラルが鳴き始めた。
何かを伝えようとしている。
スクアラルはある方向に飛び始めた。
その方向の先を見てみると遠くに人の影が一つ、二つあるのを見つける。
僕らは近づくにつれその片方に見覚えがあるような気がした。
が、確信を得る前にその影は突然姿を消した。
僕らは飛行をやめる。

「おい、ハケス。今の・・・・」
「だよな、レノン。でも、あり得るわけない。あいつが生きてるなんて。」
「でも、万が一がある。念のため、準備しておくぞ。」
「そうだな。」

思ったことは同じだった。
ハケスとレノンはそう言ってある場所に向かって飛んで行った。
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