続・君につづく道

びぅむ

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第34部 理でもわかるエッチ講座

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俺は戸棚から紅茶を取り出して、真波さんに言われるがまま、ガラスのティーポットに茶葉をスプーンでいれた。

「坂井さん。雪子をこれからもよろしくね」

「え?」

突然真波さんが話し始めて、俺はギクッとして真波さんを見つめた。

「あの子の学生時代に、私たちはなにも親らしいことしてあげられなかった。寂しかったと思うわ。寂しい気持ちを我慢することを覚えさせてしまった。欲に対して、そんなに熱を持たなくて、欲しいものを聞いても、何もない、と答えてた子どもだった。範子がそばにいてくれて、私の代わりに育ててくれたと思うから、雪子にとっては範子がもう1人のお母さんなのね。でも、範子も言ってた。弱音一つ吐かない強い子だって。本当は甘えたり泣いたりしたかったはずなのに。坂井さんの前では、どう?」

真波さんがそう訊ねると、俺は苦笑いになってティーカップを並べた。

「確かに、素直に感情を伝えることは苦手かもね。妊娠のことも、隠してたんだ。全然気づかなくて、滋たちが教えてくれて、やっと分かったんだから。あいつ、俺に何も言わないで1人で産んで育てる気だったんだって。俺が昔ここでさ、結婚はしないって言ったこと、ずっと気にしてたみたいで。妊娠を知ったら、別れることになるかも、とか責任を感じて結婚するとか思われてもいやだ、とか。なんか、自分のことを足枷だとか思ったんだって」
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