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序章
4.星のお菓子
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「星の王国?」
星と聞いて俺は村で見た綺麗な夜空を思い出す。確かに星の王国っぽいな。
何故かカインは続けて得意げに話し始めた。
「星の綺麗な国なんだよここは、それに星に纏わる歴史や御伽話、さらには魔術書までもがあるんだ。結構観光地としても人気なんだよ」
「ずいぶん詳しいんだな」
「自分の住んでる国だもの」
確かにそうだ、むしろ自分の住んでる国なのに名前すらわからない方がおかしいのだ。
「自分の住んでる国だけど王都にはあまり行ったことないんだ、住んでる場所が場所だから当然なんだけどね」
カインは薄く笑ってみせる。その笑顔には王都への期待が込められていたようにも思えた。
「カインは王都で何か買ったりするのか?」
唐突にそんな事を聞いてみる。
「魔術書を買いたいんだ、昔から欲しかった本があってね。キョウジも魔術書買うんでしょ?」
「うん、なんで知ってるんだ?」
「村長から店に案内してやれって頼まれていてね」
「なるほどな、本屋の名前はなんて言うんだ?」
「クレイジー・ブックスだよ」
「なんだかやばそうな名前の本屋だな、別の本屋ないの?」
「あるけど、キョウジはここじゃなきゃダメだよ」
明らかにやばい店主が居るかかやばい本が売ってそうな名前の本屋なんだがどうしてここじゃなきゃダメなのだろう、一昨日カインのおかずを盗ったからか?ごめんよカイン。そんなことを考えているうちに第一チェックポイントに到着したらしい。
「今のうちにトイレに行くやつは行ってこい!」
俺らの乗っている馬車の班長がよく通る声で周りにトイレに行っておくように促している。俺は大丈夫だ。
「ねえキョウジ、到着してすぐに用事を済ませるなら仮眠取りなよ、着く前に起こしてあげるからさ」
カインが俺に提案してきた。確かにちょっと眠いかもしれない。
「うん、そうするよ」
「おやすみ、キョウジ」
俺は疲れていたのか目を瞑って力を抜くとすぐに深い眠りについてしまった。
そして俺はすぐに起こされた
「キョウジ起きて、もうすぐ着くよ」
「ふぁ……おはよう、もう着いたのか?」
まだ寝始めて1時間も経ってないように感じる。
「キョウジ8時間くらい寝てたよ」
「もうそんなに時間経ってたのか!?」
どうやら本当にぐっすり寝ていたらしい。馬車なんかで8時間も寝たから全身痛い。
「ほら、見てみなよ」
カインが馬車から身を乗り出して指をさす。俺もカインのように身を乗り出して見てみると、そこには大きな町が見えた。全体的に特徴的な作りをしているわけではいないようだがとにかく町の規模が大きい。普通の建物に特徴がないからなのか、一部の大きな建物はよく目立っていた。特に城が目立っていた。まあ、国の象徴でもあるし当然ではあるが。
カインと二人で王都に見とれているとあっという間に大きな門の前に到着する。流石馬車だね。
「手続きをするから全員一度馬車から降りてくれ」
例の班長に言われてみんな一度馬車を降りる。いやー疲れたね、伸びが本当に気持ちいい。寝てたけど。
すぐに後続のもう一つの馬車からも人が降りて来るがエリナが降りて来ない。一体どうしたのだろう。
エリナの班の班長がこちらに駆け寄ってるくる。
「カイン、悪いけどエリナをなんとかしてくれ……」
「わかった、行ってくるよ」
そういうとカインは苦笑いを浮かべながら馬車の方へ歩いていく。
「エリナがどうかしたんですか?」
俺は何か大変なことでも起こったのかと思い聞いてみる。
「エリナは馬車に乗るといつも寝るんだけどな、全然起きねえんだよ」
するとカインが眠ったエリナを背負ってこちらに歩いてきた。はた迷惑なやつめ。
「今回は本当に起きないね、しょうがないから背負って連れて来ちゃったよ」
「いや、助かったよ、サンキューカイン」
そう言うと班長は馬車の方まで戻って行った。
「なあカイン、エリナどうするんだ?」
「起こすしかないでしょう」
不意にカインはエリナを降ろし、壁にもたれさせる。そして頭を揺さぶったり耳元でエリナを呼んだりし始めた。それで起きんのかよ。
するとエリナは目を覚まし、あくびを始めた。
「ふぁ~……おはよう」
「おはよう、なんで馬車でちゃんと起きないの?」
「馬車の呪いで起きられなかったんだよ」
どうやらエリナはまだ寝ぼけているらしい。
「おーい!手続きが終わったぞ!馬車に乗れ!」
遠くから班長が俺らを呼んでいた。すると代表してカインが返事をする。
「エリナがまた寝ると悪いから僕達は歩いて宿までいくよ!」
「わかった!なら荷物降ろして行きな!」
エリナに自分の荷物を取りに行かせ、俺とカインもすぐに荷物を取りに行く。
「それじゃ、先に行ってるぞ」
そう言うと馬車を走らせて先に中に入っていった。
「ところでカイン、俺達の泊まる宿ってどこなんだ?」
「町の北の方にある宿でオリオンって名前だよ」
「じゃあ、中央広場まで行って右曲がればいいのか」
「そういうことになるね」
俺とカインがそんな話をしている一方でエリナは眠そうに目を擦っている。お願いだから転ばないでくれよ?
「それじゃあ、出発しますか」
カインのセリフを号令の代わりに三人で一緒に宿に向かって歩き始める。
門を潜り抜けてすぐに商店街の入口が見えてくる。流石王都と言うべきか活気がすごかった、たくさんの物が売られていて見ているだけでも楽しい。
商店街の出口手前に小さなお菓子屋さんがあり、店員さんが俺に話しかけてきた。
「そこのお兄さん!黒髪のあなたですよ!」
「ん?俺ですか?」
「そうだよ、あんた東の国の人だろ?ステラ風コンペイトウ売ってるよ!東の国のお菓子にステラ風のアレンジを加えた一品だよ!お一ついかが?」
ステラ風コンペイトウとやらを見ると、なにやらカラフルで星のような形の綺麗な粒のお菓子だった。特に食べたいわけではなかったが、何故か欲しくなった。
「それじゃあ一瓶下さい」
「あいよ!二百ゴルだよ!」
結構いい値段しやがる。まあいいか。
俺はマルタさんが作ってくれた小銭入れから二百ゴル取り出して渡し、ステラ風コンペイトウを受け取る。
「まいどあり!」
後ろから景気のいいお菓子屋店員の声が聞こえる。あそこ儲かっているのだろうか?
「いいのかいキョウジ?他にも使う予定あるんだろ?」
カインが心配そうに問いかけてくる。
「平気だよ、こういうの買ったりするのも必要だって。一粒どう?」
「ならいいんだけどね……ありがとう、それじゃあ貰うよ」
ずっと黙っていたエリナが口を開く。
「私も星のお菓子欲しい~。ホシだけに……」
急に喋り出したと思ったら何を言い出すのだろうこの子は。十点中三点だな。俺はエリナの口に星のお菓子を放り込んでやる。
そんなやり取りをしているうちにいつの間にか入った住宅街をいつの間にか抜け、中央広場に出た。するとカインから提案があった。
「中央広場にクレイジー・ブックスあるんだけどさ……寄っていかない?」
「いいけど、荷物を宿まで持っていかなくていいのか?それにエリナもいるし」
「私も本買うから大丈夫~」
「荷物置いてまた来るのは二度手間だろ?」
「わかったよ」
どうやらカインは例の欲しかった本がどうしても早く買いたいらしい。顔に書いてあるぞ。
そういうわけで俺達は進路を宿から目の前に見えている本屋に変更した。
本屋クレイジー・ブックスは割と外見は綺麗なお店だった。俺は名前と違いお店がまともそうでほっとしながらも軽度の緊張感を感じ、ゆっくりとクレイジー・ブックスの扉を開けた。
星と聞いて俺は村で見た綺麗な夜空を思い出す。確かに星の王国っぽいな。
何故かカインは続けて得意げに話し始めた。
「星の綺麗な国なんだよここは、それに星に纏わる歴史や御伽話、さらには魔術書までもがあるんだ。結構観光地としても人気なんだよ」
「ずいぶん詳しいんだな」
「自分の住んでる国だもの」
確かにそうだ、むしろ自分の住んでる国なのに名前すらわからない方がおかしいのだ。
「自分の住んでる国だけど王都にはあまり行ったことないんだ、住んでる場所が場所だから当然なんだけどね」
カインは薄く笑ってみせる。その笑顔には王都への期待が込められていたようにも思えた。
「カインは王都で何か買ったりするのか?」
唐突にそんな事を聞いてみる。
「魔術書を買いたいんだ、昔から欲しかった本があってね。キョウジも魔術書買うんでしょ?」
「うん、なんで知ってるんだ?」
「村長から店に案内してやれって頼まれていてね」
「なるほどな、本屋の名前はなんて言うんだ?」
「クレイジー・ブックスだよ」
「なんだかやばそうな名前の本屋だな、別の本屋ないの?」
「あるけど、キョウジはここじゃなきゃダメだよ」
明らかにやばい店主が居るかかやばい本が売ってそうな名前の本屋なんだがどうしてここじゃなきゃダメなのだろう、一昨日カインのおかずを盗ったからか?ごめんよカイン。そんなことを考えているうちに第一チェックポイントに到着したらしい。
「今のうちにトイレに行くやつは行ってこい!」
俺らの乗っている馬車の班長がよく通る声で周りにトイレに行っておくように促している。俺は大丈夫だ。
「ねえキョウジ、到着してすぐに用事を済ませるなら仮眠取りなよ、着く前に起こしてあげるからさ」
カインが俺に提案してきた。確かにちょっと眠いかもしれない。
「うん、そうするよ」
「おやすみ、キョウジ」
俺は疲れていたのか目を瞑って力を抜くとすぐに深い眠りについてしまった。
そして俺はすぐに起こされた
「キョウジ起きて、もうすぐ着くよ」
「ふぁ……おはよう、もう着いたのか?」
まだ寝始めて1時間も経ってないように感じる。
「キョウジ8時間くらい寝てたよ」
「もうそんなに時間経ってたのか!?」
どうやら本当にぐっすり寝ていたらしい。馬車なんかで8時間も寝たから全身痛い。
「ほら、見てみなよ」
カインが馬車から身を乗り出して指をさす。俺もカインのように身を乗り出して見てみると、そこには大きな町が見えた。全体的に特徴的な作りをしているわけではいないようだがとにかく町の規模が大きい。普通の建物に特徴がないからなのか、一部の大きな建物はよく目立っていた。特に城が目立っていた。まあ、国の象徴でもあるし当然ではあるが。
カインと二人で王都に見とれているとあっという間に大きな門の前に到着する。流石馬車だね。
「手続きをするから全員一度馬車から降りてくれ」
例の班長に言われてみんな一度馬車を降りる。いやー疲れたね、伸びが本当に気持ちいい。寝てたけど。
すぐに後続のもう一つの馬車からも人が降りて来るがエリナが降りて来ない。一体どうしたのだろう。
エリナの班の班長がこちらに駆け寄ってるくる。
「カイン、悪いけどエリナをなんとかしてくれ……」
「わかった、行ってくるよ」
そういうとカインは苦笑いを浮かべながら馬車の方へ歩いていく。
「エリナがどうかしたんですか?」
俺は何か大変なことでも起こったのかと思い聞いてみる。
「エリナは馬車に乗るといつも寝るんだけどな、全然起きねえんだよ」
するとカインが眠ったエリナを背負ってこちらに歩いてきた。はた迷惑なやつめ。
「今回は本当に起きないね、しょうがないから背負って連れて来ちゃったよ」
「いや、助かったよ、サンキューカイン」
そう言うと班長は馬車の方まで戻って行った。
「なあカイン、エリナどうするんだ?」
「起こすしかないでしょう」
不意にカインはエリナを降ろし、壁にもたれさせる。そして頭を揺さぶったり耳元でエリナを呼んだりし始めた。それで起きんのかよ。
するとエリナは目を覚まし、あくびを始めた。
「ふぁ~……おはよう」
「おはよう、なんで馬車でちゃんと起きないの?」
「馬車の呪いで起きられなかったんだよ」
どうやらエリナはまだ寝ぼけているらしい。
「おーい!手続きが終わったぞ!馬車に乗れ!」
遠くから班長が俺らを呼んでいた。すると代表してカインが返事をする。
「エリナがまた寝ると悪いから僕達は歩いて宿までいくよ!」
「わかった!なら荷物降ろして行きな!」
エリナに自分の荷物を取りに行かせ、俺とカインもすぐに荷物を取りに行く。
「それじゃ、先に行ってるぞ」
そう言うと馬車を走らせて先に中に入っていった。
「ところでカイン、俺達の泊まる宿ってどこなんだ?」
「町の北の方にある宿でオリオンって名前だよ」
「じゃあ、中央広場まで行って右曲がればいいのか」
「そういうことになるね」
俺とカインがそんな話をしている一方でエリナは眠そうに目を擦っている。お願いだから転ばないでくれよ?
「それじゃあ、出発しますか」
カインのセリフを号令の代わりに三人で一緒に宿に向かって歩き始める。
門を潜り抜けてすぐに商店街の入口が見えてくる。流石王都と言うべきか活気がすごかった、たくさんの物が売られていて見ているだけでも楽しい。
商店街の出口手前に小さなお菓子屋さんがあり、店員さんが俺に話しかけてきた。
「そこのお兄さん!黒髪のあなたですよ!」
「ん?俺ですか?」
「そうだよ、あんた東の国の人だろ?ステラ風コンペイトウ売ってるよ!東の国のお菓子にステラ風のアレンジを加えた一品だよ!お一ついかが?」
ステラ風コンペイトウとやらを見ると、なにやらカラフルで星のような形の綺麗な粒のお菓子だった。特に食べたいわけではなかったが、何故か欲しくなった。
「それじゃあ一瓶下さい」
「あいよ!二百ゴルだよ!」
結構いい値段しやがる。まあいいか。
俺はマルタさんが作ってくれた小銭入れから二百ゴル取り出して渡し、ステラ風コンペイトウを受け取る。
「まいどあり!」
後ろから景気のいいお菓子屋店員の声が聞こえる。あそこ儲かっているのだろうか?
「いいのかいキョウジ?他にも使う予定あるんだろ?」
カインが心配そうに問いかけてくる。
「平気だよ、こういうの買ったりするのも必要だって。一粒どう?」
「ならいいんだけどね……ありがとう、それじゃあ貰うよ」
ずっと黙っていたエリナが口を開く。
「私も星のお菓子欲しい~。ホシだけに……」
急に喋り出したと思ったら何を言い出すのだろうこの子は。十点中三点だな。俺はエリナの口に星のお菓子を放り込んでやる。
そんなやり取りをしているうちにいつの間にか入った住宅街をいつの間にか抜け、中央広場に出た。するとカインから提案があった。
「中央広場にクレイジー・ブックスあるんだけどさ……寄っていかない?」
「いいけど、荷物を宿まで持っていかなくていいのか?それにエリナもいるし」
「私も本買うから大丈夫~」
「荷物置いてまた来るのは二度手間だろ?」
「わかったよ」
どうやらカインは例の欲しかった本がどうしても早く買いたいらしい。顔に書いてあるぞ。
そういうわけで俺達は進路を宿から目の前に見えている本屋に変更した。
本屋クレイジー・ブックスは割と外見は綺麗なお店だった。俺は名前と違いお店がまともそうでほっとしながらも軽度の緊張感を感じ、ゆっくりとクレイジー・ブックスの扉を開けた。
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