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第2部
イーサン・オルグレンの仲立ち 1
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「さて。今宵も終盤だ。皆々様、フロアに出られてはいかがかな?」
パンと手を叩き、若者をダンスフロアに送り出す。
王女殿下とルドウィック坊ちゃん。アラン坊ちゃんにメアリー嬢。二組の恋人達が手を取り合い、滑り出す。
その後ろ姿を見送り振り返れば、セシルがギラギラと獰猛な目つきで俺を睨んでいた。
「イーサン。あとで殴らせろよ」
「おお、こえぇ。王女殿下がいなくなった途端にこれだ」
グラスを置き、両手のひらを挙げてみせれば、セシルは苛立った様子で飲み干したグラスを近くの給仕に押し付けた。給仕は慌てて受け取った。
「このお節介の野次馬め。好き勝手引っ掻き回して、楽しんだ分だけきちんと後始末せずに。さっきは逃げたろう」
「逃げちゃいないさ。あれ以上子供たちの前で、オルグレン一族の呪いを話す気になれなかっただけだ」
詰め寄るセシルから一歩後ろに退く。するとレティが「まぁ」と目を見開いた。
胸に手を当て、苦し気にするレティを励ますように、ポリーがその二の腕に触れた。
ああ。なるほど。
レティのやつ、あのまま突っ走ったのか。そんでもってそれをポリーが防いだと。なるほど。
まあ、レティはそうだ。そういうやつだ。
ポリーの気遣いに気がついているのかいないのか。労わるように身を寄せたポリーを、レティは奇妙な顔つきで見やった。
吹き出しそうになったので、セシルに話を振る。
「それで聞いたか、セシル。この血に流れる因果をよ」
「さてね。イーサンと姉さんと。――それから、この女が一緒になって、三人で僕を責めたこと以上については知らされていないよ。僕がオルグレン以外の人間を懐に入れるはずがないという、そのことをね」
「まあ、それが全てといやぁ、全てなんだがな」
頬をかき、どう切り出したもんかな、と恨み節のセシルを見る。そこへ軽やかな一声がかかった。
「あたくし、少しばかり疑問に思っておりましたのよ」
声の出どころに振り返れば、レティに腕を絡め、小首を傾げるポリー。セシルは露骨に嫌な顔をした。
「君は本当にでしゃばりだな」
「褒め言葉ですわね。嬉しいわ」
「褒めてない。これっぽっちも」
うんざりと溜息をつくセシルに、レティが「そうよね」と頷いた。
「あら、スカーレット様ったら、冷たくていらっしゃること」
レティの腕から手を離し、ポリーはわざとらしく柳眉を寄せた。かと思えば、無垢な少女のような、それでいて洗練された淑女のような、年齢不詳の微笑みを浮かべる。
オルグレン一族も妖精一族だなんて呼ばれてはいるが、目の前の、この妙齢のレイディとて大概だ。
彼女の娘、アラン坊っちゃん最愛のメアリー嬢も、きっと同様に歳を重ねるのだろう。
だが、ウォールデンの面子がすべてそうかと言えば、まったくそんなことはない。
彼女の父である当代、その夫人。弟である次代やら。
彼等は、大勢の人間の中に入れば、容易に埋もれてしまい、顔を思い出すのにも苦労する。
ポリーは道化のように目を丸くし、人間離れした美貌を親しげな様子へと変えた。
「なんて、またお話が逸れてしまいますわね。ええ、あたくしが不思議に思いましたのは、オルグレン一族の皆様の、お美しい、妖精然としたお姿について。まさにそちらについてですわ」
やはり。彼女はわかっていたのだ。
それまで大抵は人形のような血を通わせない微笑みが仮面であった彼女に、頷き返した。目が合えば、思わずニヤけた。
やはり彼女は、どこかセシルと性質が似通っている。
だからこそセシルは、彼女を使って計画を為そうと思えたのだろう。
オルグレンの中でも特に、際立って閉鎖的な男が。一族以外の人間と共謀した。
当時、セシルが最も大事としていた、レティの命運について。その重要な企みを一人きりではなく、ポリーという他人を巻き込み共犯に仕立て上げた。
きっと本当に、セシルはポリーと最終的には婚姻を為すつもりであったんだろう。それは嘘ではなかったんだろう。
それほどまで徹底的に騙すつもりはなかったはずだ。
結果的にセシルはハムレットとなり、ポリーがオフィーリアを演じることになっただけである。
とはいえ彼等恋人同士、つまりセシルとポリーの間に、ハムレットとオフィーリアのような情愛があったかは定かではないのだが。というより、はっきり率直に言えば、なかったであろう。主にセシルにおいては。
そうは言っても、あれでいて、セシルは心根の悪くないヤツなのだ。優しさと甘さを捨てきれない男だ。
ポリーの友人にオルグレンの人間がいなかったのならば。きっと二人は、書類上、結ばれたはずなのだ。
ポリーがギルバート坊ちゃんを誘惑し、坊ちゃんとレティの婚約を駄目にしたあとで、約束通り、二人は夫婦になり。レティには新たな条件のよい男を、ポリーの伝手で都合したのだ。
そうしてギルバート坊ちゃんは婚約者も恋人も失い、悲しみに暮れる。
ギルバート坊ちゃんだけを打ちのめそうという企み。
セシルはポリーの問いかけに、くちびるを噛んだ。悔しそうな様子を見るに、ヤツもわかってはいたのだろう。
そりゃそうだ。セシルはなまじっか頭がきれるわけじゃない。
生意気で憎たらしく、とてつもなく嫌味な、腹立たしいクソガキ様だ。クソガキのまま歳を重ねて、今ではご立派なクソガキ様。
しかしレティはセシルが悟っていることに気がつかず、追い打ちをかけた。
「私達オルグレン家の人間が、妖精一族だなんて呼ばれるくらい、濃く一族の特徴をいつまでも保ち続けるのは、一族間でしか縁を結んでこなかったから。そういうことなのよ、セシル」
セシルは両手で顔を覆った。
うん。レティは馬鹿だからなぁ。
-------
※ ハムレットとオフィーリア…シェイクスピア著『ハムレット』における悲劇の恋人達。
以上の作品、また人名等について、今世界でも同等のそれらが存在することにしております。
偉人を讃えることはあれども、貶める意図はございません。
お目こぼしいただけますと幸いです。
パンと手を叩き、若者をダンスフロアに送り出す。
王女殿下とルドウィック坊ちゃん。アラン坊ちゃんにメアリー嬢。二組の恋人達が手を取り合い、滑り出す。
その後ろ姿を見送り振り返れば、セシルがギラギラと獰猛な目つきで俺を睨んでいた。
「イーサン。あとで殴らせろよ」
「おお、こえぇ。王女殿下がいなくなった途端にこれだ」
グラスを置き、両手のひらを挙げてみせれば、セシルは苛立った様子で飲み干したグラスを近くの給仕に押し付けた。給仕は慌てて受け取った。
「このお節介の野次馬め。好き勝手引っ掻き回して、楽しんだ分だけきちんと後始末せずに。さっきは逃げたろう」
「逃げちゃいないさ。あれ以上子供たちの前で、オルグレン一族の呪いを話す気になれなかっただけだ」
詰め寄るセシルから一歩後ろに退く。するとレティが「まぁ」と目を見開いた。
胸に手を当て、苦し気にするレティを励ますように、ポリーがその二の腕に触れた。
ああ。なるほど。
レティのやつ、あのまま突っ走ったのか。そんでもってそれをポリーが防いだと。なるほど。
まあ、レティはそうだ。そういうやつだ。
ポリーの気遣いに気がついているのかいないのか。労わるように身を寄せたポリーを、レティは奇妙な顔つきで見やった。
吹き出しそうになったので、セシルに話を振る。
「それで聞いたか、セシル。この血に流れる因果をよ」
「さてね。イーサンと姉さんと。――それから、この女が一緒になって、三人で僕を責めたこと以上については知らされていないよ。僕がオルグレン以外の人間を懐に入れるはずがないという、そのことをね」
「まあ、それが全てといやぁ、全てなんだがな」
頬をかき、どう切り出したもんかな、と恨み節のセシルを見る。そこへ軽やかな一声がかかった。
「あたくし、少しばかり疑問に思っておりましたのよ」
声の出どころに振り返れば、レティに腕を絡め、小首を傾げるポリー。セシルは露骨に嫌な顔をした。
「君は本当にでしゃばりだな」
「褒め言葉ですわね。嬉しいわ」
「褒めてない。これっぽっちも」
うんざりと溜息をつくセシルに、レティが「そうよね」と頷いた。
「あら、スカーレット様ったら、冷たくていらっしゃること」
レティの腕から手を離し、ポリーはわざとらしく柳眉を寄せた。かと思えば、無垢な少女のような、それでいて洗練された淑女のような、年齢不詳の微笑みを浮かべる。
オルグレン一族も妖精一族だなんて呼ばれてはいるが、目の前の、この妙齢のレイディとて大概だ。
彼女の娘、アラン坊っちゃん最愛のメアリー嬢も、きっと同様に歳を重ねるのだろう。
だが、ウォールデンの面子がすべてそうかと言えば、まったくそんなことはない。
彼女の父である当代、その夫人。弟である次代やら。
彼等は、大勢の人間の中に入れば、容易に埋もれてしまい、顔を思い出すのにも苦労する。
ポリーは道化のように目を丸くし、人間離れした美貌を親しげな様子へと変えた。
「なんて、またお話が逸れてしまいますわね。ええ、あたくしが不思議に思いましたのは、オルグレン一族の皆様の、お美しい、妖精然としたお姿について。まさにそちらについてですわ」
やはり。彼女はわかっていたのだ。
それまで大抵は人形のような血を通わせない微笑みが仮面であった彼女に、頷き返した。目が合えば、思わずニヤけた。
やはり彼女は、どこかセシルと性質が似通っている。
だからこそセシルは、彼女を使って計画を為そうと思えたのだろう。
オルグレンの中でも特に、際立って閉鎖的な男が。一族以外の人間と共謀した。
当時、セシルが最も大事としていた、レティの命運について。その重要な企みを一人きりではなく、ポリーという他人を巻き込み共犯に仕立て上げた。
きっと本当に、セシルはポリーと最終的には婚姻を為すつもりであったんだろう。それは嘘ではなかったんだろう。
それほどまで徹底的に騙すつもりはなかったはずだ。
結果的にセシルはハムレットとなり、ポリーがオフィーリアを演じることになっただけである。
とはいえ彼等恋人同士、つまりセシルとポリーの間に、ハムレットとオフィーリアのような情愛があったかは定かではないのだが。というより、はっきり率直に言えば、なかったであろう。主にセシルにおいては。
そうは言っても、あれでいて、セシルは心根の悪くないヤツなのだ。優しさと甘さを捨てきれない男だ。
ポリーの友人にオルグレンの人間がいなかったのならば。きっと二人は、書類上、結ばれたはずなのだ。
ポリーがギルバート坊ちゃんを誘惑し、坊ちゃんとレティの婚約を駄目にしたあとで、約束通り、二人は夫婦になり。レティには新たな条件のよい男を、ポリーの伝手で都合したのだ。
そうしてギルバート坊ちゃんは婚約者も恋人も失い、悲しみに暮れる。
ギルバート坊ちゃんだけを打ちのめそうという企み。
セシルはポリーの問いかけに、くちびるを噛んだ。悔しそうな様子を見るに、ヤツもわかってはいたのだろう。
そりゃそうだ。セシルはなまじっか頭がきれるわけじゃない。
生意気で憎たらしく、とてつもなく嫌味な、腹立たしいクソガキ様だ。クソガキのまま歳を重ねて、今ではご立派なクソガキ様。
しかしレティはセシルが悟っていることに気がつかず、追い打ちをかけた。
「私達オルグレン家の人間が、妖精一族だなんて呼ばれるくらい、濃く一族の特徴をいつまでも保ち続けるのは、一族間でしか縁を結んでこなかったから。そういうことなのよ、セシル」
セシルは両手で顔を覆った。
うん。レティは馬鹿だからなぁ。
-------
※ ハムレットとオフィーリア…シェイクスピア著『ハムレット』における悲劇の恋人達。
以上の作品、また人名等について、今世界でも同等のそれらが存在することにしております。
偉人を讃えることはあれども、貶める意図はございません。
お目こぼしいただけますと幸いです。
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