92 / 93
91話 出発
しおりを挟む
俺は男達からもらった手紙を開いた。
そこには、雑で汚い字で書かれた文が何行もあった。
もう読む気は失せてしまったが、読まないわけにはいかないので俺は目を通した。
『やぁ、リウス。俺の事は覚えているか? 覚えているに決まってるよな! まぁ、冗談はこれくらいにしといて。どうやらお前は随分と強くなっているようだな。見直したぞ』
覚えているかって、逆に忘れるわけねぇだろ。
嫌でも記憶から消えてくれない。
それにしても、随分と強くなっているようだな、って書いてあるけど、あの戦場で一回もスーザック達に会っていないはずなんだけどな……。
俺が気づかなかっただけか?
そんな疑問を覚えつつ、もう一度手紙に目を落とした。
『それでだ。スウサはあまり乗り気ではないようだが、俺はギルドに戻ってきて欲しいと思っている。どうだ? 嬉しいだろ? まさか、追放されたギルドに戻れるなんて思ってもいなかっただろう? 今ギルドは人手不足でな、お前みたいに強くなったやつを探しているんだ。だから、俺のギルドに戻ってこい。会えるのを楽しみにしておるぞ。では』
最後の文字を読んだ瞬間、紙を両手でクシャクシャに丸めてポケットに突っ込んだ。
あいつはそれだけ自分勝手なんだ。
言いたいことが沢山あるが、今ここで言うのはやめておこう。
実際にあって言ってやる。
「あ! いたいた! リウス様!」
横から急に声をかけられて顔を向けると、ミルマとヴァミアが走ってきていた。
日頃から訓練をしているからか、ミルマは全く息が上がっていない。
「聞きましたよ。住んでいた国に戻るんですってね」
「ああ。ちょっと会いたい奴がいるからな」
「なら、俺も付いて行っていいですか?」
ミルマは笑顔でそう言った。
「いいけど、どうして?」
「リウス様が所属していたギルドが、どんなところか見てみたくて」
見るのはいいが、何も得する事はないだろう。
頭のおかしい奴らしかいないんだから。
「私も行く。向こうで買いたいものがある」
そう言い、ヴァミアは手を挙げる。
俺1人で行くつもりだったけど、人数が多い方が暇しなくていいからな。
「あと、さっきベルゼルフ様とすれ違いまして、どうしたのかと声をかけられましたので事情を説明したところ、ベルゼルフ様も付いて行くそうです」
「ベルゼルフも来るのかよ」
「はい。寝るのはやめた、と伝えろと言われました」
ベルゼルフが興味を持たないような話だから、ついて行きたいなんて言うんだな。
ベルゼルフが行って何をするのか気になるが、この村にある店をよく訪れているようだから、向こうにある店に連れて行ってやろうかな。
「ていうことは、4人で行くっていうことで――」
「勿論、私も行きますよ」
俺の背後に突然現れたゼーラに、ミルマは驚いたのか少し後ずさりした。
ヴァミアは全く無反応だ。
「何か用事があるのか?」
「用事なんてございませんよ」
「なら、なんで付いてくるんだ?」
「リウス様が行く場所には、必ず私がいますので」
意味のわからない事を言い始めたゼーラは置いといて、行く人数は俺を含めて5人ってことか。
1人から結構増えたな。
「なら、5人だな。これ以上増えないよな?」
俺は3人の顔を順番に見ていくが、もうこれ以上声が上がることはない。
「各自荷物を求めて出発だ」
そこには、雑で汚い字で書かれた文が何行もあった。
もう読む気は失せてしまったが、読まないわけにはいかないので俺は目を通した。
『やぁ、リウス。俺の事は覚えているか? 覚えているに決まってるよな! まぁ、冗談はこれくらいにしといて。どうやらお前は随分と強くなっているようだな。見直したぞ』
覚えているかって、逆に忘れるわけねぇだろ。
嫌でも記憶から消えてくれない。
それにしても、随分と強くなっているようだな、って書いてあるけど、あの戦場で一回もスーザック達に会っていないはずなんだけどな……。
俺が気づかなかっただけか?
そんな疑問を覚えつつ、もう一度手紙に目を落とした。
『それでだ。スウサはあまり乗り気ではないようだが、俺はギルドに戻ってきて欲しいと思っている。どうだ? 嬉しいだろ? まさか、追放されたギルドに戻れるなんて思ってもいなかっただろう? 今ギルドは人手不足でな、お前みたいに強くなったやつを探しているんだ。だから、俺のギルドに戻ってこい。会えるのを楽しみにしておるぞ。では』
最後の文字を読んだ瞬間、紙を両手でクシャクシャに丸めてポケットに突っ込んだ。
あいつはそれだけ自分勝手なんだ。
言いたいことが沢山あるが、今ここで言うのはやめておこう。
実際にあって言ってやる。
「あ! いたいた! リウス様!」
横から急に声をかけられて顔を向けると、ミルマとヴァミアが走ってきていた。
日頃から訓練をしているからか、ミルマは全く息が上がっていない。
「聞きましたよ。住んでいた国に戻るんですってね」
「ああ。ちょっと会いたい奴がいるからな」
「なら、俺も付いて行っていいですか?」
ミルマは笑顔でそう言った。
「いいけど、どうして?」
「リウス様が所属していたギルドが、どんなところか見てみたくて」
見るのはいいが、何も得する事はないだろう。
頭のおかしい奴らしかいないんだから。
「私も行く。向こうで買いたいものがある」
そう言い、ヴァミアは手を挙げる。
俺1人で行くつもりだったけど、人数が多い方が暇しなくていいからな。
「あと、さっきベルゼルフ様とすれ違いまして、どうしたのかと声をかけられましたので事情を説明したところ、ベルゼルフ様も付いて行くそうです」
「ベルゼルフも来るのかよ」
「はい。寝るのはやめた、と伝えろと言われました」
ベルゼルフが興味を持たないような話だから、ついて行きたいなんて言うんだな。
ベルゼルフが行って何をするのか気になるが、この村にある店をよく訪れているようだから、向こうにある店に連れて行ってやろうかな。
「ていうことは、4人で行くっていうことで――」
「勿論、私も行きますよ」
俺の背後に突然現れたゼーラに、ミルマは驚いたのか少し後ずさりした。
ヴァミアは全く無反応だ。
「何か用事があるのか?」
「用事なんてございませんよ」
「なら、なんで付いてくるんだ?」
「リウス様が行く場所には、必ず私がいますので」
意味のわからない事を言い始めたゼーラは置いといて、行く人数は俺を含めて5人ってことか。
1人から結構増えたな。
「なら、5人だな。これ以上増えないよな?」
俺は3人の顔を順番に見ていくが、もうこれ以上声が上がることはない。
「各自荷物を求めて出発だ」
0
お気に入りに追加
1,090
あなたにおすすめの小説
【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。
ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。
その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。
無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。
手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。
屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。
【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】
だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。
「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~
平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。
ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。
身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。
そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。
フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。
一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【本編完結】魔眼持ちの伯爵令嬢〜2度目のチャンスは好きにやる〜
ロシキ
ファンタジー
魔眼、それは人が魔法を使うために絶的に必要であるが、1万人の人間が居て1人か2人が得られれば良い方という貴重な物
そんな魔眼の最上級の強さの物を持った令嬢は、家族に魔眼を奪い取られ、挙句の果てに処刑台で処刑された
筈だった
※どこまで書ける分からないので、ひとまず長編予定ですが、区切りの良いところで終わる可能性あり
ローニャの年齢を5歳から12 歳に引き上げます。
突然の変更になり、申し訳ありません。
※1章(王国編)(1話〜47話)
※2章(対魔獣戦闘編)(48話〜82話)
※3章前編(『エンドシート学園』編)(83話〜111話)
※3章後編(『終わり』編)(112話〜145話)
※番外編『王国学園』編(1話〜)
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる