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43話 三段回目
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異常なほどの汗をかき、嘔吐を繰り返すクローラを、俺は黙って見つめていた。
「私が……死ぬだと……」
「そうだ。お前は死ぬんだ」
「私が……死ぬ……?いや……私は死なない……!死ぬのは貴様だ……!あの女のようにお前も喰ってやる……!」
俺はクローラの挑発に応えないまま、空中に岩でできた鋭利状の物を何本も出現させた。
「それを使って……何を――」
「死ね」
クローラの掠れる声を、俺の声でかき消してそう告げると、空中で待機していた岩がクローラに突き刺さっていった。
腹に刺さり、腕に刺さり、足、頭と刺さっていく。俺の目の前は、新しい血と肉が飛び散り、地面を赤く染めあげていた。
空を見上げると対魔結界が消滅していっていた。
「あとはお前だけだな」
俺は後ろを振り返り、後方で今の出来事を眺めていた悪魔と目を合わせた。
悪魔は俺に近寄ってくると、口角を少し上げた。
「なら今から続きを、とは言いませんよ」
「だがお前は俺を殺すのが目的だろ」
「そうなのですが……」
もしあのまま悪魔と戦い続けていたら、もしかすると負けていたかもしれない。いや、多分負けていただろう。
だが、今はさらにマジックストーンの力を使うことが出来るようになった。
一段階目は、必死に魔獣を想像することによって、その魔獣の力を宿すことが出来た。
二段階目は、少し頭の中で魔獣を想像することで、指定した体の場所に魔獣の力を宿すことができ、ほとんど自由に使うことが出来た。
そして三段階目だ。二段階目の時点では、体に出現した魔獣の力しか使うことが出来なかったが、三段階目では使いたい魔獣の力を体に出現させなくても、使うことができるようになった。
だから、今は人間の腕だが、この腕のまま雷光虎の力が使うことができる。
この力を使えば、多分だがこの悪魔にも勝てることができる。
悪魔は横を見ると、遠くの方で血を流し倒れるナーシャを見た。
「確かに私の目的はあなたを殺すことでした。ですが、それは契約されていた時の私の目的です」
「契約されていたときって……どういうことだ」
悪魔は両手を軽く広げると、俺に説明を始めた。
「長くなりますが、悪魔を召喚するためには何かを捧げなければなりません。それで今回の場合、召喚者であるナーシャは、自分の命と引き換えに私を含めて5体の悪魔を召喚しました」
ならこいつはより一層契約内容を守らなくてはいけないんじゃないのか?
「問題はここからです。契約には期間があり、それは何を捧げたかによります。百体の悪魔を召喚したときと、一体の悪魔を召喚した時で、捧げるものが同じであれば、格差が激しくなってしまいますからね。それで今回、5体の悪魔に一つの命を捧げられました。なので一体につき契約期間は大体20分程度、それをすでに大幅に過ぎていますので、今回の契約は終了となったのです」
悪魔は、お分かりいただけましたか?みたいな表情をしてくるが、まあ、なんとなくは理解することが出来た。
「それで?もう帰るのか?」
「いえいえ、帰ったりなどはしませんよ」
「ああそう、なら俺は今からする事があるから」
俺はそう告げ、後ろを向くと、ちょっと待ってください、と悪魔に声をかけられた。
「なんだ?早く済ませてくれ」
「わかりました。なら結論を先に言います。私と契約をしませんか?」
こいつと契約だと?何をバカな。なんで用もないのに、俺が悪魔と契約をして捧げものをしなくちゃいけないんだよ。
「そんな反応をしないで下さいよ。嫌なら良いのですけれど」
「まあいい、それで契約内容はなんだ」
このまま断って行くと、ずっと追いかけられそうな気がしたから一応聞いておくことにした。
「はい、契約内容ですが、私があなたの配下に加わる、というものです」
そして、悪魔は俺に向かって目を輝かせるのだった。
「私が……死ぬだと……」
「そうだ。お前は死ぬんだ」
「私が……死ぬ……?いや……私は死なない……!死ぬのは貴様だ……!あの女のようにお前も喰ってやる……!」
俺はクローラの挑発に応えないまま、空中に岩でできた鋭利状の物を何本も出現させた。
「それを使って……何を――」
「死ね」
クローラの掠れる声を、俺の声でかき消してそう告げると、空中で待機していた岩がクローラに突き刺さっていった。
腹に刺さり、腕に刺さり、足、頭と刺さっていく。俺の目の前は、新しい血と肉が飛び散り、地面を赤く染めあげていた。
空を見上げると対魔結界が消滅していっていた。
「あとはお前だけだな」
俺は後ろを振り返り、後方で今の出来事を眺めていた悪魔と目を合わせた。
悪魔は俺に近寄ってくると、口角を少し上げた。
「なら今から続きを、とは言いませんよ」
「だがお前は俺を殺すのが目的だろ」
「そうなのですが……」
もしあのまま悪魔と戦い続けていたら、もしかすると負けていたかもしれない。いや、多分負けていただろう。
だが、今はさらにマジックストーンの力を使うことが出来るようになった。
一段階目は、必死に魔獣を想像することによって、その魔獣の力を宿すことが出来た。
二段階目は、少し頭の中で魔獣を想像することで、指定した体の場所に魔獣の力を宿すことができ、ほとんど自由に使うことが出来た。
そして三段階目だ。二段階目の時点では、体に出現した魔獣の力しか使うことが出来なかったが、三段階目では使いたい魔獣の力を体に出現させなくても、使うことができるようになった。
だから、今は人間の腕だが、この腕のまま雷光虎の力が使うことができる。
この力を使えば、多分だがこの悪魔にも勝てることができる。
悪魔は横を見ると、遠くの方で血を流し倒れるナーシャを見た。
「確かに私の目的はあなたを殺すことでした。ですが、それは契約されていた時の私の目的です」
「契約されていたときって……どういうことだ」
悪魔は両手を軽く広げると、俺に説明を始めた。
「長くなりますが、悪魔を召喚するためには何かを捧げなければなりません。それで今回の場合、召喚者であるナーシャは、自分の命と引き換えに私を含めて5体の悪魔を召喚しました」
ならこいつはより一層契約内容を守らなくてはいけないんじゃないのか?
「問題はここからです。契約には期間があり、それは何を捧げたかによります。百体の悪魔を召喚したときと、一体の悪魔を召喚した時で、捧げるものが同じであれば、格差が激しくなってしまいますからね。それで今回、5体の悪魔に一つの命を捧げられました。なので一体につき契約期間は大体20分程度、それをすでに大幅に過ぎていますので、今回の契約は終了となったのです」
悪魔は、お分かりいただけましたか?みたいな表情をしてくるが、まあ、なんとなくは理解することが出来た。
「それで?もう帰るのか?」
「いえいえ、帰ったりなどはしませんよ」
「ああそう、なら俺は今からする事があるから」
俺はそう告げ、後ろを向くと、ちょっと待ってください、と悪魔に声をかけられた。
「なんだ?早く済ませてくれ」
「わかりました。なら結論を先に言います。私と契約をしませんか?」
こいつと契約だと?何をバカな。なんで用もないのに、俺が悪魔と契約をして捧げものをしなくちゃいけないんだよ。
「そんな反応をしないで下さいよ。嫌なら良いのですけれど」
「まあいい、それで契約内容はなんだ」
このまま断って行くと、ずっと追いかけられそうな気がしたから一応聞いておくことにした。
「はい、契約内容ですが、私があなたの配下に加わる、というものです」
そして、悪魔は俺に向かって目を輝かせるのだった。
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