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28話 負けは無意味か
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「……テメェ急に強くなりすぎだろ」
「そうか? まぁ、神を相手にしてたら強くなるのも当たり前のような気がするけど……」
俺はたった今ジューザラスと模擬戦を終えて、休憩に入っているところだ。
結果は当然のような敗北だ。
どうしても勝つことが出来ない。
教えてもらったこと、自分で考え導き出したこと、どれだけ吸収しても勝てるような気がしない。
神に勝つのは不可能と言ってしまえばそれで終わりなのだが、結局そんな風に考えていたらまた逃げているような感じだ。
もう俺は弱い自分から逃げたくない。
ちゃんと向き合わないと。
「テメェは勇者をやっているだけあって基礎とかは完璧だ。だけどなぁ……なんかちげーんだよなぁ」
「何が違うんだ?」
「剣の振り方とか攻撃に入るための動きは完璧なんだけどよ……それじゃあ、お前に合ってねえ」
「合ってない……」
「様な気がすんだよ」
「気がするだけか」
まあ、一応参考にはしておこう。
長い間使ってきた武器を変えるのも躊躇してしまうが、他の武器の方がさらに成長できるなら、そっちを使ったほうがいいような気がするんだよな。
気がするとかジューザラスと一緒じゃん……。
俺の剣の振り方は父さんに教えてもらった。
初めて剣を握ったのは……確か9歳くらいだったか?
それまではずっと木刀を握ってきた。
一体何本の木刀を駄目にしてしまったことか。
振っていたら集中しすぎてぶつけて折れてしまったり、湿っている場所に放置していたせいで腐らせてしまったりと、散々なことをしてしまった。
その分剣に対する想いは人一倍ある。
だから俺に剣が適していなくても、本当に変えて良いのだろうか……。
「そろそろグラティオラスとやるのもいいかもしれねぇな」
「え? グラと?」
「なんだ? 何か問題でもあんのか?」
「グラって破壊と創造の神なんだよな? 俺なんて相手にならなくないか?」
「はぁ? 何言ってんだ? もしかして勝てなくちゃ意味がねぇとか思ってんのか?」
「別に全然そんなことは……いや、ちょっと思ってるかも……」
ジューザラスは大きくため息をつきながら立ち上がると、近くにあった石を拾ってどこまでも広がる草原に投げつけた。
「いいか。勝つことが1番良いと思ってんだったら、それは間違ってんぞ。そりゃあ勝って困ることはねぇ。
だけどなぁ、勝つことが全てじゃねぇんだよ。負けたって勝ったのと同じくらいの価値を手に入れれる時がある。
意味のある負けをするか、意味のない負けをするか。それはライ、お前次第だ」
「意味のある……負け……」
俺はどこかで、勝たないと意味がないと思っていたのかもしれない。
確かに勝つことも大切だ。
だけど、勝つために意味のある負けを積み重ねていかなければいけない。
負けが悪いことだと思うな。
負けは勝つまでの過程。
勝手に諦めてんじゃねぇぞ、俺。
「明日グラに模擬戦してもらえるか聞かないとな」
俺も近くに落ちていた石を拾って、どこまでも青が広がる空へ送り届けた。
「こりゃあ明日が楽しみだなぁ」
ジューザラスは弧を描いて飛んでいく石を見ながら、笑顔でそう答えた。
「そうか? まぁ、神を相手にしてたら強くなるのも当たり前のような気がするけど……」
俺はたった今ジューザラスと模擬戦を終えて、休憩に入っているところだ。
結果は当然のような敗北だ。
どうしても勝つことが出来ない。
教えてもらったこと、自分で考え導き出したこと、どれだけ吸収しても勝てるような気がしない。
神に勝つのは不可能と言ってしまえばそれで終わりなのだが、結局そんな風に考えていたらまた逃げているような感じだ。
もう俺は弱い自分から逃げたくない。
ちゃんと向き合わないと。
「テメェは勇者をやっているだけあって基礎とかは完璧だ。だけどなぁ……なんかちげーんだよなぁ」
「何が違うんだ?」
「剣の振り方とか攻撃に入るための動きは完璧なんだけどよ……それじゃあ、お前に合ってねえ」
「合ってない……」
「様な気がすんだよ」
「気がするだけか」
まあ、一応参考にはしておこう。
長い間使ってきた武器を変えるのも躊躇してしまうが、他の武器の方がさらに成長できるなら、そっちを使ったほうがいいような気がするんだよな。
気がするとかジューザラスと一緒じゃん……。
俺の剣の振り方は父さんに教えてもらった。
初めて剣を握ったのは……確か9歳くらいだったか?
それまではずっと木刀を握ってきた。
一体何本の木刀を駄目にしてしまったことか。
振っていたら集中しすぎてぶつけて折れてしまったり、湿っている場所に放置していたせいで腐らせてしまったりと、散々なことをしてしまった。
その分剣に対する想いは人一倍ある。
だから俺に剣が適していなくても、本当に変えて良いのだろうか……。
「そろそろグラティオラスとやるのもいいかもしれねぇな」
「え? グラと?」
「なんだ? 何か問題でもあんのか?」
「グラって破壊と創造の神なんだよな? 俺なんて相手にならなくないか?」
「はぁ? 何言ってんだ? もしかして勝てなくちゃ意味がねぇとか思ってんのか?」
「別に全然そんなことは……いや、ちょっと思ってるかも……」
ジューザラスは大きくため息をつきながら立ち上がると、近くにあった石を拾ってどこまでも広がる草原に投げつけた。
「いいか。勝つことが1番良いと思ってんだったら、それは間違ってんぞ。そりゃあ勝って困ることはねぇ。
だけどなぁ、勝つことが全てじゃねぇんだよ。負けたって勝ったのと同じくらいの価値を手に入れれる時がある。
意味のある負けをするか、意味のない負けをするか。それはライ、お前次第だ」
「意味のある……負け……」
俺はどこかで、勝たないと意味がないと思っていたのかもしれない。
確かに勝つことも大切だ。
だけど、勝つために意味のある負けを積み重ねていかなければいけない。
負けが悪いことだと思うな。
負けは勝つまでの過程。
勝手に諦めてんじゃねぇぞ、俺。
「明日グラに模擬戦してもらえるか聞かないとな」
俺も近くに落ちていた石を拾って、どこまでも青が広がる空へ送り届けた。
「こりゃあ明日が楽しみだなぁ」
ジューザラスは弧を描いて飛んでいく石を見ながら、笑顔でそう答えた。
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