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25話 配下になる最強竜

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 「配下に加えて欲しい?」
 「はい。私は長い間強者を探しておりました。そして、ようやくあなた方を見つけたのです」
 「そう言われてもなぁ……」

 急に配下にしてくれって言われても、別に欲しいわけでもないし……。
 それよりも、配下にしたとしても、こんなに大きかったら連れていけないんだよな。

 意見を求めるためにルーレルに視線を移すと、目をキラキラと輝かせて飛青竜を見上げていた。

 「ルーレル?」
 「飛青竜……ペットにしたい……」
 「ペット!?」
 「それはいいですね! 是非私をルーレル様達のペットにして下さい!」

 ルーレルは何を言い出してるんだよ!
 それに卵は!?
 卵のために、このクエスト受けたんじゃないのかよ!

 「もう卵はいい……。飛青竜の方がいい……」
 「えぇ……」
 「有難うございます! 必ずルーレル様達に永遠の忠誠を誓います!」

 どうして話が勝手に進んでるんだ。
 俺は一言も良いって……もういいや!
 何か問題が起こった時は、その時はその時だ!

 「俺の名前はライって言うんだけど、お前に名前ってあるのか?」
 「いえ、私には名などございません」
 「それは困るな……」
 「シェラレイ……貴方の名前はシェラレイ……」
 「シェラレイ……! 私に名前を付けて頂き、有難うございます!」

 ハハハ、どんどん決まっていくよ。
 俺がこの場にいる意味なくないか? 

 まぁ……それはさておき、あとは大きさだな。
 こんな大きさで町を歩くことは出来ないし、騎士達に見つかったら攻撃されてしまう。
 だから出来る限り、町中にいるようなペットと、同じ大きさにならなければいけない。

 「シェラレイって体の大きさの調節は出来るか?」
 「はい。どのくらいのサイズでしょうか?」
 「えっと、俺の両手に収まるくらいの大きさなんだが」
 「分かりました」

 シェラレイはそう返事をすると、目を瞑って翼を広げた。
 直後、巨大な鎧を纏う体は音を立てながら縮んでいき、手のひらサイズになってしまった。

 「おいで……」

 ルーレルは小さくなったシェラレイに手を伸ばすと、腕をつたって歩いて肩に乗った。

 この姿を見たら誰一人として、あんなに凶暴だった飛青竜とは思わないだろうな。

 肩に乗ったシェラレイは、ルーレルの頭に飛び乗ったりして戯れて遊んでいる。

 「じゃあ……帰るか」

 まさか、こんな展開になるとはな。





 扉を開けて外に出ると、そこは人で溢れかえっていた。
 その中には、肩や頭に小さな魔獣を乗せて散歩している者もいた。
 
 その中の1人が俺たちだ。

 ルーレルとシェラレイはすっかり仲良くなり、ずっと戯れている。

 たった今クエストの完了を伝えて、報酬を貰ってきたところだが、今回の報酬金額は47万セリン。
 S級だったこともあり、高額な金額になっていた。

 「報酬も受け取ったことだし、家に帰るか」
 「うん……」

 俺達は会話をしながらしばらく歩いていると、もう見慣れた屋根が見えてきた。

 「ここがライ様達の家ですか?」
 「そうだ」
 「大きいですね」
 「シェラレイも、この家と同じくらい大きいけどな」
 
 俺はドアノブに手を当てて、扉を開けた。

 「テメェらどこ行ってたんだよ」
 「特訓行くって伝えたじゃん」
 「そうだったな。それより、このパンちょっとかてぇ……なんだその鳥?」
 
 ジューザラスは、ルーレルの肩に乗っているシェラレイを見て目を丸くした。
 自室から出てきたグラとヘルラレンも、全く同じ反応をしている。
 
 俺もシェラレイを見ると、少しだけ目がつり上がっている。
 鳥と言われたことが頭に来たらしい。

 「私は鳥ではありません。空の支配者である飛青竜のシェラレイです」
 「飛青竜? 鳥じゃねぇか」
 「私を知らないのですか? いいでしょう。教えて差し上げます」

 シェラレイはルーレルの肩から飛び立つと、ジューザラスに向かって一直線に飛んでいった。
 そして頭に着地すると、鋭い爪で踏みつけ始めた。

 「テメェ! 何しやがるんだ!」
 「貴方が鳥と言ったのが悪いのです」
 「ククク……! いい度胸じゃねぇか! 焼き鳥にして食ってやるよ!」

 ジューザラスは椅子から立ち上がって、シェラレイを掴み取ろうとするが、上手く逃げ回って掴むことが出来ないようだ。

 「これはまた一層……賑やかになりそうだな」
 「だねぇ」

 ジューザラスとシェラレイのやり取りを、俺たち4人は温かい目で見守ったのだった。

 
 
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