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13話 神の強さは人知れず

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 「じゃあ次は私だねー」

 少し休憩した後、次はヘルラレンと戦うことになった。
 3大神のジューザラスの部下であるルーレルがあそこまで強いってことは、その倍以上に強いってことだよな。

 「いくよー」
 
 今度は俺から攻めるか。
 もし最初に攻められると、力の差でそのまま押されてしまう――

 「はい。私の勝ちだね」
 「え?」

 ヘルラレンが後ろを指さし、その先を見ると俺の首に水で創られた剣が当てられていた。

 「私は水の神だからね」
 「水の神……」

 さらに、それだけではない。
 背中から、心臓、みぞおちなど、ありとあらゆる急所の部分に剣が突き立たれていた。
 だが、恐ろしいのはそれだけじゃない。
 
 「全く気配がなかった……」

 冒険者や勇者を長くやっていると、気配を感じる事が出来るようになる。
 今まで戦ってきた相手は、誰でも気配を感じ取る事ができて、それが敵が使用している武器であってもだ。

 だけど、この水で創られた剣は全く感じられなかった。
 身体がこの剣の事を危険と感じていない、あるいは自然と同化してしまっている感じだ。

 「どうすれば……」
 
 どうすればこの神達と戦えるようになる……。
 
 やはり神は、恐ろしい。






 「次は余か」

 グラは戦う気満々で手足を軽く動かしている。
 休憩させないつもりか。
 休憩なんていらない戦いをしてしまったけれども。

 「いや、お前は戦わなくていい」
 「何故なのだ」
 「お前とライが戦っても何の意味もない」

 それってどういう意味なんだ?
 誰も歯が立たないほど強いってことか。

 俺はグラのところまで行き質問した。

 「グラって何の神なんだ?」

 ジューザラスは炎の神でヘルラレンは水の神、ルーレルは多分光の神だろうから、グラは闇の神とかかな。

 「余は破壊と創造の神だ」

 破壊と創造の神……。
 なんだそれ……強すぎだろ……。

 「だからライは戦っても意味がねぇんだよ。俺だって全く勝てねぇ」
 
 ジューザラスは空を見ながら頭をかいた。
 破壊と創造の神グラティオラス。
 全ての神の頂点に立ち、支配する者。
 俺はもしかしたら、とてつもなく危険な神を召喚してしまったのかもしれない……。

 「おい! まだ特訓は終わりじゃねぇぞ! ぼさっと突っ立ってねぇで始めろぉ!」

 俺に向けられた怒声と共に、ルーレルが矢のように飛んでくる。
 
 あぁ……死なないといいな……俺。



 
  
 体の疲労がやばい。
 あれからさらに5時間特訓し、空は夜に向かって暗くなっていっていた。

 今は王都に戻ってグラ達の買い物を待っている。
 ジューザラスのおかげで50万セリンも入ったから、金額を特に気にする事なく買い物する事ができる。

 「くそ! あいつら遅すぎだろ!」
 
 ジューザラスは痺れを切らして、隣でキレているが俺にあたって来ないだけまだマシだ。

 「待たせたな」
 「ごめんねー」
 「色々……買った……」

 グラが手に持つ袋の中には、様々な食材が入っている。
 
 よし。
 これで全員揃った事だし、そろそろ伝えるか。

 「みんな聞いて欲しい事があるんだけど」
 「まだなんかあんのか!」

 すでに少しだけ先に進んでいたジューザラスは、次は話があると聞いてキレてきたが、文句を言いながらも戻って来てくれるのはありがたい。

 「皆もわかってると思うけど、これだけ人数も増えたし、ずっと宿に泊まるわけにはいかない」

 俺の話をジューザラス以外は、興味津々に聞いてくれる。

 「それで、ジューザラスのおかげで大量のお金が入ったことだし、家を買おうと思う」
 「「「家?」」」

 どうかなぁ……。
 反対されないといいんだけど……。
 買うにはまだ早いとか言われるかもしれないしな……。

 「「家欲しい!」」
 「欲しい……」
 「俺の部屋はデカくしろよ」

 どうやら、俺の心配は必要なかったらしい。

 
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