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第八章 麗羅の決意
半妖の共闘
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龍二は黒炎を纏う刃を蛇魂へ向け告げる。
「今回の件は終わりだ。お前が約束を破った時点で交渉は決裂している」
「……バカにするもいい加減にしろ! 白蛇を殺したぐらいで勝った気でいるのなら、勘違いもはなはだしい!」
そう叫び、袖からまた無数の蛇を放ってくる。
何度も見た光景に、龍二はもう飽き飽きしていた。
「闇焔・炎殺」
刃から放たれた漆黒の炎が怒涛の波となって敵へ押し寄せる。
蛇たちを焼き焦がし、そして蛇魂本体をも焼く。
「ぐあぁぁぁぁぁっ!」
全身を黒の灼熱に焼かれ絶叫し暴れ狂う。
龍二は黒災牙を構え腰を落とすと、トドメを刺すべく駆け出した。
「これで終わりだっ!」
「ぐぅぅぅっ、まだだ! こんなところで、やられてたまるかぁぁぁっ!」
「なにっ!?」
燃え盛る炎の中で黒こげになっている蛇魂の体が肥大化する。
そして勢いよく太くなっていく首を伸ばし、龍二の頭上から襲いかかった。
「ちぃっ!」
間一髪で飛び退いて避ける。
頭上を見上げると、蛇魂はいつの間にか、紫の鱗に覆われた巨大な大蛇となっていた。
あまりにも大きすぎて、龍の力でも倒せる気がしない。
大蛇は黄色く濁った瞳で龍二をにらみつける。
『貴様らは絶対に許さん。まとめて飲み込んでやる!』
憤怒に叫ぶと同時に、その巨体を叩きつけてくる。
龍二は超常の身体能力を発揮し逃げ回るが、大蛇が暴れるだけで地響きが鳴り半壊していた本堂や高い壁も破壊されていく。
隙を見て黒炎の刃で斬りつけるも、硬い鱗には通らない。
「麗羅! 桃華を連れ逃げろっ!」
「は、はいっ!」
呆けていた麗羅は、倒れている桃華へ慌てて駆け寄る。
しかし既に、彼女たちの頭上には大蛇の尻尾が迫っていた。
「やめろぉぉぉっ!」
龍二の叫びもむなしく巨大な尻尾が叩きつけられ、砂塵が巻き上がる。
「――式神招来『がしゃどくろ』」
しかし彼女たちは、巨大な骸骨の背に守られていた。
それは、大きさのわりに細く長い腕を薙ぎ、尻尾を振り払う。
麗羅たちを守るように現れたのは、覇気とも言える圧倒的な妖気を纏う巨大な骸骨だった。
『麗羅、貴様ぁっ!』
怒り狂った蛇魂が大きな口を開け、噛みつこうと迫るが、巨大な白骨の拳に殴り飛ばされる。
その巨体が勢いよく叩きつけられたことで、本堂は完全に倒壊した。
骸骨と同じく拳を突き出していた麗羅は、まっすぐな目で龍二を見ると、神妙な表情で告げた。
「今まで黙っててごめんなさい。実は私、がしゃどくろと人の半妖なの」
しかし違和感があった。
半妖とは言うが、だしゃどくろ本体と麗羅は、安全に別の個体として存在している。
妖の力を解放するのに、『式神招来』というのも不可解でしかない。
その理由は分からないが、龍二はニィッと頬をつり上げた。
「そうか、頼もしい限りだ。それじゃあ、あの蛇野郎を怨嗟の呪縛から解放やろうじゃないか」
「ええ、もう二度と苦しむことのないようにね!」
次の瞬間、目の血走った大蛇が砂煙から飛び出して来る。
それを冷静に見極め、がしゃどくろが両手で受け止める。
そして腕で胴体を捉えると、ガッチリとホールドし、大蛇の動きを封じた。
「今よ! 鬼屋敷くん!」
龍二はがしゃどくろの背骨を駆け上がり、蛇魂の頭頂部へと跳んでいた。
「今度こそ終わりだっ、蛇の亡霊がぁっ!」
刃へと龍の黒炎を収束させる。
黒の妖力は、炎から鈍い光となり極限まで殺傷力を高める。
すべての力を込め、その切っ先を蛇魂の頭部へ突き刺した。
『グギャァァァァァッ!』
大蛇が絶叫するが、がしゃどくろがしっかり押さえているため邪魔はされない。
刃を深く突き刺したまま、下まで駆け抜けて裂いていき、蛇魂の胴体を焼き斬る。
やがて黒炎が内側からも燃やし、その勢いを増して大蛇の全身を包んだ。
灼熱によって表面の鱗が劣化していくのが分かる。
龍二は後方へ下がると、黒災牙を両手で持って振り上げた。
「こっちとら頭にきてんだ。容赦はしねぇぞ……今だ、麗羅!」
「分かった!」
「――闇焔・龍爪っ!」
がしゃどくろが体を離したところで、三日月をかたどった巨大な漆黒の斬撃が放たれる。
それは苦しげに暴れまわる大蛇の首を断ち、完全に沈黙させたのだった。
「今回の件は終わりだ。お前が約束を破った時点で交渉は決裂している」
「……バカにするもいい加減にしろ! 白蛇を殺したぐらいで勝った気でいるのなら、勘違いもはなはだしい!」
そう叫び、袖からまた無数の蛇を放ってくる。
何度も見た光景に、龍二はもう飽き飽きしていた。
「闇焔・炎殺」
刃から放たれた漆黒の炎が怒涛の波となって敵へ押し寄せる。
蛇たちを焼き焦がし、そして蛇魂本体をも焼く。
「ぐあぁぁぁぁぁっ!」
全身を黒の灼熱に焼かれ絶叫し暴れ狂う。
龍二は黒災牙を構え腰を落とすと、トドメを刺すべく駆け出した。
「これで終わりだっ!」
「ぐぅぅぅっ、まだだ! こんなところで、やられてたまるかぁぁぁっ!」
「なにっ!?」
燃え盛る炎の中で黒こげになっている蛇魂の体が肥大化する。
そして勢いよく太くなっていく首を伸ばし、龍二の頭上から襲いかかった。
「ちぃっ!」
間一髪で飛び退いて避ける。
頭上を見上げると、蛇魂はいつの間にか、紫の鱗に覆われた巨大な大蛇となっていた。
あまりにも大きすぎて、龍の力でも倒せる気がしない。
大蛇は黄色く濁った瞳で龍二をにらみつける。
『貴様らは絶対に許さん。まとめて飲み込んでやる!』
憤怒に叫ぶと同時に、その巨体を叩きつけてくる。
龍二は超常の身体能力を発揮し逃げ回るが、大蛇が暴れるだけで地響きが鳴り半壊していた本堂や高い壁も破壊されていく。
隙を見て黒炎の刃で斬りつけるも、硬い鱗には通らない。
「麗羅! 桃華を連れ逃げろっ!」
「は、はいっ!」
呆けていた麗羅は、倒れている桃華へ慌てて駆け寄る。
しかし既に、彼女たちの頭上には大蛇の尻尾が迫っていた。
「やめろぉぉぉっ!」
龍二の叫びもむなしく巨大な尻尾が叩きつけられ、砂塵が巻き上がる。
「――式神招来『がしゃどくろ』」
しかし彼女たちは、巨大な骸骨の背に守られていた。
それは、大きさのわりに細く長い腕を薙ぎ、尻尾を振り払う。
麗羅たちを守るように現れたのは、覇気とも言える圧倒的な妖気を纏う巨大な骸骨だった。
『麗羅、貴様ぁっ!』
怒り狂った蛇魂が大きな口を開け、噛みつこうと迫るが、巨大な白骨の拳に殴り飛ばされる。
その巨体が勢いよく叩きつけられたことで、本堂は完全に倒壊した。
骸骨と同じく拳を突き出していた麗羅は、まっすぐな目で龍二を見ると、神妙な表情で告げた。
「今まで黙っててごめんなさい。実は私、がしゃどくろと人の半妖なの」
しかし違和感があった。
半妖とは言うが、だしゃどくろ本体と麗羅は、安全に別の個体として存在している。
妖の力を解放するのに、『式神招来』というのも不可解でしかない。
その理由は分からないが、龍二はニィッと頬をつり上げた。
「そうか、頼もしい限りだ。それじゃあ、あの蛇野郎を怨嗟の呪縛から解放やろうじゃないか」
「ええ、もう二度と苦しむことのないようにね!」
次の瞬間、目の血走った大蛇が砂煙から飛び出して来る。
それを冷静に見極め、がしゃどくろが両手で受け止める。
そして腕で胴体を捉えると、ガッチリとホールドし、大蛇の動きを封じた。
「今よ! 鬼屋敷くん!」
龍二はがしゃどくろの背骨を駆け上がり、蛇魂の頭頂部へと跳んでいた。
「今度こそ終わりだっ、蛇の亡霊がぁっ!」
刃へと龍の黒炎を収束させる。
黒の妖力は、炎から鈍い光となり極限まで殺傷力を高める。
すべての力を込め、その切っ先を蛇魂の頭部へ突き刺した。
『グギャァァァァァッ!』
大蛇が絶叫するが、がしゃどくろがしっかり押さえているため邪魔はされない。
刃を深く突き刺したまま、下まで駆け抜けて裂いていき、蛇魂の胴体を焼き斬る。
やがて黒炎が内側からも燃やし、その勢いを増して大蛇の全身を包んだ。
灼熱によって表面の鱗が劣化していくのが分かる。
龍二は後方へ下がると、黒災牙を両手で持って振り上げた。
「こっちとら頭にきてんだ。容赦はしねぇぞ……今だ、麗羅!」
「分かった!」
「――闇焔・龍爪っ!」
がしゃどくろが体を離したところで、三日月をかたどった巨大な漆黒の斬撃が放たれる。
それは苦しげに暴れまわる大蛇の首を断ち、完全に沈黙させたのだった。
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