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第六章 竜種絶滅秘話

竜の花嫁

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 すぐに玉座の元へ辿り着き、シュウゴたちはアークグリプスの背から降りた。

「ありがとう、助かったよ」

 シュウゴが礼を言うと、アークグリプスは小さく頭を下げた。
 そして玉座の横へ歩き、お座りの姿勢をとる。
 シュウゴも玉座の上に揺らめくドラゴンソウルの前に立ち、深く頭を下げた。

「助けていただき、ありがとうございました」

「構わん。この山を守るのが我が使命だ」

 ハナも続いて礼を言った後、ドラゴンソウルは穏やかな声でゆっくりと答えた。
 先ほどまでのような威厳があまり感じられず、炎の勢いが弱まっているように見える。

「ところでシュウゴよ、それはどういうことだ?」

 ドラゴンソウルは声に怒りを滲ませ厳かに問う。
 それがどういう質問かシュウゴにもよく分かっていた。
 いつ聞かれるかと、ずっとひやひやしていた。
 今、シュウゴの腕にはまるで恋人のように腕を絡ませているニアがいるのだ。
 ニアは嬉しそうにはにかみながら告げた。

「父上~私、この人と結婚する~」

「「「っ!?」」」

 その場の全員が固まった。もちろんシュウゴもだ。

「そ、そんなのダメ!」

 真っ先に反対したのはハナだった。思わず口にしてしまったようで、慌てて口を押えている。
 ニアはおっとりした流し目をハナへ向けた。

「どして~?」

「そ、それは……」

 ハナは歯切れが悪くごにょごにょと口ごもる。
 ニアはハナの真意を知ってか知らずか「んん~?」と見つめ続ける。
 シュウゴもなぜハナが反対するのか分からず首を傾げている。
 そこで、ドラゴンソウルはなにかに気付いたように「なるほど」と呟いた。

「ハナよ、そなたもシュウゴのことが――」

「――わあぁぁぁぁぁ!」

「「「っ!?」」」

 ドラゴンソウルが話し終える前に、ハナが真っ赤な顔で叫んだ。
 突然のことにシュウゴはビクッと肩を震わせ、ニアも不思議そうにハナを見る。

「どしたの~? ぽんぽん痛いん~?」

「なんでもない!」

 ハナは真っ赤な顔を見られたくないのか、般若面を顔に下ろしそっぽを向いた。
 真っ赤な耳は隠せていないが。
 ドラゴンソウルはハナについてそれ以上言及せず、おっかなびっくりニアへ問う。

「そ、それでニアよ、なぜそのようなことを言うのだ?」

「柊くん大好き~」

 そう言ってニアは、シュウゴを横から抱きしめた。
 当のシュウゴは白目だ。

「きっ、貴様ぁぁぁっ!!」

 ドラゴンソウルは激怒の咆哮を上げる。
 身動きのとれないシュウゴは顔を真っ青にし、死を覚悟した。
 が、

「父上、めっ! 柊くんは~私の命の恩人なんだよ~」

 ニアがシュウゴをかばうように前に出た。

「ぬおぉぉぉ……二、ニアよ、わしはこの悪魔からお前を守ろうとしてだな……」

 ドラゴンソウルは弱々しく言う。

「う~ん? 余計なお世話?」

 ニアはその言葉の使い方に自信がないのか、首をかしげた。
 ドラゴンソウルが絶句する。

「グググググ」

 そして唸りながら、ニアの背後のシュウゴを睨みつける。
 だがやがて、ため息を吐くとゆっくり口を開いた。

「……ニアよ、父のことは好きか?」

「うん、好き~」

 ニアはそう言ってドラゴンソウルの元へ駆け寄ると、その魂の炎を抱いた。
 不思議なことに服が燃えていない。魂の炎とは特殊な性質を持っているようだ。

「おぉぉぉ、そうかそうかぁ……」

 ドラゴンソウルは嬉しそうに声を弾ませる。

「仕方がないの。我が友、シュウゴよ。ニアを、最愛の娘をよろしく頼む」

「……え? は、はい……」

 ドラゴンソウルの態度が急に変わり、シュウゴは戸惑った。
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