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第三章 凶霧より目覚めし少女
胸騒ぎ
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デュラと合流しカムラへ帰還したシュウゴは、紹介所でクエストの完了手続きを済ませた。
「では、素材をお預かりしますね」
ユリが書類にペンを走らせているうちに、カウンターから回って来たユラとユナへゴム袋を渡す。
ユラとユナはシュウゴとデュラから素材を受け取ると、カウンターの裏にある倉庫へ運んでいった。
書類上の手続きを終えたユリが顔を上げ、シュウゴへ微笑む。
三つ子の中でも落ち着いていてどこか妖艶なユリは、長い金髪がよく似合っている。
「それでは、納品物を依頼主様に確認した後、また追ってご連絡しますので数日ほどお待ちください」
「はい。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げたユリへ、シュウゴも軽く頭を下げる。
用の済んだシュウゴがデュラへ目を向けると、彼は倉庫から戻って来たユラとユナに囲まれていた。
きゃっきゃうふふと二人にまとわりつかれ、デュラも満更でもなさそうに後頭部をかいている。
モテモテだ。
「デュラさんはいつも甲冑なんですか?」
「騎士のように凛々しい佇まいですが、元々は討伐隊におられたんですか?」
さらに、「ご趣味は?」「好きなタイプは?」と矢継ぎ早に質問が飛び、デュラは首を上下左右に振るので精一杯だ。
彼が一言も喋らなくとも二人は気にした様子はなく……というよりも、目を輝かせ「寡黙で素敵……」と好感度を上げるのだった。
「もう、二人とも節操ないわね」
ユリが呆れたように呟く。
いつもは隙のない営業スマイルで本心を微塵も見せないユリが今は、妹たちを見守る姉のような柔らかい表情だった。
新鮮な反応だ。
もしかしたら、自分たちに親しみを感じてくれているのかもしれないと、シュウゴは頬を緩ませる。
「ユラさんとユナさんは、デュラのことを気に入ってくれてるんですね」
「そうなんです。デュラさんの寡黙で威風堂々とした佇まいと、装備のカッコ良さに憧れを抱いたようで……彼女たちも根は好奇心旺盛な女の子なので、見逃していただけると助かります」
ユリが申し訳なさそうに苦笑すると、シュウゴは慌てて「もちろん」と答え安心させる。
ただ、少し悔しくも感じていた。
あの鎧のデザインを考えたのは自分なのに、と。
しかし彼の設計士としての技術は、ひた隠しにしているので仕方のないことだ。
シュウゴが羨ましそうに眺めているのに気付いたデュラは、はっと肩を震わせ、慌ててシュウゴの元へ戻って来た。
申し訳なさそうに下を向くデュラに、シュウゴは軽く笑いかける。
「もういいのかい?」
デュラはブンブンと激しく首を縦に振った。
「それじゃあ、行くか」
「「「お疲れ様でした」」」
三姉妹の綺麗な声を背に二人は紹介所を出る。
出てすぐに、転石のある第二教会の方から走って来た三人のハンターとすれ違った。
若い男たちで、まだ駆け出しのような落ち着きのなさがある。
彼らは息を切らしながら大慌てで紹介所へ駆け込んでいった。
「なにかあったのかな?」
シュウゴがう~んと眉を寄せて首を傾げると、デュラも同様に小さく首を傾げた。
もしなにかあった場合は、すぐ広場の掲示板に書き込まれ情報が広まるだろう。
シュウゴは少しの胸騒ぎがしたものの、自宅へと戻った。
「では、素材をお預かりしますね」
ユリが書類にペンを走らせているうちに、カウンターから回って来たユラとユナへゴム袋を渡す。
ユラとユナはシュウゴとデュラから素材を受け取ると、カウンターの裏にある倉庫へ運んでいった。
書類上の手続きを終えたユリが顔を上げ、シュウゴへ微笑む。
三つ子の中でも落ち着いていてどこか妖艶なユリは、長い金髪がよく似合っている。
「それでは、納品物を依頼主様に確認した後、また追ってご連絡しますので数日ほどお待ちください」
「はい。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げたユリへ、シュウゴも軽く頭を下げる。
用の済んだシュウゴがデュラへ目を向けると、彼は倉庫から戻って来たユラとユナに囲まれていた。
きゃっきゃうふふと二人にまとわりつかれ、デュラも満更でもなさそうに後頭部をかいている。
モテモテだ。
「デュラさんはいつも甲冑なんですか?」
「騎士のように凛々しい佇まいですが、元々は討伐隊におられたんですか?」
さらに、「ご趣味は?」「好きなタイプは?」と矢継ぎ早に質問が飛び、デュラは首を上下左右に振るので精一杯だ。
彼が一言も喋らなくとも二人は気にした様子はなく……というよりも、目を輝かせ「寡黙で素敵……」と好感度を上げるのだった。
「もう、二人とも節操ないわね」
ユリが呆れたように呟く。
いつもは隙のない営業スマイルで本心を微塵も見せないユリが今は、妹たちを見守る姉のような柔らかい表情だった。
新鮮な反応だ。
もしかしたら、自分たちに親しみを感じてくれているのかもしれないと、シュウゴは頬を緩ませる。
「ユラさんとユナさんは、デュラのことを気に入ってくれてるんですね」
「そうなんです。デュラさんの寡黙で威風堂々とした佇まいと、装備のカッコ良さに憧れを抱いたようで……彼女たちも根は好奇心旺盛な女の子なので、見逃していただけると助かります」
ユリが申し訳なさそうに苦笑すると、シュウゴは慌てて「もちろん」と答え安心させる。
ただ、少し悔しくも感じていた。
あの鎧のデザインを考えたのは自分なのに、と。
しかし彼の設計士としての技術は、ひた隠しにしているので仕方のないことだ。
シュウゴが羨ましそうに眺めているのに気付いたデュラは、はっと肩を震わせ、慌ててシュウゴの元へ戻って来た。
申し訳なさそうに下を向くデュラに、シュウゴは軽く笑いかける。
「もういいのかい?」
デュラはブンブンと激しく首を縦に振った。
「それじゃあ、行くか」
「「「お疲れ様でした」」」
三姉妹の綺麗な声を背に二人は紹介所を出る。
出てすぐに、転石のある第二教会の方から走って来た三人のハンターとすれ違った。
若い男たちで、まだ駆け出しのような落ち着きのなさがある。
彼らは息を切らしながら大慌てで紹介所へ駆け込んでいった。
「なにかあったのかな?」
シュウゴがう~んと眉を寄せて首を傾げると、デュラも同様に小さく首を傾げた。
もしなにかあった場合は、すぐ広場の掲示板に書き込まれ情報が広まるだろう。
シュウゴは少しの胸騒ぎがしたものの、自宅へと戻った。
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