窓際の君

気衒い

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〜現代編〜

第三十話:つくられた少女

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 中学時代は散々だった。

 地味な見た目とこれといって何かに秀でている訳でもない。

 それは個性というものが大切な青春時代において、周りから何歩も遅れるということを意味している・・・私は当時そう捉えていた。

 そんな不遇の時を過ごしてきたからであろう。

 私は中学を卒業する時に誓ったのだ。

 高校ではきっと上手くやってやる。

 そう。

 いわゆる、高校デビューというものを狙っていたのである。



        ★


 結果から言うとそれは非常に上手くいった。

 というのも中学を卒業してから高校に入学するまでの春休みの間、私は対策を練りに練りまくったのだ。

 周りに受け入れてもらうにはどうすべきか・・・ああでもない、こうでもないと日夜考え続けた私はそこで一つの結論に辿り着いたのだ。

 ただ受け入れられるだけでは駄目だと。

 いや、正確には満足できないとでも言うべきか。

 そこには不遇の中学時代によって形成された承認欲求が溜まりに溜まっていたのである。

 そして、それを自覚してからの私の行動は早かった。

 容姿を今までとはガラッと変え、更には立ち振る舞いも最適なものを選択しつつ、自分がこれからどうしていくべきなのかをしっかりと見据えた上で高校の入学式を迎えたのである。

「長月さんって本当に何でもできて凄いよね。しかも容姿までいいなんて・・・本当、神様って不公平」

「そんな私なんてまだまだだよ」

「ちょっと~謙遜も嫌味になるって知ってる~?」

「いや、だって本当のことだから」

 だから、結果はすぐに現れた。

 私が一番獲得したかったポジション・・・努力型の優等生(しかも美少女)という椅子に座ることができたのだ。

 だからこそ、今もこうして周りからの称賛を浴びながら適当な相槌を打っている。

「いいなぁ~私も長月さんみたいだったらなぁ~」

 は?こいつ何言ってんの?私が今の地位を獲得するのにどれだけ努力していると思ってんの?現在進行形だから!努力だから!今の現状が何の対価もなしにあると思っているの?・・・と、そんな風に考えている時だった。

「あ、あれ見て!!」

「うわぁ~・・・やっぱり、かっこいいな神無月くん」

「いいのは顔だけじゃないもんね。勉強だってできるし、スポーツも凄いんだから。あと、この高校に存在する"神無月伝説"その一・・・噂じゃ、この高校のスポーツ推薦を蹴って普通に学力試験で入学を果たしたらしいわよ。それも点数がほぼ満点で」

 廊下ですれ違う女子達の視線の先・・・そこには彼女達の話題の人物である神無月広輔という男子がいた。

 この時、高校に入学してから、ちょうど半年が経とうとしており、なんと私はそこで・・・一目惚れを果たしたのだった。







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