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実は仲良し?
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「ーーで、どうしてですの。お兄様」
ラフなシャツとパンツを履いたアルヴィーナが、腕を組んでエヴァンを睨みつけていた。
「いやあ…どうしてかなぁ」
「貴様っ!私が邪魔者のような目で睨みおって!不敬だぞ!」
「いや、邪魔なんですのよ。殿下」
せっかくの休みだから、ということで久々にアルヴィーナと伯爵領の視察に出かける約束をしたまでは良かったのだが、宰相の部屋を出てすぐボンクラ王子に捕まった。先日行く予定で馬に乗れないということが発覚したため、流れてしまっていた領地視察。この一週間、ワイバーンのスカイに乗って王都の空を飛び回っていたのだが、すでに王城の上空は飽きてしまったらしく、お前の領地に連れていけとわがままを言って、断りきれなかった。
王子のナルシスト度は爆上がりで、乾布摩擦は1日3回とか、おかしな回数を嬉々として頑張るシンファエルだが、毎朝の訓練は相変わらず十分の一の割合でしか出来ないし、午後の座学は「脳みそはどこに行った!?」と叫びたくなるほど覚えてくれない。新たな技として、「こんなに頑張ってるのに、エヴァンの嘘つき」と「アルヴィーナばっかりずるい!」が増えた。
ぜんっぜん可愛くねえ。
『お前は私の教育係だろう!私のいうことを聞くのが仕事じゃないのか』
『いえ、教育係という点では、私の言う事を聞くのはあなたの方ですが、私は一応側近です』
『側近ならば尚更だ!私はハイベック領に視察に行くぞ!もちろんスカイに乗っていくから、馬より早いだろう!』
『ええ~。だって私、明日休みなんですよね。そんな24/7で仕事なんてできませんよ。それに義妹との約束もしましたし』
『何ぃ!?貴様、王子の私よりも妹を取るというのかっ!不敬だぞ!』
『いやいや、当然じゃないですか。俺の可愛い義妹との約束は反故できませんよ。そうでなくても義妹《あれ》は王子の仕事を代わりにやって大変なのに』
『わっ、私だって頑張ってるじゃないか!乾布摩擦も続けてるし、毎朝のトレーニングだって頑張ってる…っ!領地に連れて行くと約束したくせにっ!嘘つき!嘘つきめ!』
『ええ?ちょっと、そんなことで泣かないでくださいよ、まいったなあ』
「ーーということがあったんだよ。今日だけ頼むよ、アルヴィーナ。視察が終わったら一緒にお前の好きなアップルパイでも作ろう」
「そんなくだらない泣き落としをしたのですかっ!殿下のくせに!全然可愛くありませんわよ!」
「うるさい、うるさい!私も行くと決めたんだ!嫌なら貴様が遠慮しろ!」
「なんですってぇ!」
うわぁ、もう。なんか領地の平民学校の新入生の引率みたいな気分だ。俺はちょっとゲンナリしながら二人の様子を眺めていた。
しっかし、お互い素を出してるし、なんだかんだ言って結構仲良いんじゃないのか?
「エヴァン!今何かおかしなこと考えましたね?!」
「えっ、いや別に。と、とにかく、ここで言い合っていても埒が開かないからもう行くよ?」
「……むう。わかりましたわ。殿下、くれぐれも邪魔しないでくださいまし!それから、これはお忍びですわ!俺様はやめてくださいね!『不敬だ』もナシです!」
「望むところだ!それにお前!私の側近を呼び捨てにするのはやめろ!不敬だぞ!」
「ほら言った!!今ずるいって言いましたよね!?今日はエヴァンの仕事は休みです!それにわたくしは昔っからエヴァンを呼び捨てですわ!」
「わ、私もエヴァンのことはエヴァンと呼んでいる!」
「だからなんだというんですの?殿下はエヴァンのことをお師匠様と呼ぶべきじゃなくて!?」
「な、なんだとっ!?」
ああもう。また始まったよ、先が思いやられるな、こりゃ。
「はあ、それじゃ殿下はスカイに乗っていくんですね?アルヴィーナはどうする?」
「エヴァンはアキレスに乗っていくのでしょ?わたくし同乗しても良いかしら?」
「うん、良いよ。久々だしね」
アルヴィーナがガッツポーズを取って、チラリと王子の方を見て、ふんと鼻で嘲笑った。
だから、それやると悪役っぽいからやめろって。これ以上煽るなよ。王子が俺と相乗りしたいって言ったらどうしてくれるんだ。
王子は王子で、ぐぬぬと唇をかみしめて真っ赤な顔でアルヴィーナを睨みつけていた。ちなみに王子はいまだに馬には乗れないでいる。馬は賢い動物で、バカは嫌いなようだ。
ラフなシャツとパンツを履いたアルヴィーナが、腕を組んでエヴァンを睨みつけていた。
「いやあ…どうしてかなぁ」
「貴様っ!私が邪魔者のような目で睨みおって!不敬だぞ!」
「いや、邪魔なんですのよ。殿下」
せっかくの休みだから、ということで久々にアルヴィーナと伯爵領の視察に出かける約束をしたまでは良かったのだが、宰相の部屋を出てすぐボンクラ王子に捕まった。先日行く予定で馬に乗れないということが発覚したため、流れてしまっていた領地視察。この一週間、ワイバーンのスカイに乗って王都の空を飛び回っていたのだが、すでに王城の上空は飽きてしまったらしく、お前の領地に連れていけとわがままを言って、断りきれなかった。
王子のナルシスト度は爆上がりで、乾布摩擦は1日3回とか、おかしな回数を嬉々として頑張るシンファエルだが、毎朝の訓練は相変わらず十分の一の割合でしか出来ないし、午後の座学は「脳みそはどこに行った!?」と叫びたくなるほど覚えてくれない。新たな技として、「こんなに頑張ってるのに、エヴァンの嘘つき」と「アルヴィーナばっかりずるい!」が増えた。
ぜんっぜん可愛くねえ。
『お前は私の教育係だろう!私のいうことを聞くのが仕事じゃないのか』
『いえ、教育係という点では、私の言う事を聞くのはあなたの方ですが、私は一応側近です』
『側近ならば尚更だ!私はハイベック領に視察に行くぞ!もちろんスカイに乗っていくから、馬より早いだろう!』
『ええ~。だって私、明日休みなんですよね。そんな24/7で仕事なんてできませんよ。それに義妹との約束もしましたし』
『何ぃ!?貴様、王子の私よりも妹を取るというのかっ!不敬だぞ!』
『いやいや、当然じゃないですか。俺の可愛い義妹との約束は反故できませんよ。そうでなくても義妹《あれ》は王子の仕事を代わりにやって大変なのに』
『わっ、私だって頑張ってるじゃないか!乾布摩擦も続けてるし、毎朝のトレーニングだって頑張ってる…っ!領地に連れて行くと約束したくせにっ!嘘つき!嘘つきめ!』
『ええ?ちょっと、そんなことで泣かないでくださいよ、まいったなあ』
「ーーということがあったんだよ。今日だけ頼むよ、アルヴィーナ。視察が終わったら一緒にお前の好きなアップルパイでも作ろう」
「そんなくだらない泣き落としをしたのですかっ!殿下のくせに!全然可愛くありませんわよ!」
「うるさい、うるさい!私も行くと決めたんだ!嫌なら貴様が遠慮しろ!」
「なんですってぇ!」
うわぁ、もう。なんか領地の平民学校の新入生の引率みたいな気分だ。俺はちょっとゲンナリしながら二人の様子を眺めていた。
しっかし、お互い素を出してるし、なんだかんだ言って結構仲良いんじゃないのか?
「エヴァン!今何かおかしなこと考えましたね?!」
「えっ、いや別に。と、とにかく、ここで言い合っていても埒が開かないからもう行くよ?」
「……むう。わかりましたわ。殿下、くれぐれも邪魔しないでくださいまし!それから、これはお忍びですわ!俺様はやめてくださいね!『不敬だ』もナシです!」
「望むところだ!それにお前!私の側近を呼び捨てにするのはやめろ!不敬だぞ!」
「ほら言った!!今ずるいって言いましたよね!?今日はエヴァンの仕事は休みです!それにわたくしは昔っからエヴァンを呼び捨てですわ!」
「わ、私もエヴァンのことはエヴァンと呼んでいる!」
「だからなんだというんですの?殿下はエヴァンのことをお師匠様と呼ぶべきじゃなくて!?」
「な、なんだとっ!?」
ああもう。また始まったよ、先が思いやられるな、こりゃ。
「はあ、それじゃ殿下はスカイに乗っていくんですね?アルヴィーナはどうする?」
「エヴァンはアキレスに乗っていくのでしょ?わたくし同乗しても良いかしら?」
「うん、良いよ。久々だしね」
アルヴィーナがガッツポーズを取って、チラリと王子の方を見て、ふんと鼻で嘲笑った。
だから、それやると悪役っぽいからやめろって。これ以上煽るなよ。王子が俺と相乗りしたいって言ったらどうしてくれるんだ。
王子は王子で、ぐぬぬと唇をかみしめて真っ赤な顔でアルヴィーナを睨みつけていた。ちなみに王子はいまだに馬には乗れないでいる。馬は賢い動物で、バカは嫌いなようだ。
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