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あまりの巨体のため、まともなバイト先が見つからず、兄の友人に無理やり頼んで女子プロレスリングの前座というバイトを見つけてもらった。兄に頼むと「プロレスなんか可愛い妹に勧められるか!」と言われるのが目に見えてるので。いわゆるやられ役なのだけど、10分の出場で1万円。やらないわけがない。
巨体だから立ってるだけでいいとか言われたんだけど、10分1万円とか破格でしょ。
おまけにかわいいコスチュームが着たいと駄々こねたら、ピンクの猫耳の覆面(ピンクのツインテール付き)と、カラフルなラメ入りタンキニに、半ケツ見えそうなショートパンツ、おまけ程度のヒラヒラしたフリルのスカート付きの衣装が手渡された。特注(サイズが)だっていうけど、おしり隠れてないよ、これ。それに合わせて白い太腿まであるリングブーツっていう出立ち。
兄が見たら激怒しそう。
え、アイドルみたいでかわいい?
嘘こけ、ゴラァ!自分の図体ぐらいわかっとるわ!
で、本番。私が先に出て行くと、どよっとざわめきが広がりました。
ええ、強そうでしょ?それともかわいい?え、でけぇ?焼肉食べたい?うっせーわ!外野が!!
なんて和んでいると、私に敵対する女子レスラーさんたちが出てきましたよ。
おお!これぞアイドル!
ちっちゃくて(私比:150cmくらいかな?)かわいい女の子たちばっか!なんだけど、『うらあ!』『どりゃあ!』というドスの効いた掛け声の割に、弱い。ちょっと受身を取ろうかとか、考えてたのに、私、不動。あれ?
え、私ほんとに立ってるだけでいいの?
で、ちょっと動いたほうがいいかなと思ったら、興醒めして興奮した(ってどういうこと?)観客が、リングに乱入して私の後ろからパイプ椅子で殴りかかってきた。私がボケッと突っ立ってるのが、気に入らんかったらしい。
「何すんじゃ、この親父がァ!やンのか、ごらァ!!」
まあ、ね?
私、あんまり気長なほうじゃないし。売られた喧嘩は買う主義だし?苦労してでも買えって言われてるし?あれ?苦労は買ってでもしろだったっけ?
っていうか、後ろから殴るとか、卑怯者のすることでしょ?だからキレて、親父の頭掴んで投げ飛ばしたんだけど、それから乱闘になっちゃって。前座はメチャクチャ「お前はクビだ!」って追い出されちゃった。
え、私の1万円は!?
結局お金ももらえず、そのままジムを飛び出して。
哀愁漂わせてたら「あなた体重何キロあります?」なんて聞かれてさー。
泣いちゃうよ、もう。
延髄切りでもかましてやろうかと口を開きかけて、やめた。
私、歩道橋から下を走る車の流れを見ていたのよね。テールランプが赤く流れて綺麗ねって。で、顔を上げて目に入ったのが、宙に浮かんでるこの失礼でハンサムな外人。眼鏡付き。
――え、なに。この人めっちゃタイプ!
あまりのドンピシャ好みのタイプに言葉が出なくて、ぱくぱくしてたらなんか誤解したみたい。
「あっ、この世界は魔法がないんでしたね!」
そういうと、慌てて私の横に降り立って、さっと片膝を立てて首を垂れ、さりげなく私の手を掬い、甲にキスを落とす真似をした。
どひーーーーっ!?
「失礼お嬢さん。えっと、お目当ての人物が見つかったので、つい張り切って声をかけてしまいました!わたし、ウェスって言います。賢者の弟子なんてものやってます。どうぞお見知り置きを」
「は、鼻血……っ!」
巨体だから立ってるだけでいいとか言われたんだけど、10分1万円とか破格でしょ。
おまけにかわいいコスチュームが着たいと駄々こねたら、ピンクの猫耳の覆面(ピンクのツインテール付き)と、カラフルなラメ入りタンキニに、半ケツ見えそうなショートパンツ、おまけ程度のヒラヒラしたフリルのスカート付きの衣装が手渡された。特注(サイズが)だっていうけど、おしり隠れてないよ、これ。それに合わせて白い太腿まであるリングブーツっていう出立ち。
兄が見たら激怒しそう。
え、アイドルみたいでかわいい?
嘘こけ、ゴラァ!自分の図体ぐらいわかっとるわ!
で、本番。私が先に出て行くと、どよっとざわめきが広がりました。
ええ、強そうでしょ?それともかわいい?え、でけぇ?焼肉食べたい?うっせーわ!外野が!!
なんて和んでいると、私に敵対する女子レスラーさんたちが出てきましたよ。
おお!これぞアイドル!
ちっちゃくて(私比:150cmくらいかな?)かわいい女の子たちばっか!なんだけど、『うらあ!』『どりゃあ!』というドスの効いた掛け声の割に、弱い。ちょっと受身を取ろうかとか、考えてたのに、私、不動。あれ?
え、私ほんとに立ってるだけでいいの?
で、ちょっと動いたほうがいいかなと思ったら、興醒めして興奮した(ってどういうこと?)観客が、リングに乱入して私の後ろからパイプ椅子で殴りかかってきた。私がボケッと突っ立ってるのが、気に入らんかったらしい。
「何すんじゃ、この親父がァ!やンのか、ごらァ!!」
まあ、ね?
私、あんまり気長なほうじゃないし。売られた喧嘩は買う主義だし?苦労してでも買えって言われてるし?あれ?苦労は買ってでもしろだったっけ?
っていうか、後ろから殴るとか、卑怯者のすることでしょ?だからキレて、親父の頭掴んで投げ飛ばしたんだけど、それから乱闘になっちゃって。前座はメチャクチャ「お前はクビだ!」って追い出されちゃった。
え、私の1万円は!?
結局お金ももらえず、そのままジムを飛び出して。
哀愁漂わせてたら「あなた体重何キロあります?」なんて聞かれてさー。
泣いちゃうよ、もう。
延髄切りでもかましてやろうかと口を開きかけて、やめた。
私、歩道橋から下を走る車の流れを見ていたのよね。テールランプが赤く流れて綺麗ねって。で、顔を上げて目に入ったのが、宙に浮かんでるこの失礼でハンサムな外人。眼鏡付き。
――え、なに。この人めっちゃタイプ!
あまりのドンピシャ好みのタイプに言葉が出なくて、ぱくぱくしてたらなんか誤解したみたい。
「あっ、この世界は魔法がないんでしたね!」
そういうと、慌てて私の横に降り立って、さっと片膝を立てて首を垂れ、さりげなく私の手を掬い、甲にキスを落とす真似をした。
どひーーーーっ!?
「失礼お嬢さん。えっと、お目当ての人物が見つかったので、つい張り切って声をかけてしまいました!わたし、ウェスって言います。賢者の弟子なんてものやってます。どうぞお見知り置きを」
「は、鼻血……っ!」
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