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プロローグ

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オリンピックにちなんで、勢いのノリだけで書いてます。
設定は緩いので追求しないでねー。



+ー+ー+ー+ー+ー+ー+





「あ、ああーーっ!いたよ、いた!ちょっとすみません、そこのお嬢さん!」

 歩道橋の上でぼんやりと走る車を眺めていた傷心の私に、いきなりナンパっぽい声がかけられて顔を上げると、そこに空色の髪の外人がいた。は、ハンサム。とちょっとときめいたものの。

「失礼ですけどお嬢さん、あなた体重何キロあります?」

「は?」

 いくら私が、どこかのアイドル戦隊みたいな服をきて、どピンクのツインテールが猫耳の後ろから生えてる、覆面をつけた怪しい人物だったとしてもね?出合頭で体重聞くか、普通!?

 喧嘩なら買うぞ!?ああ゛ン?!

「102kgありますが、何か!?」

 私、大林桃華おおばやしももか16歳。身長182cm、体重102kg。踊るボンレスハムと呼ばれようと、忍豚ニントンモモ肉と呼ばれようと、正真正銘、花のJKであります。

 私の家庭は兄5人、両親と祖父母の10人家族。今時の日本にしては大家族、ってのはわかってます。兄5人はどいつもこいつも190センチを上回る長身に、どいつもこいつも100kgを超える男たちなんです。両親ともども例に漏れず背が高く、私よりは細いですけど、母も肝っ玉母ちゃん風です。どこの相撲部屋かと思うほどです。家族で歩くと迫力満点でちょっと暑苦しい。

 私は末っ子で唯一の妹だったので、それはもう可愛がられて育ちました。ええ、とても仲の良い家族なので。兄達に物理でもみくちゃにされて育ちました。子供の頃はプロレスごっことか戦隊ごっこ、忍者ごっこもしましたよ。塀を走る子豚集団と、恐れられましたけど。

 我が家の食卓は毎食戦争かと思うほど。男女関係なし。奪い合いはもちろん、手も足も出る始末。早い者勝ちで弱肉強食なのです。だって食材は有限ですもん。兄より背も低く手も短かったおチビな私はいつも食いっぱぐれ、痩せっぽっちに育つかと思いきや、負けじとテーブルに身を乗り出して自分の分を死守しました、はい。

 兄が勝ち取ったトンカツを皿の上から掻っ攫うのは当然、噛む暇があったら飲み込めと言わんばかり、ご飯もお味噌汁もまずはどんぶりで、というのが我が家の常。子供の頃によく噛んで食べろと言われて超高速でかみかみしたら箸が短くなっていて(知らずに腹の中)、それ以来何も言われなくなりました。

 兄たちには溺愛されているので、こっそりおやつとか、差し入れももらいました。ええ、5人の兄たちからそれぞれに。おにぎりだったり、肉まんだったり、鳥の丸焼きローストチキンだったりそれはもう色々と。それが良くなかったのかなあ。すくすく大きく育ちまして。

 私、実は小さくて可愛いものが大好き。巨体なわりに動きは素早く、運動も大好き。

 でも、汗かきでコートに川が流れるほどで、自分でもちょっとびっくり。バスケとかバレーで私の汗で滑って転ぶ人が続出、チームプレイが苦手になりました。なので、道とつくものはなんでもやりましたよ。柔道・剣道・弓道・空手道・合気道・少林寺拳法・なぎなたなど。

 とはいえ、桃華は女の子。兄たちに溺愛されるうちに全てやめさせられ、それならとダンスに走りました。

 で、友人たちとゲーセンに通い、ダンスゲームに夢中なのだけど、小遣いが足りなくなってきました。まあ、ゲームもカラオケも、その後のファミレスもお金かかるから。

 とはいえ、主に食費で家計が苦しい我が家でお小遣いちょうだい、とは言いにくく、バイトを探したの。

 本当はメイドカフェとか可愛いユニフォームが着たかったけど、体系的に無理、と言われた。

 まあね。わかってたけど。

 忍豚ニントンだもの。

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