追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

追跡

　ルカとアレクシアは森に向けて馬を走らせた。その間も、少年の胸には不安と疑問が渦巻いている。

　なぜレオンゼーレとレイミアが襲ってきたのか。安鶴沙を連れ去った目的は何なのか。レオンゼーレ達は森に行ったと推測したが、果たしてそれは正しいのか。そんな様々な思いに押しつぶされそうになる――が、パニックになる訳にはいかない。

（アヅサさんを助けるために…落ち着くんだ）

　そう自分に言い聞かせ、レオンゼーレ達の残した痕跡を見失わないように走る。アレクシアもまた、ルカと並んで馬を走らせつつ鋭い視線で何か手掛かりがないか必死に探している。

　森の中に入り、一時間も経った頃だろうか。

「あれは…道？」

　ルカは森の中を通る一本の道を発見した。街道などというような立派なものではなく、人が2、3人並んで歩けるかどうかと言った程度の小道だ。その道は森のさらに奥――山の方へと繋がっていた。

（新しい足跡がいくつかある…）

　その足跡が誰のものかは分からない。だが、森の中にある小さな道…明らかに怪しかった。

「ルカ君」

「はい。ここを進みましょう」