追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

二次試験終了15

　レームの説明を聞いた後、ルカ達はそれぞれ個室に案内された。

　ここは地下の空洞に作られた闘技場コロシアムのようだが、寝泊まりできるだけの部屋がいくつか併設されていた。本来はSランク以上の冒険者が集まり、特訓などを行うための施設なのかもしれない。

（最終試験は、受験者同士の直接戦闘――）

　ベッドの端に腰掛けながら、ルカは最終試験の事を想う。受験者同士での戦闘という事は、当然アレクシアや安鶴沙と戦う可能性もあるという事。

（ううん、今はその事を考えてたって…仕方がない）

　レームの話によると総当たりという事ではないらしい。つまり、アレクシアや安鶴沙と戦う可能性もあれば戦わない可能性もある。あまり考えすぎていてもいい結果は生まないだろう。

（それより…今は出来る事をやろう）

　少年は立ち上がり、闘技場コロシアムへ向かった。明日の戦いに向けて試合場を観察しておこうと考えたのだ。

　ティネンで戦った闘技場コロシアムと同型のものとはいえ、その大きさや地面の固さなどには微妙な差異が見られるはずだ。ひょっとしたらそれが勝敗を分ける事もあるだろう。

　個室から続く通路を通り闘技場コロシアムに到着したルカは、まずはすり鉢状になっている観客席の最上段から試合場を見下ろした。

「え…？」

　誰もいないと思っていた闘技場コロシアム。だが、ルカから少し離れた位置の観客席。そこでは、ルカと同じように試合場を見下ろす一人の男が立っていた。