追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

一次試験～ルカ・ハークレイ3～

　ルカが辿り着いた小屋は、周囲の風景に溶け込むよう偽装されており近付いてよく観察しなければただの枯れ木や枯草の集合体にしか見えない。さらに小屋の素材である木や枯草も魔物モンスターの嫌う匂いを発する種類のものが選ばれている。人間も魔物モンスターも近付く事のない、セーフティゾーンという訳だ。

「すみません、お待たせしました」

　小屋の中に入るなり少年はそう告げた。外見で見る以上に中は広く、5、6人は容易く収容できるだけの余裕がある。その中で横たわるのは…3名の冒険者。全員が男で、眠っている者が二名。目を覚ましている者が一名。その全員が苦し気な表情を浮かべている。

「す、すまねえ…ルカ君」

　冒険者のひとり…髭を生やした40絡みの男がベッドから上半身を起こしていった。ベッドとは言っても、木の枝に枯草を乗せて布を敷いただけというものだ。

「気にしないでください。それより、無理せず寝ててくださいジャレットさん」

「ああ…」

　上半身を起こすだけでも辛かったのか、ルカに促されジャレットと呼ばれた男はすぐに横たわった。

「薬の材料が集まりました。すぐに作りますから、待っていてくださいね」

　そう言ってルカは、小屋の片隅に置かれた木鉢に先ほど採取したキノコ、野草、木の実などを入れてすり潰し始めた。

「本当にすまねえ…」

　レジャットが再び弁解の言葉を述べる。

「だから、気にしないでください。助け合うのが冒険者じゃないですか」

「だが…俺らみたいな病人の世話をしてたら…あんた…試験に落ちるんじゃ…」

「はい、そうかも…しれません。でも、試験よりも…人命の方が大切ですから」