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一次試験~来島安鶴沙14~
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「けど、わたしだって…シルヴィさんには酷い目にあって欲しくないです…っ」
逃げろという言葉に安鶴沙は首を振る。シルヴィとは知り合ってまだ日は浅い。それでも、安鶴沙にとって彼女すでに仲間だった。
「二人でここを切り抜けましょう…!」
「それが出来たら私だってこんな提案はしないわ」
二人とも無事にこの窮地を脱する。それは確かに理想だろう。だが、こちらは二人。敵は七人。シルヴィにしてみれば、自分を犠牲にしても安鶴沙をこの場から逃がす事が出来るかどうか…それすら危うい所だった。
しかし、ここで安鶴沙は意外な言葉を口にする。
「今周りを取り囲んでいる人たちって、シルヴィさんより強いんですか?」
唐突な質問に、シルヴィは困惑しながらも答えを返す。
「リーダー格のレイガッハは私と同等か、やや下。他の六人は、それより一段落ちる…といった所ね」
シルヴィとレイガッハは修伝剣士でも上位。つまり、準皆伝程度の実力は持ち合わせている。対して他の六人は平均的な修伝剣士といった所。もしシルヴィの戦力を100とするならば、レイガッハは95、他の六人は70から75といった所。『一対一ならば絶対に負けないが、三人以上を相手にするならば敗北は必至』。それがシルヴィの導き出した結論だった。
。
「そうですか…シルヴィさんより一段下、ですか…」
そんな呟きを安鶴沙が漏らした時、
「おい、もう待てねえぞ!あと十数えるうちにゴーレムの牙を寄越せ!じゃねえとこっちも強硬手段に出る…!――10、9…」
痺れを切らしたレイガッハが宣言し、カウントダウンを始める。
「さあ、アヅサ。時間がないわ。早く逃げて…」
「いいえ」
シルヴィの言葉に安鶴沙は首を横に振った。
「大丈夫。二人で切り抜けられますよ」
逃げろという言葉に安鶴沙は首を振る。シルヴィとは知り合ってまだ日は浅い。それでも、安鶴沙にとって彼女すでに仲間だった。
「二人でここを切り抜けましょう…!」
「それが出来たら私だってこんな提案はしないわ」
二人とも無事にこの窮地を脱する。それは確かに理想だろう。だが、こちらは二人。敵は七人。シルヴィにしてみれば、自分を犠牲にしても安鶴沙をこの場から逃がす事が出来るかどうか…それすら危うい所だった。
しかし、ここで安鶴沙は意外な言葉を口にする。
「今周りを取り囲んでいる人たちって、シルヴィさんより強いんですか?」
唐突な質問に、シルヴィは困惑しながらも答えを返す。
「リーダー格のレイガッハは私と同等か、やや下。他の六人は、それより一段落ちる…といった所ね」
シルヴィとレイガッハは修伝剣士でも上位。つまり、準皆伝程度の実力は持ち合わせている。対して他の六人は平均的な修伝剣士といった所。もしシルヴィの戦力を100とするならば、レイガッハは95、他の六人は70から75といった所。『一対一ならば絶対に負けないが、三人以上を相手にするならば敗北は必至』。それがシルヴィの導き出した結論だった。
。
「そうですか…シルヴィさんより一段下、ですか…」
そんな呟きを安鶴沙が漏らした時、
「おい、もう待てねえぞ!あと十数えるうちにゴーレムの牙を寄越せ!じゃねえとこっちも強硬手段に出る…!――10、9…」
痺れを切らしたレイガッハが宣言し、カウントダウンを始める。
「さあ、アヅサ。時間がないわ。早く逃げて…」
「いいえ」
シルヴィの言葉に安鶴沙は首を横に振った。
「大丈夫。二人で切り抜けられますよ」
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