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最終戦13
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「『――が敵を撃て』」
なんだ?と思い顔を上げるレオンフォルテ。そして彼は知る。それが魔術の詠唱である事を。やや離れた位置にいる少年の掌が、自身に向けられている事を。
「『ウィンド・ショック』」
(まずい…!)
レオンフォルテは咄嗟に横に飛ぼうとする。だが――『暗足』を使ったばかりで脚に練気を込める事ができない。
「う…う、う…ぁ!」
慌てて短剣を構えた。少年の掌から発せられた魔力が風を作り、レオンフォルテに迫る。
(け、剣技で…剣技で、この魔術を押し返さなければ…!)
だが、出来るのか。何度も体を打たれ、手には短剣しかないこの状況で。
(いや、出来る、出来る…!余が…この余がこんな所で負けるはずはない…!)
レオンフォルテは短剣に可能な限りの練気を込め…前方から迫りくる風に向けて思い切り振り降ろした。その瞬間――パキリ、と剣に亀裂が入る。
「ひっ…」
悲鳴にも似た呼気がレオンフォルテの口から漏れた。そして、ウィンド・ショックの風圧の前にレオンフォルテの短剣は吹き飛ばされた。
(嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!この余が、皆伝剣士である余が…ツヴァイクである余が…王族であるこの余が…!)
レオンフォルテの体に、少年の放った全力のウィンド・ショックが炸裂した。
なんだ?と思い顔を上げるレオンフォルテ。そして彼は知る。それが魔術の詠唱である事を。やや離れた位置にいる少年の掌が、自身に向けられている事を。
「『ウィンド・ショック』」
(まずい…!)
レオンフォルテは咄嗟に横に飛ぼうとする。だが――『暗足』を使ったばかりで脚に練気を込める事ができない。
「う…う、う…ぁ!」
慌てて短剣を構えた。少年の掌から発せられた魔力が風を作り、レオンフォルテに迫る。
(け、剣技で…剣技で、この魔術を押し返さなければ…!)
だが、出来るのか。何度も体を打たれ、手には短剣しかないこの状況で。
(いや、出来る、出来る…!余が…この余がこんな所で負けるはずはない…!)
レオンフォルテは短剣に可能な限りの練気を込め…前方から迫りくる風に向けて思い切り振り降ろした。その瞬間――パキリ、と剣に亀裂が入る。
「ひっ…」
悲鳴にも似た呼気がレオンフォルテの口から漏れた。そして、ウィンド・ショックの風圧の前にレオンフォルテの短剣は吹き飛ばされた。
(嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!この余が、皆伝剣士である余が…ツヴァイクである余が…王族であるこの余が…!)
レオンフォルテの体に、少年の放った全力のウィンド・ショックが炸裂した。
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