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特訓10
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「なるほど…凄い剣だからこそ売れないってのはそういう意味なんですね。確かにRPGでも伝説の武具を売ろうとしたら『これは買い取れないよ!』って言われる事多いですもんね」
と、またもやルカ達には理解できない形で納得する安鶴沙。
「まあ、売る売らない以前にもし実際に聖剣や魔剣を手に入れてしまったら修道騎士団に接収されてしまうでしょうね。使い方次第では世界の脅威になりかねませんから」
「うっ…それは嫌ですねえ。修道騎士団の方々とは、正直関わり合いになりたくないです…」
牢獄に囚われていた時の事を思い出し、苦い顔をする安鶴沙。
「そういえば――」
ルカはアレクシアに視線を向けた。
「アレクシアさんの使ってる剣の位階は…」
「ああ、私の剣かい?私の剣は『王剣』だよ。銘は、『フラムシュトイツ』という」
「やっぱり…そうですか」
王族であるアレクシアの愛剣、さらにアレクシアが奥伝剣技を使用しても刃こぼれひとつしていない事からなんとなく察しはついていたが、やはり並の剣ではなかった。
「え…お、王剣って、確か3億…!?つまりその剣イコール宝くじ一等賞と同額って事ですか!?あ、いや、3億って言っても円じゃないですけど…で、でも、物凄い金額って事ですよね!?」
「いや、王剣が3億というのはあくまで標準価格だからね。同じ位階の剣でも、それぞれの価格はまちまちさ」
アレクシアが答える。
「ああ、そういえばそう言ってましたね。さすがに3億はいかないですか…」
「いや――多分、この剣の価値は10億Kr程度はあるんじゃないだろうか」
「じゅ、10億!?そ、それだけあれば一生遊んで暮らせるじゃないですかっ!」
「…売るのかい?私の剣はシュタインベルグ王家に伝わるものだから私の一存では売買できないのだけれど…」
「い、いや、売りません、売りませんよ!ちょっと言ってみただけですよぅ」
あはは、と笑ってみせる安鶴沙。
「でも、そんな凄い剣ならトーナメントの時はルカ君がその剣を使えば…あ、いや、それは難しいですか…」
と、安鶴沙は言葉の途中で自分の過ちに気が付いた。
「はい、僕とアレクシアさんじゃあ身長が違いすぎますからね。僕にはアレクシアさんの剣は使えません」
アレクシアの身長は、180cm近い長身。それに対してルカは、彼女に比べ頭ふたつ程は低い。身長が違えば当然腕の長さも違う。ルカがアレクシアの剣を使うのは難しいだろう。
「うん、だからルカ君に合った剣を探そうと思う。私はこれでも刀剣の目利きについてはそれなりの自信を持っているからね。例え雑剣や兵剣でも可能な限り良いものを見つけさせてもらうよ」
「よろしくお願いします、アレクシアさん」
そんなやり取りを聞いて、
「それじゃあ、わたしは店の中を見回ってますね」
と言って安鶴沙は店に所狭しと並べられている武具に目を向けた。彼女の家は南北朝時代から続く古武術の宗家。徒手空拳の格闘術のみならず、刀や槍を使った武術も受け継いでいる。
「むう…剣も弓も槍も日本のものとは結構違いますねえ…」
そんな事を呟きながら武器を見回っていると、店の隅に投げ捨てるように置かれた剣の山が目に入った。
「あれ、これは…?」
「ああ、そりゃあガラクタだよ。お嬢ちゃん」
安鶴沙の後ろにいた店員がそう声をかけてきた。
「冒険者がどっかから拾って売りに来たボロ剣とか、鍛冶屋が打ち損じた剣だ。実戦じゃ使いものにならない雑剣以下のガラクタだけど、訓練なんかには使えるからこうやって投げ売りしてんだ。ま、ひとつ1000Krだから気が向いたら買ってってくれ」
「ふむふむ…言うならば剣のワゴンセールですか」
安鶴沙は何気なくガラクタの山に手を伸ばした。店員の言う通り、錆の浮いた剣や明らかに打ち損じと分かる不格好な剣などとても実戦では使えそうにもないものばかりだった。
「うーん、例え安くても欲しくなるようなものはありませんねえ…ん…?」
見切りをつけて立ち去ろうとしたその時、安鶴沙はふとあるものに目が留まった。それは、錆だらけの剣だった。一見するとただのボロ剣。けれど、彼女はその形に見覚えがある。
「これって…日本刀…?」
と、またもやルカ達には理解できない形で納得する安鶴沙。
「まあ、売る売らない以前にもし実際に聖剣や魔剣を手に入れてしまったら修道騎士団に接収されてしまうでしょうね。使い方次第では世界の脅威になりかねませんから」
「うっ…それは嫌ですねえ。修道騎士団の方々とは、正直関わり合いになりたくないです…」
牢獄に囚われていた時の事を思い出し、苦い顔をする安鶴沙。
「そういえば――」
ルカはアレクシアに視線を向けた。
「アレクシアさんの使ってる剣の位階は…」
「ああ、私の剣かい?私の剣は『王剣』だよ。銘は、『フラムシュトイツ』という」
「やっぱり…そうですか」
王族であるアレクシアの愛剣、さらにアレクシアが奥伝剣技を使用しても刃こぼれひとつしていない事からなんとなく察しはついていたが、やはり並の剣ではなかった。
「え…お、王剣って、確か3億…!?つまりその剣イコール宝くじ一等賞と同額って事ですか!?あ、いや、3億って言っても円じゃないですけど…で、でも、物凄い金額って事ですよね!?」
「いや、王剣が3億というのはあくまで標準価格だからね。同じ位階の剣でも、それぞれの価格はまちまちさ」
アレクシアが答える。
「ああ、そういえばそう言ってましたね。さすがに3億はいかないですか…」
「いや――多分、この剣の価値は10億Kr程度はあるんじゃないだろうか」
「じゅ、10億!?そ、それだけあれば一生遊んで暮らせるじゃないですかっ!」
「…売るのかい?私の剣はシュタインベルグ王家に伝わるものだから私の一存では売買できないのだけれど…」
「い、いや、売りません、売りませんよ!ちょっと言ってみただけですよぅ」
あはは、と笑ってみせる安鶴沙。
「でも、そんな凄い剣ならトーナメントの時はルカ君がその剣を使えば…あ、いや、それは難しいですか…」
と、安鶴沙は言葉の途中で自分の過ちに気が付いた。
「はい、僕とアレクシアさんじゃあ身長が違いすぎますからね。僕にはアレクシアさんの剣は使えません」
アレクシアの身長は、180cm近い長身。それに対してルカは、彼女に比べ頭ふたつ程は低い。身長が違えば当然腕の長さも違う。ルカがアレクシアの剣を使うのは難しいだろう。
「うん、だからルカ君に合った剣を探そうと思う。私はこれでも刀剣の目利きについてはそれなりの自信を持っているからね。例え雑剣や兵剣でも可能な限り良いものを見つけさせてもらうよ」
「よろしくお願いします、アレクシアさん」
そんなやり取りを聞いて、
「それじゃあ、わたしは店の中を見回ってますね」
と言って安鶴沙は店に所狭しと並べられている武具に目を向けた。彼女の家は南北朝時代から続く古武術の宗家。徒手空拳の格闘術のみならず、刀や槍を使った武術も受け継いでいる。
「むう…剣も弓も槍も日本のものとは結構違いますねえ…」
そんな事を呟きながら武器を見回っていると、店の隅に投げ捨てるように置かれた剣の山が目に入った。
「あれ、これは…?」
「ああ、そりゃあガラクタだよ。お嬢ちゃん」
安鶴沙の後ろにいた店員がそう声をかけてきた。
「冒険者がどっかから拾って売りに来たボロ剣とか、鍛冶屋が打ち損じた剣だ。実戦じゃ使いものにならない雑剣以下のガラクタだけど、訓練なんかには使えるからこうやって投げ売りしてんだ。ま、ひとつ1000Krだから気が向いたら買ってってくれ」
「ふむふむ…言うならば剣のワゴンセールですか」
安鶴沙は何気なくガラクタの山に手を伸ばした。店員の言う通り、錆の浮いた剣や明らかに打ち損じと分かる不格好な剣などとても実戦では使えそうにもないものばかりだった。
「うーん、例え安くても欲しくなるようなものはありませんねえ…ん…?」
見切りをつけて立ち去ろうとしたその時、安鶴沙はふとあるものに目が留まった。それは、錆だらけの剣だった。一見するとただのボロ剣。けれど、彼女はその形に見覚えがある。
「これって…日本刀…?」
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