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特訓4

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 アルトゥース流剣術。約二千年前に活躍した伝説的な剣士、『剣聖』アルトゥースの創始した剣術流派。

 アルトゥース流剣術のみならず、パルツィヴァール流槍術の始祖、『槍鬼そうき』パルツィヴァール。ガーヴァーン流剣術の始祖、『至高騎士』ガーヴァーンなどもアルトゥースと同じ時代を生きたという。つまり、この世界における主要な武術流派は約二千年前に創られたのだ。

 なぜ、二千年も前に創始された武術流派が現在も隆盛を誇っているのか。その理由は単純――これらの武術が、極めて優れた技術体系を有しているからだ。

 アレクシアは説明する。

「アルトゥース流剣術というのはね、ひとつひとつ位階の技を習得していけば順にステップアップできるようになっているんだ」

 まず、見習みならいで剣の振り方を学ぶ。

 初伝では、基本的な対人戦闘を。

 中伝では対人戦闘の応用と練気プネウマの基本。

 修伝では練気プネウマの応用技の習得。

 皆伝では練気プネウマを使用した技のさらなる発展。

 奥伝では体内にため込んだ練気プネウマを瞬時に放出するすべをそれぞれ習得する。

「秘伝、叡意といった位階については私もまだ到達していないため詳しい事は言えないけれど…でも、ひとつひとつ技をマスターしていけばいずれはそういった高みにも到達できる。それが流派武術だ」

 もっとも、それは口で言うほど容易い事ではない。

 修伝レベルでさえ、ひとつの技を完璧に使いこなせるようになるのに一年以上の時間がかかる事も珍しくはない。剣を振る角度、速度、練気プネウマを込める量…それらは口で説明された所で理解する事はできない。何度も修練を積み、体に覚え込ませなければならないのだ。

 武の頂が遥かに高い山の上にある事に変わりはない。

 だが、例えそうだとしても道は示されている。険しい山であっても道に沿っていけば頂に達する事ができるのだ。対して、自己流で研鑽を詰むというのは道なき山を地図も持たずに登ろうとするようなものだ。どちらがより効率的かは明らかだろう。

「だからこそ、剣術を学ぶ者はきちんとした師匠に指導を受け道を示してもらう必要があるのだけれど…君は今までその経験がなかったようだ。とはいえ、今まで君が積んできた経験だって有意義なものだよ」

 自己流での研鑽は、道なき山を登るようなもの…極めて効率が悪い。しかし、同時にその効率の悪さが力を与える事もある。険しい道のりを進む力を。

 自己流で磨いた、険しい道のりを進む力。そこにアレクシアによる道しるべが加わったのならば。その能力は飛躍的に向上するはずだ。

「だから、私が君の進むべき道を示そう。――私を信じて、ついてきてくれ」
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