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兄妹3

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「仲間…?」

 ルカの言葉に、レオンフォルテは眉をひそめる。

「はい。申し遅れましたが、僕の名前はルカ・ハークレイ。アレクシアさんとパーティを組んでいる冒険者です」

「冒険者、か…なるほど」

 レオンフォルテはルカとアレクシアの顔を交互に見比べる。

「それで?冒険者仲間だから自分にも口を出す権利があると?」

「はい」

「ハッ…仲間だなんだと言って、どうせアレクシアの血統と剣術の腕前目当てで近付いただけだろう?シュタインベルグ王家の一員かつアルトゥース流奥伝剣士なんて、他にいないからな。まあ、利用価値はあるよな」

「それは違います兄上!」

 アレクシアが一歩前へ進み出る。

「ルカ君は私の素性を知る前から私の味方をしてくれました!だからこそ、私も彼と行動を共にさせてもらっているのです」

「どうだか。まあ、何にしても冒険者如きが口を挟む話では――ああ、いや。分かった分かった。そういう事か」

 と、レオンフォルテは突如何かに納得したように手を叩いた。

「小僧。お前、ここまでアレクシアの面倒を見てきたその謝礼が欲しいんだな?だから仲間だなんだとゴネていると。そういう訳だな。よし、いいだろう」

 レオンフォルテはひとりで納得したのか話を進める。

「余の妹、アレクシアの世話、大義であった。お前に褒美を取らせよう。何がいい?財宝か?屋敷か?一生遊んで暮らせるだけの金か?」

「そうですね。褒美をいただけるというのならば――欲しいものがあります」

 少年は静かな声で応じた。それを聞きレオンフォルテは唇の端を持ち上げる。しょせん、人など金と権力の前では無力だと、そう信じ切っている笑み。

「アレクシアさんに幸せになって欲しい。…アレクシアが望む未来を、自らの手で選んで欲しい。それが僕の欲しいものです」

 レオンフォルテは一瞬何を言っているのか分からない、というような呆けた表情になって――そして、ルカの言葉の意味を理解すると途端に顔を歪めた。

「貴様…余に指図するつもりか?バウムガルデン大臣とアレクシアの縁談を取り消せと」

 怒りの込められた瞳をルカに向ける。少年は、その視線を真っ向から受け止めた。
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